Sonar Members Club No.1

カテゴリー: ソナーの仕事について

よりによって2つの戦争中の国の案件が

2024 FEB 19 7:07:54 am by 東 賢太郎

後輩T君がクラシックを聴きだしたらしい。43才か。どうしたらいいかというので「有名な曲を全部覚えろ」といった。君は灘高代表の数学オリンピック選手だけどね、俺は凡人だから数学は解き方全部覚えたんだというと「自分もそうです」という。「ならそれと同じよ」で京都の和久傳で仕事の話に入った。

T君は工学部を出てゴールドマン、メリル・リンチと同じ道を来た。金融、証券分析みたいな理屈は全部覚えればおわりだから楽だよなこの仕事。俺はマネジメントに全然興味ないからあんまり出世しなかったけどな、そんなもんより音楽は時間食うんでね、第九だけだって70分もかかるんだよ、何回聴いてもね。

もうひとりのT君。灘のT君から紹介された政治家の縁で会った。日本、カリフォルニア、ニューヨーク、イスラエルの弁護士だ。38才。俺は駒場の法学概論でね、つまり一年の一学期にね、こりゃ失敗だ、全然興味ないと悟っちまってね、哲学の「パルメニデスの有」がまるで理解できなくて悔しかった方が残ってて、そっから漂流してショーペンハウエルに嵌った。インパクトあるぜ「意志と表象としての世界」読みなさい。食事はだいたいそんな話だ。

イスラエルに興味あって調べてる。いただいた著書によると大学が起業家教育を熱心にしている。軍事国家でdeep techに強いが75%米国に行く。日本は10%。ユダヤ人脈が薄く優良案件に入れない。でも戦争で風向きが変わってるからな、こういうときは日本にチャンスなんだよ。そう、何が好きって、そういうこと。だから探知機のSonarにした。法律は専門家にまかすよ。

そうしたら先週、歌舞伎町のdeepなコリアンの食事会で3人目のT君が現れた。ニューヨークにオフィスがあるエンタメ企業経営者だ。47才。旅行業H社の最年少役員から起業。成り行きからウクライナはキーウ在住のご友人とZOOMすることになった。オフィスは戦争の気配なしだ。警報ありますがまあそんなもんです。いや頼もしいね。2008年から?ごめん人も国もよく知らないんだ、スイスで凄い美人みたぐらいだな。東さん、それかなりレベル低いと思いますよ(笑)。

ウクライナはIT大国だ。米国の会社が300人雇ってる。それの日本進出、ご協力いただけませんか。へえ、そういやあ静岡のスタートアップ・コンテストでウクライナ企業が優勝してたよ。でも俺は経営なんかできないよ投資の相談ぐらいだよ。まあT君が社長やってくれりゃあ米国と株の交渉はできるかな。いいですね調べてみましょう。ビジネスってのは実にこんなもんだ。何の保証もないがこれでわくわくできるかどうかだ。後は嗅覚。

よりによって2つの戦争中の国の案件がやってくる。世の中ほんとうに面白い。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

「若者に教えたいこと」を設けた理由

2024 FEB 3 11:11:12 am by 東 賢太郎

この数か月、たくさんの方々がソナーに関係して下さり多忙だ。折々、ブログというメディアに政治、経済、国際情勢、経営に関するinsightを書き連ねてきたが、僕は評論家でなく自説に従って億単位の金を動かし、結果としての実績を問われるビジネスマンである。だからその能力を買って下さる企業が現れれば、これまでは自由にブログにしてきた自説の根拠等は書けなくなる。それについて少々述べておこう。

「若者に教えたいこと」というカテゴリーは特別なものだ。設けた理由は、僕が若い芽を見つけ、その成長過程を見届けるのが大好きな人間だからだ。野球も二軍の有望株を見つけるマニアだし、芸術家もしかり。猫が少し賢くなっただけでも心が踊る。株式市場でまさしく “有望株” を見つけて投資するのを職業とし、その自分の姿を探知機になぞらえて「ソナー」と命名したのが最大の証拠である。だから向学心のある子、不断の努力を厭わない子は無条件に応援してしまう。直接ふれ合うことはないが読者にそういう人がいればという思いがあった。

自省するに、生涯いちプレーヤーの気持ちで社会人を44年やってきたことは偽りない事実だ。現に今でもそうしており、東賢太郎というビジネスマンの “エッジ” は “現場” にあることは間違いない。ただ、名刺の肩書のヒストリーを眺めると44年という期間の約7割は「部長 / 役員」、約5割は「社長」という経営職だ。だから、業種を問わず、若い経営者にアドバイスすることはたくさんある。つまり、若者が経営している会社、すなわち「ベンチャー企業」を育てる仕事は天性のものではないかと考えている。かく言う自分もソナーというベンチャーを創って14期目になり資産も作った。口だけの先生や評論家ではない。

若者に来歴を語る機会があるが、当時、東大法学部卒の者は国内にいるのが有利で海外など出ない。44年の4割近くも異国にいたのも異例だが、帰国して一部上場企業2社の役員になり、3度も自分から辞めた者は東大史上ひとりもいないだろう。そう伝えてへーで終わる大半の人とおつき合いする時間は僕にはない。しかし、一部だが、「半沢直樹超えですね」などと感動してくれる人もいる。ほとんど若者だ。だから「若者に教えたいこと」というカテゴリーを設けたのである。僕のしたことというより僕の存在自体がinspireing(刺激的)であるタイプの人達こそ貴重な原石、未来の星であり、探し出してでもこちらからお会いしたいと思うのだ。

