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蛙鳴蝉噪(冬に節電)

2012 NOV 2 12:12:53 pm by mtsuzaka

北海道ではこの時期になると「雪虫」が飛ぶ。真っ白い綿のような小さい虫が飛んでいる姿をを見るとあたかも粉雪が舞っているかのようだ。「雪の妖精」などと表現する人もいる。アブラムシの仲間らしい。雪虫が飛ぶと雪が近い。子供の頃から、そう信じているし、今でも札幌に住む友人とのメールでは雪虫が初雪の枕言葉となる。だから、子供の頃は、雪虫を見かけるとなんとなくうきうきした 。

 

昨日付けの日経新聞2面の真相深層に「北海道、節電だけで冬越せる?」との記事が掲載された。答えは「供給余力が少ない。トラブルが起きると深刻な事態になる。トラブルは増加傾向にある。」 だ。                                                         今年10月、北海道経済界は泊原子力発電所の早期再稼働を枝野経済産業相など関係者に要請していた。経産相は「再稼働問題は原子力規制委員会が判断する。私から規制委に何か言うことは法律上できない」と述べ、規制委が稼働の是非を決めるとしていた。道経済会は、経産相のほか官房副長官と民主党にも訪問し、「北海道の電力需給は大変厳しい。対策として泊原発1、2号機の運転再開を検討いただきたい」などと訴えていた。更に、自民党の安倍晋三総裁らにも同様の要望をしていたのだ。この事実を踏まえ、同記事は、北海道ではロードヒーティングや鉄道のレールの隙間にたまる雪を溶かす装置などを例にあげ、電気動力とする日常生活を守るための設備も、多いことから電力不足は深刻な事態に陥るかもしれないと警告を発している。しかし、泊原発の再稼動を判断する原子力規制委員会による安全基準作りには時間がかかる見通しで、年内再稼動は絶望的だ。
北海道では冬の電力需要は夏より高い。北海道の夏をすごすのにエアコンは必要ない。たまに30度を超えるが我慢の限度内だ。道東の釧路の8月の平均気温は18度、札幌だって21度くらいだ。梅雨もない。北海道の夏は、猛暑に悩まされる地方からするとすこぶる快適だ。余談だが、海水浴に行くと浜辺でたき火がないと寒くて泳ぐ気にもならない。だから、夏のビーチの華やかな眺めも期待できない。そのせいだけでもないが、私は泳ぎが不得意だ。しかし、スキーは得意だ。3歳からおもちゃはスキーだったし、小学校から大学まで体育の授業はスキーだった。北海道の太平洋側は雪が少ないため、スケートが盛んだ。北海道に暮らす人は大抵スキーかスケートどちらかはできる。しかし、どの地域でも、雪や寒さとの共存は厳しい。 旭山動物園がある旭川地方の1月の平均気温はマイナス7.5度だ。関東で比較的寒いといわれる、さいたまでも、3.6度だ。
私の母親は雪深い地域に住んでいる。今年は記録的な豪雪となった。朝起きて50cm程度積もった雪をよけて、夕方もう一度積もった雪をよける。この作業をサボると大変なことになる。近年一般家庭においても電力の安定供給はますます重要性を増している。北海道では2005年以降オール電化が進んできた。それまでは新設住宅の2割以下だったが2010年度は新築の54%がオール電化住宅だ。累計件数では15万戸を超えた(北海道電力)。母が住む家は、オール電化ではない。暖房は灯油を燃料とするストーブと温水を循環させる床暖房だ。しかし、屋根からの落雪を防ぐためのルーフヒーティングや玄関前のロードヒーティング、水道の凍結を防ぐ電熱などは、電気を使う。節電のためにこのヒーティングを止めると、一晩で屋根に1mを越す雪が積もり、玄関を開けるのも困難になる。昔は、水道が凍結すると水道管にお湯をかけた。公道でのロードヒーティングも重要だ。緩やかな坂道であっても、凍結した路面は一瞬で車を制御不能にする。                                                “Trick or treat”。雪の妖精「雪虫」は、たくさんお菓子をもらったのだろうか。満足したなら、あまり過激ないたずらは起こしてもらいたくない。

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