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スポーツを科学の目で見る(ソチ五輪閉幕)

2014 FEB 24 16:16:20 pm by 中村 順一

早いもので、アッという間にソチ五輪も閉幕してしまった。日本選手団もメダルは8個で長野に続く好成績とマスコミは騒ぐが、筆者には不満である。金メダルが羽生の1個だけだからである。

今回、個々の選手は凄く頑張ったと思う。羽生は天才ぶりを十分に発揮、チャンを寄せ付けずの金だった。真央ちゃんのショートプログラムは残念だったが、日本じゅうが息をのんで見守ったフリーは感激的だった。もしフリーで失敗したら、真央ちゃんのこれからの人生が、後悔の思い出で暗くなる、それではあまりに可哀そう、と思い、怖くて見ていられないくらいだったが、演技は素晴らしかった。鬼気迫るものがあった。この演技の成功は、今後の彼女の人生に大きな支えとなるだろう。本当に良かった。真央は8年前のトリノ五輪に出させてやりたかった。年齢制限で出れなかったのだが、あの時出ていればもっと無邪気に、はつらつと滑れたのでは。ちょっと長い間国民の期待を背負いすぎた。疲れて当然である。葛西も執念の銀だった。もう少しで金だったので残念だが、ひざを痛めている中でジャンプは完璧だった。沙羅ちゃんと上村愛子は4位。惜しかった。特に沙羅は大本命だっただけに悔やまれる。これからも彼女の競技人生は続くのだろうが、ここでメダルを取れなかったことが、トラウマにならなければ良いが。

結構多彩な顔ぶれが活躍した。スノーボード男子ハーフパイプの平野、女子パラレル大回転の竹内、は金も取れるか、という勢いだった。ノルディックスキー複合の渡部も、もう少しだった。フリースタイルスキー女子ハーフパイプの小野塚も立派だった。日本選手にとって新しい分野でのメダル獲得は、今後の競技の普及に大きな力となるだろう。

でも金は一個だけだったのである。特にスピードスケートは惨敗だった。2大会ぶりのメダルゼロである。週末は、筆者が期待した女子団体パシュートをじっくりと観戦し応援したが、まったく歯が立たず4位。前回のバンクーバーではあわや金と思わせ、タッチの僅差で銀だったのだが。準決勝を実質捨てて3位決定戦に賭けたのにロシアに大差の敗戦。日本チームは3人の連携プレーもバラバラで、筆者の目にも準備不足が感じられた。

もっとオリンピックに勝つための、国家を挙げての準備が必要なのである。オリンピックでの日本選手の活躍は、日本全体が盛り上がる非常にいい機会になるのだから。今のままではいくら個人の選手が頑張っても、外国の選手と張り合うのはなかなか難しくなるだろう。スピードスケートで、まるで精密機械のようなオランダ選手の滑りを見ていて、危機感を覚えたのは筆者だけではないだろう。

週末に、東京五輪へ向けての選手強化策として、スポーツ競技団体の負担を実質ゼロにして、全額国の負担にする方針が伝えられた。当然の策である。海外の国に比べて日本のスポーツ予算は極端に少ないのだから。東京五輪競技大会準備委員会の竹田恒和によれば、2020年の東京五輪では日本は25~30個の金メダルを目指すそうだ。このソチ五輪の日本選手の活躍と、にもかかわらずの、惜しい敗北、惨敗を教訓にして対策をたてていく必要がある。

ソチ五輪で日本選手、本当にご苦労様でした。感動をありがとうございました。

 

Categories:オリンピック

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