ベンチャー界にはそうした若者が多くいると確信しており、業種を問わず何か教えてあげられる。講話、セミナーなんかのおざなりの場ではだめだ。がっぷり四つで向き合い、僕も相手にinspireされながらつき合う過程で学んでもらうしかない。ビジネスとは本来そういうものだ。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

アンビバレントである今年の抱負

2024 JAN 8 16:16:59 pm by 東 賢太郎

ソナー・アドバイザーズの第14回新年昼食会が5日に赤坂維新號であった。横尾会長を筆頭に、11人にご参集いただいたが社員だけでなく懇意の関係者まで広げたのは初めてだ。各位のご紹介スピーチをしながら気がついたが、大学教授は2人おられるのに本業だった証券マンは野村の後輩1人だけだ。これは意図したわけではないが、僕が企図しているのは昔の延長ではなくまったく別な事業だからだ。11人中6人が慶応というのも意図ではないが、過去やコネを捨てているのではなく、シンプルに僕がリアリストかつプラグマティストである結果だ。

強みは何だと問われれば海外経験しかない。それも英語力や知識で僕より上の方は無数におられる。だから一言加える。僕は普通の日本人ではない。外国に出なくても多分そうだったが、16年海外にいてそれを検証したという点で海外経験は強みになった。これはほとんどの人に理解されないから「コスモポリタン」と自称している。何かやらかした「自称会社員」みたいなものだが、日本も世界もどの民族も文化も等しく美点凝視したい人を定義する言葉はそれしか知らない。

コスモポリタンと反グローバリストは政治的には矛盾だ。せっかく野村證券がそのルートに乗せてくれたのだから普通は楽にグローバリストで生きるが、いま、頑としてそうしたくない内なる自分に向き合う羽目となっている。それが大きな流れの中で日本を食い物にすることになるからだ。口だけの似非保守も含めそう考えるのが普通でなくなってるのが現状であり、だから僕は普通の日本人ではないと宣言せざるを得なくなっており、「今だけ・カネだけ・自分だけ」で食い物にする連中が金も権力も握ってしまっている。僕は相手を少々知っている。このままだと少数派は淘汰されてしまうとアラームが耳元でがんがん鳴っている。

しかし、正直に書くが、今さら政治家になる気もないしブログも無意味と思うようになってきた。つまり僕は無力である。同時に、生きていくことに関しては怜悧なリアリストかつプラグマティストに生まれついており、守るべきは家族と仲間と猫だけであり、その為に自分は世に存在していると考えるようになっている。その点においてゴッドファーザーのヴィトー・コルレオーネと何ら変わらない。イタリア系極道アメリカ人として税金は払うが国は守らず家族と仲間を守る為に社会的に一定のポジションにいる必要があるリアリストかつプラグマティストの映画だ。現実にいくらもいるしその一点において僕も変わらないのである。

矛盾を血のせいにしてしまうのは安易かもしれないが、この不合理は他に納得のゆく説明がない。今の世相は二・二六事件前夜を想起させる。当時ならどうしたかの結論が祖母・真崎ミカを通じていま内側に押し寄せてきているなら抗っても仕方ない。前夜といえば、ちなみにいつだったか覚えてもいないがたしか岸田総理襲撃未遂事件なる興味深い物があった。大変失礼だが、リアリストかつプラグマティストの僕の眼力において彼はいかなる理由であれテロの対象になる性質の人ではない。従ってあれはやらせというのが必然的憶測的私見だ。ただ、類似事件の特異性を糊塗するには出現がなかなか時宜に適ってはいるのであり、ああいうもので多数の国民の心が動いてしまうという現実を見せられるならもう手も足も出ない。

つまりそれがウルトラ大衆デモクラシーの実態ならもう日本は見捨てるしかない。果たしてそうなんだろうか。2018年の西部邁氏の自裁死はあそこがジョギング場所だったこともあり大いにショックだったが、彼は好きな国(人種)を「まずイタリア、次にイギリスと言いたいが、やはり日本」とし、嫌いな国(人種)を「まずアメリカ、次に韓国と言いたいが、やはり日本」とした。日本を代表するインテレクチュアル(知識人)であった氏は現世利害的なインテリジェント(似非知識人、専門莫迦)が跋扈し席巻してゆく日本に対し絶望的にアンビバレント(好き・嫌いの両面感情的)になった皮肉がこれであろうし、その無力感(というか阿保らしさ)に苛まれたのかとも推量する。そうであるならとてもよくわかる。

僕も精神は知識人のつもりだが、ビジネスにおいては現世利害まみれの専門莫迦に徹しなくてはならない。僕らにできるのは大手金融機関の店頭にない良質の運用案件を顧客の探知機としてみつけてさしあげることだ。ただどんな投資もリスクは不可避だ(全勝はあり得ない)から勝率を上げる確率のゲームなのであり、少々の失敗は気にしないお金持ちか、確率とはなにかをわきまえる人にしか商売としてのアドバイスはできない。そう思わないのは詐欺師だけであって、理解の浅い人に投資を勧めるのはこちらの行政リスクになるから危なくてできない。確率は高校へ行けば誰もが習うが、学校は「これを学べば資産形成に役立つ」なんてことは教えないので、インテレクチュアルの人種を除く日本人のほとんどが投資に対して合理的な判断ができず、さらにはそのアドバイスすら受けられず、あまり割のいいとは思えない万人向け既成商品を買って大手金融機関の収益に貢献するしか株高の恩恵を受けられない。NISAという節税スキームは誠に結構だが利益が出なければ意味がない。このことに僕らは手も足も出ない。

