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日本の国境ー最北端、最東端、最南端、最西端ー

2015 MAR 3 16:16:14 pm by 中村 順一

日本は島国として、その領土は、小さい島々で意外に広がっている。皆さん、日本の領土の最北端、最南端、最東端、最西端がどこにあるか、ご存じであろうか。なぜか筆者の世代では学校であまり教えてくれなかったので、正確に言える人が少ない。集団的自衛権が問題になっているが、まずは守るべき日本の領土がどこまでか、を理解しなければならない。”守るところがどこなのか”、をわからなくては話にならない。

日本は島国であるとともに、周辺海域の大きな海洋国家でもある。日本は人口規模では世界10位、国土面積では世界61位である。それでは支配権の及ぶ海洋面積ではどうだろう。領海を含めた排他的経済水域の面積では日本は447万平方KMと広く、世界6位である(北方領土、竹島等は日本領として計算)。日本は海洋国家としては大国であり、日本領としての島々がそれだけ広がっていることが、ご理解いただけると思う。

 

最北端は択捉島のカモイワッカ岬である。もちろん北方領土の一部であり、現在の実効支配はロシア、日本人が簡単に行けるところではない。できれば是非いってみたい岬だ。安倍・プーチンの今年から来年への北方領土交渉に、大いに期待したい。オバマがレームダック化した今が絶好のチャンスだ。もしかすると最後のチャンスかも知れない。筆者は東京に住むロシア人と交流があるが、プーチンを支持する或るロシア人曰く、「中村さん、確かに今がチャンスだ。中村さんがいつも言っている”面積等分論(択捉島南部に日露国境)”だって、もし安倍が率先してクリミアをロシア領と認めればあり得るぞ。東ウクライナは触らないでおこう。」だそうである。何とかならないものか。

 

最東端は南鳥島である。この島は小笠原諸島に属するが、本州からは1800キロも離れており、日本海溝の東側にあり、日本で唯一太平洋プレート上にある、かなり遠い島である。マーカス島とも呼ばれている。現在では一般市民の定住者は無く、海上自衛隊と気象庁の職員が交代で常駐している。面積は1.51平方KMあり、最高標高は9M, しっかりとした十分に人が住める島である。

第2次大戦時に戦闘を想定して島を要塞化していたため、現在でもその時代の戦車や大砲の残骸が残っている。実際にはアメリカ軍による空襲はあったものの、上陸・地上戦は起きなかった。

行ってみたいが、なかなか行けない島である。作家の池澤夏樹が南鳥島に行きたいと要望し、島への補給船に便乗して、一日だけ上陸したことがある。この時の体験は彼の著作「南鳥島特別航路」に書かれている。最近はこの島の付近の海底に大量のレアアースが発見されて話題になっている。

 

最南端は沖ノ鳥島である。東京から1740キロ、硫黄島から720キロ、フィリピン海プレートのほぼ中央に位置する。台湾より南にあり、北回帰線より南、これもかなり遠い島である。干潮時には環礁の大部分が海面上に姿を現しているが、満潮時には環礁内の東小島と北小島を除いて海面下となる。北小島は2008年時点で海抜約1M, 満潮時は海抜約16CM, 東小島は2008年時点で、海抜約0.9M, 満潮時は海抜約6CMである。正に消失寸前だったのだが、政府は1988年から北小島及び東小島に鉄製の消波ブロックの設置とコンクリート護岸工事を実施した。第2次大戦前の調査記録では海抜最大2.8Mの北露岩、1.4Mの東露岩、さらに2.25Mの南露岩が存在したと記されているから、1987年までに風化と海蝕がどんどん進んでいたことになる。正に危ないところだった。

沖ノ鳥島は貴重である。2つの小島が浸食され満潮時に海面下に隠れてしまうと、定義上の島ではなくなることから、日本は日本の国土面積を上回る排他的経済水域を失う(約38万平方KM)ことになるのだ。2011年から国土交通省は港湾設備の建設に着手、将来的には輸送や補給が可能な活動拠点を作っていくことを決定した。ところが2014年3月に建設中の桟橋が崩壊、7人が死亡するという冴えない事件が起こってしまった。工事の着実な進展と完成が待たれる。ただこの島も、とても行ける所ではない。

 

最西端は八重山諸島の西端、台湾の北東に位置する与那国島の西崎(いりざき)である。ここは日本の東西南北端の中で唯一、一般の交通機関で誰でも自由に訪れることができる場所である。筆者は10年ほど前に行ってきた。西崎からは1年に数回、台湾の山々がくっきりと見渡せるそうだが、筆者が行ったときは残念ながら曇っていて見えなかった。

与那国島は面積28.9平方KM, 人口1745人の国境の島である。島は東西に細長くサツマイモのような形をしている。中央北部に祖納(そない)、西部に久部良(くぶら)、南部に比川(ひかわ)の3つの集落がある。観光にはすばらしい島で、皆さんにも是非訪れることをお勧めしたい。一人で行ったが、カジキ、ヤシガニがたまらなく美味で、特産の花酒(60度の泡盛)を楽しみながらの夕食は最高だった。夜一人で外に出て歩き出すと、月明かりの中でぼんやりと自然景観が映し出され、本当に感激した。タクシーで島を一回りした。与那国馬がたくさんいる東崎、最西端の西崎、謎の海底遺跡、テレビドラマ「Dr.コトー診療所」のロケに使われた診療所の建物、等々、是非もう一回行ってみたい。

最近2月22日に全国で注目された、与那国島の住民投票があった。「自衛隊配備に賛成か否か」の投票である。住民投票で問われたのは、陸上自衛隊の沿岸監視部隊約150人と沿岸監視レーダーの配備の是非である。有権者は永住外国人も含む中学生以上(?)の1276人、投票率は85.74%だった。開票結果は筆者にとって嬉しい結果になり、賛成632票、反対445票、無効17票だった。これは沖縄の離島の投票結果としてはかなりの”大差”である。(離島の選挙は島を挙げての大騒動になり、それぞれの陣営が必死の選挙工作を行うため、だいたい僅差になることが多い。)これで、あの過疎に悩む与那国島は大きく変わるだろう。我が国の国境防衛にとっても画期的である。実に喜ばしいと思う。

以上、4つの我が国の領土の先端を見てきた。与那国島以外に行くのはほとんど不可能だが、元気なうちに択捉島は是非行ってみたい。

 

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