したがって僕はリアリストかつプラグマティストに徹し、おつき合いできる大切な仲間としてのお客様にその方の取れるリスクの範囲内でベストのアドバイスをすることをビジネスとするしかない。どなたでも儲かりまっせなんていう証券ビジネスとは程遠い。いま内外の不動産や戦争中のイスラエルのベンチャー企業まで視野に入れて研究中だが、べつに海外経験が強みだからではない。勝てる(投資リターンが得られる)なら日本だろうが地球の裏側の国だろうが火星だろうが関係ないからだ。しかし日本人を助けたいができない。確率ゲームを長期に勝ってきている図抜けた才能と20年に渡るデータベースが社内にあるのに使うのは外国人で、日本社会に役立てられない。なんてアンビバレントなことだろう。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

2023年の総括(終わり良ければすべてよし)

2023 DEC 31 13:13:21 pm by 東 賢太郎

今年の当社のビジネスは前半に苦戦した。リアルで動けなかったツケで乗りかけの案件を2つ断念し、ひとつ8月に仕上げはしたが規模的には満足な展開ではなかった。8~9月に7年ぶりにゴルフをやったり関西、静岡に出張もして気分転換を図った。ところがコロナの霧が晴れたようになると9月から景色が変わりはじめ、10月から年末にかけては思いがけぬ好転という想定外の慌ただしい年末になった。この怒涛の上げ潮は息子に近い年ごろである東大工学部の後輩T君がもたらしてくれたもので商売のネタが3カ月で5つもでき感謝に堪えない。ゴールドマン・サックス、メリル・リンチにいた20代の彼をスナイパーと見こんでの20年に渡るつき合いだがここまで大物になってくれるとは!

昨日がその5つ目だ。ウォートンの後輩Sさんの紹介でT君と前防衛副大臣、外務副大臣のN氏に会ったわけだが、食事そっちのけでイスラエルにつき熱弁をふるってくれ、非常にエキサイティングな3時間となった。戦争と米国大統領選の帰趨にはよるが、N氏が関わるテルアビブ大学ベンチャー等の投資機会は面白い。イスラエルといえばディープ・テック(常識破壊の最先端技術)である。人口比でノーベル賞受賞率1位、ユニコーン起業家輩出率1位、科学者・エンジニア比率1位、VC投資金額1位。NASDAQ上場企業数は米中に次いで3位だが、イスラエルの人口は960万人と東京23区と同等であり、米国の30分の1、中国の140分の1なのだから如何に恐るべしかお分かりだろう。この企業化、上場というのが大事なのだ。知性の図抜けた人はアスリート界で図抜けた大谷翔平選手のように相応の資産を作れる、資本主義社会なのだから当たり前ではないか。そこが下手くそなのか、そもそもやったことがその程度なのか、閉鎖的なアカデミズムと叙勲の栄誉だけという日本の学界はさびしい。それでは世界の図抜けた知性は来ないし、頭脳は流出するに決まってるではないか。

ユダヤ系というとロンドン時代に物凄い頭脳を持つお客様たちと6年つきあい親近感がある。仕事もあるがクラシック音楽に馬鹿詳しい僕に興味をもってくれたのもある。メンデルスゾーン、オッフェンバック、マーラー、ガーシュイン、コープランド、バーンスタイン、シェーンベルク、ミヨー、ツェンムリンスキー、モントゥー、セル、ライナー、クレンペラー、オーマンディ、ショルティ、ワルター、ラインスドルフ、ゼルキン、シュナーベル、アシュケナージ、アルゲリッチ、バレンボイム、ワイセンベルク、ホロヴィッツ、ルービンシュタイン、ヨアヒム、シゲティ、オイストラフ、シェリング、コーガン、ハイフェッツ、ミルシテイン、メニューイン、スターン、ロストロポーヴィチ、シュタルケル・・・クラシック界におけるユダヤ系の比重はディープ・テック同様に絶大であり、数学と音楽が最も遺伝要因が強いという統計は合点がいく。他人の気がしないのが正直な所である。

これからの世は中途半端はだめ、とんがって出る釘にならないと栄達は難しい。政策でなく派閥で固まってパワーを行使する日本の政治は明らかに時代の潮流に逆行している。企業もでかいことはコストでもあり標的になるリスクでもある。とんがることに必須なのはdeep tech intelligenceだが日本企業のR&D比には悲観しかない。エッジのないデカい企業はどんな名門でも平気で潰れ、外資に食われる。食う側になるのが最善の経済安全保障なのだがそんな声はどこからも出ない。White Houseがしているようにネタニヤフ政権とイスラエルを分けて考え、後者のインテリジェンスを日本企業が工業化して輸出することで両者win-winにならないか(TSMCによる台湾の戦略)。N氏には大変に興味深い論考をご提示いただいた。正月にじっくり考えてみたい。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

パー券の買付はいたしません

2023 DEC 21 10:10:58 am by 東 賢太郎

起業したてのころ、国会議員のパー券を一度だけ買ったことがある。受付で現金2万円を支払うと大き目の印刷した領収書をくれる。いかにも「経費で落とせますよ」という風情だった。なるほどと合点したが確定申告で落とすのを忘れた。見たことも聞いたこともないその男を支援していた男に頼まれ、まあ覗いてみるかぐらいの好奇心だった。そいつのスピーチのあまりのくだらなさにあきれ、こういうものは金輪際近づかないと決めた。

ということで昨今も国会議員に紹介されて会うぐらいのことはあるが、初対面のあいさつで必ず「パー券の買付はいたしません」と告げる。僕のビジネスで政治力やロビーイングが効くことはない。それ狙いでへこへこ寄ってくるような奴等と一緒にされるのも不愉快であるし、逆に僕は「株は買いません」と言われたら二度と会わないからそう言い切ってしまった方がお互いわかりやすい。政治家のビジネス経験というと、だいたいがかけだしのサラリーマン程度である。だから僕の商売を説明してもほぼわからず、ほとんどがそれでおしまいだ。

それでも、見込みあるなと思う人は何人かお会いした。僕は人を管理するのもされるのも嫌いだから政治家になろうと思ったことはない。管理者がいないと社会はもたないから誰かにしてもらう必要はあるので有能な管理者を応援する気持ちはある。政治家とは何か。志がある人だ。志は何であってもいいが、それが国民の琴線にふれるなら票が集まり、現金をばらまかなくても当選するだろう。政治は就職でも金儲けでもなく志に奉仕できる資質の人、国民の願いをかなえるモチベーションのある人の天職なのだ。僕にはその資質がないからお願いするのであり、敬意も払うし、税金も払うのである。

しかるに、総理になってやりたいのは人事ですという人が、中学生に「なぜ総理大臣になりたかったのですか?」ときかれ「一番権限の大きい人だから」と答えるブレのなさは見事ではある。しかし「機長になったのは一番権限が大きいからです」というパイロットが操縦する飛行機に乗りたい人はあまりいないだろう。日本国は目下そういう状態だ。入社試験の志望動機に「社長になりたいから」と答えるような自爆もので、もし社長が言ったなら株価大暴落だ。現にそういう資質の人がホールディンカンパニー制導入で多くの大企業のトップに立ってしまい、世界で日本だけ株が下がり続ける「失われた30年」を演出したのである。

岸田政権は支持率0%になっても続くと以前の稿に書いた。理由も皆さんが書いちゃって大丈夫ですかと心配してくれたほどはっきりと書いた。そうなりつつあるのはそこに書いた理由が正しい証明だ。それでも続けられる岸田氏の鈍感力は畏敬に値し、かような打たれ強さは定常的パフォーマンスを求められる公務員の大事な資質だ。僕には無理。以前、ある立派なNPO法人のトップをどうかという身に余る光栄なお話を頂いたがその場で辞退させていただいた。「すみません、競争して儲ける仕事じゃないとモチベーションが出ないんです」と理由を正直にお伝えした。狩猟民族なんですねとご理解いただいたが、民族というより猫であり、モチベーションをコントロールする能力はゼロに近い。引き受けたら100%ご迷惑をかけることが見えているからである。

パー券を買ってからいろんなことがあった。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

40余年やってきた大きな分岐点

2023 DEC 14 22:22:02 pm by 東 賢太郎

この1か月、 15人の新しい方にお会いした。そのひとりひとりと僕とのペアは15通りある。15人のうちの任意の2人を僕が間に入って引き合わせるとトリオができる。トリオになると15の出会いから105通りのビジネスが期待できる。

つまり、人脈を紹介でつなぎ合わせるとビジネスが成立する期待値が等比級数的に増える。従って、常に「つなぎ合わせの糊(のり)」がないか目を配ることが肝要だ。自らがオンリーワンの糊なら、即、良いビジネスができる。

先月から激務続きだったが、その甲斐あって大きな進展が今日あった。岸田内閣はがらがらぽんだがこっちは良い意味だ。こういうことがよくあるのだが、自分の意思でないのに、驚くほどうまく色々の平仄が合ってしまった。

上場企業が絡むので書けないが、まさに自分に適したミッションであり、そうでないと僕はモチベーションが出ないからだめな性格だ。これまで40余年やってきた大きな分岐点になる。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

インフルエンサーが結託するのは法則である

2023 OCT 21 10:10:03 am by 東 賢太郎

この仕事をはじめて13年もたつと投資機会というのはおのずとやってくる。それをもたらしてくれる人たちがいるからで、彼らは取引先でも知り合いでも友人でもない。友人であっても結構だが、この場面においてはそういうありきたりのカテゴリーでくくれない人たちであるというのが味噌だ。「人脈」とは多分そういう場面で使うために発明された造語で中国語にはない。脈というからにはネットワークの意味だろうが、知り合った相手の人たちが「僕は君と会ったこともないが東の友達だからライン交換しよう」なんてことはまずない。それは人と人の心のつながりを電気的なウェッブのつながりで代替できないことを示しており、心が通じない知人を起点とした脈(ネットワーク)の広がりは自己満足に過ぎずそこから重要な果実が得られた経験は僕にはない。

大事なのは目の前にいる人ひとりひとりが自分と合う人かどうかだ。合う人は類は友を呼ぶで合う人を連れてきてくれる可能性があるしその経験はある。いま周囲でおつき合いしている人たちとどういう契機で出会ったかをチャート化すると面白いことがわかる。31年もしていた大企業サラリーマン時代の人(第0次)の名はほとんどなく、13年前に起業してからお会いした人(第1次)、彼らから紹介された人(第2次)、その人からまた紹介された人々(第3次、4次・・)がほとんどなのだ。第0次と意図的に縁を断ったわけではないが立場変われは人変わるだ。会社を辞めるとあれほど一緒に苦労した部下、同僚などが誰も来なくなり寂しいものだった。その人との縁は会社の名刺や肩書が取り持っていただけだったのであり、そういうものを人脈などと呼んで安心してはいけないことを身をもって知った。

投資機会の話をくれる人は各次にいるがほんの10人ほどだ。この10人が僕の生命線ということであり、31年もかけて築いた「人脈」は99%スクラップになってしまったが問題なかった。くり返すが意図してそうしたわけではなく、起業して必死にもがいた中で、求められもしなかったし必要もなかったから自然にそうなっただけだ。正直に「僕はハードボイルドな人間です」と初対面の人に臆面もなく言ってはいるが、そうでないと一人で生きていけなかったからであり、元からそういう人だったかどうかは忘れてしまったが、もしそうでなかったとしても戻ることはないだろう。なぜならハードボイルドな人生はけっこう適していて楽であり、実はそれは自然体の自分であり人生の99%を適してない場所で過ごしてきたかもしれないとも思えるからだ。証券業の仕事は苦でないし成果が出せる意味では天職と思うほどだが、それとこれとは違って、人間的には適してないが技術で手なずけてきたのだと思う。

ではその大事な10人はどういう人達なのだろう?彼らはそうすることで飯を食っているわけでは必ずしもない。10人ではない人が知人を紹介してくれ、その人は彼にとってはただの友人だが僕にとっては10人に入ったというケースもある。いい話を持っているがひとりでは完成できず僕が助けてウィンウィンになったことで10人に入ったというケースもある。かように千差万別なのだが、絶対の必要条件であるのは、彼らも僕も各々の世界の「インフルエンサー」であることだ。投資機会というものは誰でも確実にもうかりますよなんて顔はしていない。リスクやコストがあってその難関を突破できる者だけに「おいしい」のだが、そうするには何らかの形で「インフルエンス」ある者同士の結託が有効なのである。

このことは、さらに大きなスケールで地球上を覆っている原理と考えてもいい。つまり、なぜ米中の国家は水と油なのにウォールストリートと中国共産党は通じているのか、なぜ宗教で激しく対立するサウジアラビアがイスラエルに接近したのか、なぜプーチンは中国の一帯一路を絶賛したのか、という一見すると??という現象は「インフルエンス」ある者同士の結託が有効であり、場合によっては歴史的諍いを封印してでもその選択が生きるためには得策だということなのだ。そういうことが起きやすいのは国民国家(ネーションステート)と民族の不一致がある場合で、どちらの利害を優先するにせよ軍事はもちろん金や利権の分捕りあいにおいても「原理」なのである。金の流れを見れば歴史がわかると言う人がいるが、それもそのいちパーツに過ぎない。ささやかながら僕が一国一城の主として日々していることはそれのミニチュア版だといえないことはない。少なくとも体感としてナタニエフならどうする、習近平ならどうするとシミュレーションぐらいはできる気がしている。

いま投資機会が複数あって目まぐるしい。出歩いてるうちに気がついたら広島カープが3連敗でシーズンを終えていた。複数の案件はできないから選択する必要がある。持ちこむ人も忙しい。昨日は東京ドームホテルのディナーで巨大買収案件の錯綜した全貌を聴いたが、それを2時間でわかる人はいないと相手が思ってるから僕に来ると思われる。それにストレートに意見し、イスラエル問題の推理を述べた。彼はそれを聴くためにぎりぎりの2時間をくれた。大物だがそれを参考に行動するのだろうから生半可な話でなくインテリジェンスである。ビジネスに確実はないがそうした進言を何度もはずしたら彼は僕を見限るだろうし、それが当然だ。つまり友達ではなくお互いハードボイルドな関係であって、お金が商品である金融の人間関係というものは秀才だとか人柄の良さとかいう世間的な要素は不要であり、そう勘違いしてる人はインフルエンサーにはなれないだろう。

一昨日は中東の著名シンクタンク首席顧問の才媛、および慶応大学教授で政治家でもある先生とランチして大いに盛り上がり、ニューオータニのラウンジになだれこんで3人で昼間の二次会になった。顧問はウォートンMBAの銀時計で米国でトップという戦績が物凄い。中東の王族が評価して当然だ。しかし、はるか上の先輩という身分は有り難いのである。ホットな中東情勢をゼロからレクチャーして下さり、トランプはMBAじゃないから先輩じゃないよねということで意気投合もした。教授も国内外で政界、官界の交友が広く東大の助教授もつとめておられ、アカデミックな世界でもインフルエンサーであるというのは大変な異能と思う。凄い人たちとお知り合いになれて楽しかった。ちなみに顧問はワグネルの第1ヴァイオリンだったというので、実は僕はついでに仕事してたみたいなもんで株より音楽のほうが詳しいといったら、椿姫の出だし最高ですよねとなって困った。ヴェルディは一音符も覚えてない。でも筋は泣けるでしょというが僕は文学的じゃなく数理的でそういうのも弱い。言わなきゃよかったと思ったらじゃあシェラザードはどうですかとなって、それなら第1楽章は暗譜で弾けますと先輩の面目を偶然に保った。

できれば飛行機だけは乗りたくないが情勢次第では仕方ない。神山先生の「安神」が効いて閉所恐怖症は鳴りをひそめているし、どうもこの病気は忙しいとそこに意識が行かないから大丈夫の気もする。問題はどれをやるかだ。まだ判断材料が足りない。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

兵庫と岐阜と名古屋の長い旅

2023 AUG 14 13:13:40 pm by 東 賢太郎

軽井沢でゴルフの翌日、八重洲のビジネスホテルを朝7時半に出て新幹線に乗った。東京に家があるのにと思われようがそれで2時間余計に眠れる。兵庫、岐阜、名古屋でお客様の会社訪問、面談などがあるためもう二泊し、契約調印、会食、野球観戦などの予定も入っていた。前日があまり眠れないだろうということでこうなったがうまくいった。その日はまず兵庫まで行って既得意のお客様の経営するレストランで仕事を済ませ、その足で岐阜までとんぼ返りするともう夕刻である。めったに来ないので観光したかったがまったく時間がない。

この日は岐阜・長良川温泉の老舗旅館「十八楼」に宿をとった。どうやら翌日に花火大会があるようでどこも満室である。この宿は二度目で、風呂がいい。食事も川向うにラーモニー・ドゥ・ラ・ルミエールというフレンチがある。マンションの5階の一室で景色が良く、味、もてなしともこれでおまかせ1万5千円はお値打ちだろう。風呂に入るんでとワインはパスさせてもらって水にしたが、長良川伏流水は氷を入れれば飲み物としても旨いのである。ピュアな軟水で高山の北アルプスの水ともちょっと違う。

十八楼は斎藤道三、織田信長のいた岐阜城がてっぺんにある金華山のふもとに位置し、鵜飼いで有名な地である。漁としての鵜飼いは5世紀ごろから行われていたようで、中国の史書『隋書』に日本を訪れた隋使が見た変わった漁法として記載があり、日本書紀に記載、古事記に歌がある。天皇家にゆかりがあり鵜匠は国家公務員である宮内庁式部職であり、平安時代に始まったショーとして見物する鵜飼いは頼朝、信長、家康、芭蕉も観ている。僕は大学時代に岐阜出身の友人と彼のお父さんに船上から見物させていただき、今でもよく覚えている。

十八楼には松尾芭蕉の、

このあたりめにみゆるものは皆涼し

と詠んだ句碑があり観覧船乗り場にも近いが、僕の目当ては温泉だ。鉄分のせいか赤褐色でありインパクトがある。薬草の湯というのもある。信長が伊吹山のふもとに薬草園をもっていたのにちなんだと説明書きがあり、仄かにそんな香りもあるが効くのかどうか。シルクの湯というのは微粒の気泡で乳白色をしており、毛穴まで入って油分を落とすというから有難い気はする。

兵庫のお客様はこれで弊社案件に4度目の投資のお得意様だ。名古屋のお客様は弱冠35才でM&Aで数十億の財を成した事業家で今回初めてだが、お見受けするところ事業の方でつきあう楽しみもありそうだ。PE(未公開株)投資は手慣れておられ、一件は適格機関投資家(法律上のプロ投資家)だ。我々の投資哲学はプロほど理解して下さり、すると投資して欲しい良質の起業家も寄ってくるという循環である。

二日目は名古屋からだ。特急で岐阜から19分。暑い。金時計の下にウンカの大群かと見まごう団子状の雑踏を見てなんだあれはと恐怖を覚え「キムタクでもいるんか」と言った気がするが何故かは覚えてない。お盆だからでしょ、なるほどねとなったが東京人である僕に盆休みの渋滞や混雑の実感がないことがこうしてわかる。頭も尋常でなかった。さもありなん、この日の名古屋は気温39度。香港、シンガポールだって高くてせいぜい35度だ、米国のデスバレーに次いで人生二番目が日本ってのは驚くしかない。昼前に集合場所のコメダコーヒーで今回のパートナーであるY君が合流し、お客様と調印を終えた。外へ出るとムッとする熱気と日照りに気絶しそうだったが、こういう時に限ってタクシーがなく、バスで名古屋駅へ向かう。

再度岐阜へ向かう予定だが、せっかくだから駅ビルで「ひつまぶし」でも食うぞとなった。旨い。たれの塩梅、焦げ具合が見事で、鰻重を茶漬けにする独創性も素晴らしい。名古屋の料理は一見塩辛そうだが実は程良く、八丁味噌が好きなので口に合う。滋賀、岐阜は奈良時代からの発酵文化が奥深く、京都より野趣があって面白い。鮒ずし、溜り醤油は僕にとって欠かせないほど好物だが尾張、三河にもそれは通じているのだろうか、秀吉が朝鮮出兵の根城にした名護屋城に鮒ずしを持って行ったし、家康の戦の供は八丁味噌であり、長良川の鮎ずしを発明して江戸城に届けさせたのもわかる。我が祖父は南信州で、叔母は名古屋で水野さんになり義理の伯父は岐阜人、戦争中の母の疎開先は高山である。もう地縁はないが子孫の舌に味覚が留められているのかもしれない。

コメダで合流したY君は今回案件の共同責任者だ。いままでは経産省キャリア官僚だった親父さんと案件組成をやっていたが、二世で四十過ぎの公認会計士である彼が独り立ちでやるのは初めてだ。優秀だが慣れてないところもある。資料作りなぞ細かいことであれやこれやとダメ出しして説教し、しち面倒くさい注文をたくさんつけた。電話の向こうで馬鹿野郎いい加減にしろと辟易していたのはわかっていたが、そういうことは僕は指揮官だから自分でしたことがなく当時の優秀な部下たちがしたわけである。でもそれがないとディールが決まらないことは誰より知ってるのだから容赦など一切なし。彼はガチ体験をした。どんなに怒っても終わればすぐ忘れるタチだが、ビジネスホテルのチェックインを済ませて喫茶室で休んでいると彼がそれを回想しながら勉強でしたと言ってくれ、世辞でない証拠に僕が吐いたとおぼしき言葉をみな覚えてるのである。サラリーマン時代にたくさんの部下がいたがそういう子はみな伸びて出世している。

岐阜のO社長はY君の紹介で初対面だが温かく迎えて下さった。投資の御礼を述べ少々説明を加えようとすると「それはもう結構です、出資したおかげでこの場があるだけで」と丁重に遮られ、自社の来歴、現状と将来の希望を熱く語られた。京セラ稲盛会長の盛和塾生であり、現在はご自身が指導する立場におられ、ご配下から上場企業が4つも出ている。自社もできるが志が高いゆえしていないとお見受けする。兵庫のお客様にも申し上げたことだが、僕は手垢のついた投資案件をオークションで買い上げて投資するような下世話な金融屋のコンペなんかに参加する気はない。会社様の繁栄発展の指標であるバリューアップだけが目的であり、経営者と一心同体でそれをして投資もすればこちらも利益になる。会社さんがたくさん取って当方は少ないからこれは利他的だ。お会いしたことはないが利他の心は稲盛さんの哲学の根本だった。51:49なら49でいいと言われるO社長と楽しいディナーをご一緒させていただき再度名古屋に向かった。翌日土曜日は初めてバンテリンドームで野球を観て帰る。花火の人たちだろうか電車はそこそこ混んでおり、夜の名古屋はまだ暑かった。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

ゴルフ、なめたらあかんぜよ

2023 AUG 13 14:14:52 pm by 東 賢太郎

スマホで台風6号の進路を見ながらまずいなあと思っていた。予報は8月9日だけ雨である、前後は晴れだけど。なんちゅうこった。まあゴルフはグリーンが水たまりにならなければできるが仕事の佳境で昼夜逆転気味だったのがちょっときつい。4時に起きるのは最悪寝なけりゃいいさと割り切ったが、新幹線を軽井沢駅で寝過ごさないかが心配で、コーヒーをあてにしたがワゴン販売がないらしい。降りた。よかった。ほっとしてのんびり歩いて集合の改札口に行ったら、皆さん東のことだからと心配して電話が入っていた(気づいてない)。それほど眠かったし信用もないのである。

「ゴルフはたぶん7年はやってないですよ。ええ、クラブも触ってないです」。そう言いながら大いになめていたわけであり、気に入ってたゴルフバッグは猫に爪とぎされてポケットがずたずただ。まあそういうのを気にしなくていいというか、Sさんはもう40年来のつきあいだし個人的に何回もやってるし、彼の会社のコースで野村證券はコンペもさせてもらってた。この日は財界著名人の某さんも一緒だ。台風だししょうがないねと雨は無視である。練習は結構ですとパットもせずに1番ホールのティーに立つ。みっともないショットはできないがこういう緊張があると僕は大丈夫なのだ。ナイッショ―!!キャディーさんの甲高い声が響く。自分でも信じ難い快心の一打が真ん中に飛んだ。おい、なんだよ。これで7年ぶりかよ~。

それが嘘でないことを証明するのにそう時間はかからなかった。まずアイアンでトップが出だした。あれ、おかしいな。音はしたが球は2メートル先だ。そういうやあ昔あったぞこんなのが、思いっきり振ったらザックリとターフ(芝)だけ飛んで球はそのままなんてのが。アイルランドの豪雨なんか手がすべって飛んだのはクラブだけだった。おかしいなと思ってたら今度はシャンクが出だした。それも2発連続だ。やばい。バンカーでも出てなんと5発叩いた。「すいません、いきま~す」。右斜め前45度の人に声をかける。

皆さんの足を引っ張ってしまった。10メートルぐらいのパットが入って、それでいてアウトのスコアは堂々たる60である。ランチだ。やめようかという声がかかる雲行きでもあったが、天ざる蕎麦をすすっていたらなんと窓の外が明るくなって雨はほぼあがっているではないか。オッケー、いきましょう。気持ちを入れかえて10番のティー。ドライバーを一閃するとチョロである。これはまずいとスプーンを取り出して一閃。ちょっと変な手ごたえだぞ、やばいな、まさかOBかよ?球は頭を叩かれて湿った地中にめりこんで埋まっていた。Sさん、2打でドロップでしたっけ?まあそれはいいんじゃない(笑)

10番ホールから見える11番はもこもこの霧の中である。中にカートが侵入するとそこは大雨だった。遠くの方で低く雷鳴が轟く。あれまずいね、近くなったらやめましょう。誰かの声がした。おお、そうか、やるんだ。みなさん昭和の根性が立派だ。あれっと思うと傘が1本ない。落としたらしい。なんとヘッドカバーもないぞ、キャディーさんも大変だったんだ。13番まで進軍した。2打目を打ち終わったフェアウエーでとうとうその時が来た。何となく全員の雰囲気がそうなった。やめましょう。前の組を御免なさいよと追い越して、キャディーお薦めの近道でクラブハウスに帰還とあいなった。そうか、そういえば、東は雨でもやめないって有名だったかもしれない。香港の2年半で、あれほどクソ暑くて雨が多いのにプレー前の断念は一度もなく、途中でやめたのが2度しかない。だからやめましょうって僕がいえばよかったんだ。

実は気になる記録があって、そっちが気になっていた。会社に入って1年目、成り行きで誘われたお客さんの社内コンペだった。断るのもなんだし、止まってる球なんてたいしたことないだろうと練習もなしで出場した。何を何番で打つかもわからなかったので、短いショートを5番で打ったらトップでピッチャーゴロだ。これが乗って寄ってで爆笑のニアピン賞。兄ちゃん、君は筋がええぞと大阪のおっちゃん方の肴になった。その人生初ラウンドのスコアが125だったのである。これはヤバいな、いよいよ更新かと必死だったのだ。

混んでてね、ここしか取れなかったんでとSさん。とんでもない、多分、晴れてたら素晴らしいコースだ。おかげさまで目が覚めました。このままってわけにはいかない。このコース、香港で毎週やってた深圳にあるシャングリラの西麗Golf and Country Clubにどことなく似ている。再チャレンジしなくては。

軽井沢高原ゴルフ倶楽部

Sさんの別荘でいろんな話も出た。毎回そうだが仕事の話はしない、それがいいのだ。本当にゆっくりでき最高のリラックスをさせていただいた。中華をご馳走になり東京に戻る。八重洲のホテルで寝て朝には関西に発つ。お客様とこれからそうなる会社様2つにアポがある。これだけの行程の仕事は野村時代でもあんまりないからわくわくだ。

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

「人生の軌跡」をどうビジネスにするか

2023 AUG 6 9:09:54 am by 東 賢太郎

案件をひとつ終えた。今回はドローン会社に投資した。次いで2社の投資候補が現れておりこれから調査にはいる。数年後の価値を計算してそれより安いと考えれば投資し、上場か買収でエグジット(売却)するというシンプルなビジネスである。したがって成否は「仕入れ」(ソーシングという)が命だが、なぜこれがビジネスになるかというと勝算のある案件を見つけるコネクション(ソース)があるからだ。何故それがあるかはブログに縷々書いてきた人生の軌跡があるからとしか言えず、ご興味ある方はお読みいただくしかない。僕と同じ経験をした人は誰もいないからソースは誰とも同じでなく個人的なものだ。つまり誰とも衝突しないし誰も参入はできない。一般にこの仕事は皆が欲しがる案件を奪い合いするソーシングとなり、仕入れコストが高くなって売却時のリスクがあがる。イメージだがオークションにかかって値段が競り上がった絵画であり、僕はかける前に所有者と談判する。

これを始めたのは若い頃から上がる株を探すのが趣味だったからだ。具体的に何をするかというと、興味がある会社の2~3年さきの業績予想(仮説)を立てて、時々刻々変化するその予想値を再計算(検証)する作業だ。これは特別なことではなくウォートンのようなファイナンス専攻のビジネススクールで投資分析(Security Analysis)という科目にもなっており、僕もそこで技術を修得した。ただそれは学問ではなく、それをベースとした分析の考え方と手法は様々で試行錯誤が必要でもあり、20年以上も継続的にうまくいっているソナーの実績(トラックレコード)は統計的に特異な方に属するだろう。分析から出てきた予想のとおりにいけば株価は上がるはずだが、ビギナーズ・ラック(一発屋の成功)では来年もうまくいくかどうかさえわからない。20年にわたるサステナブルな成功が偶然の産物である確率は非常に低く、我々の考え方と手法が有効であることが根拠であり、今後もサステナブルである可能性はビギナーズ・ラック狙いの投資よりも高いといって間違いではないだろう。

実際に株式を購入しなくても(紙の上だけでも)仮説が実証されれば趣味としての満足感は得られるが、購入して初めて利益という「賞金」がもらえるようになるわけだ。そのポジションに就くことを世間では「投資」と呼ぶわけである。上場企業は重要なニュースや業績の発表が義務づけられているので検証がしやすいが未上場企業はそれがなく、経営者との良好なコネクションがないと困難でリスクが高い。だからそれを築ける人的資源をたくさん持ち、良い条件で投資をさせてもらう交渉の余地を作れるだけの「人生の軌跡」がキーになってくるのである。以上から、株式投資というものはFXや暗号資産の売買やあらゆるバクチと異なり、合理的に勝てる蓋然性が高い、より正確に書けば、その蓋然性は投資家が合理的思考ができるか否かへの依存度が高いことがご理解いただけるだろう。

また、投資ではなく経営になるが、本草学(いわゆる漢方)を活かした健康サポート事業を計画している。68才の僕は日本人男性の平均寿命まであと13年しかない。やるべきことはまだたくさんあるので神山先生に頼ることになる。徳川家康は学者並みの本草学の知識があり、家来に処方もし、自身も当時としては長命の75まで生きた。2千年の歴史がある本草学だが中国では文革による下放で技術の正統な伝承者は10人もおらず、むしろ欧米で評価の機運が高まっている。そのひとりである先生(本名は屠文毅)が日本に帰化しておられ、僕が20年来の友人であることはこれまた「人生の軌跡」である。ご関心ある方に体験の機会を提供すること、それによって伝統技術を日本人に継承することを先生は強く望まれており、それに貢献をしたい。

ソナー・アドバイザーズ株式会社 

お問い合わせ

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

ライフLife Documentary_banner
加地卓
金巻芳俊