Sonar Members Club No.36

月別: 2014年2月

和の心 (山梨の記録的大雪) 

2014 FEB 28 16:16:31 pm by 西 牟呂雄

雪に埋もれた庭

観測史上最大の積雪を記録した山梨県に、我が山荘・喜寿庵はある。道路・鉄道が3日くらい全て不通・閉鎖になり、何箇所も陸の孤島になるくらいだから心配になって恐る恐る行ってみた。いや、凄いの何の。ライフラインを確保するために、重機が道路の雪を脇に寄せるので、道の両側が壁のようになってしまっていた。それを崩しても入り口から玄関まで、まるでラッセルするように少しずつ雪を掻き分けなければ行けない。まるでスキー場のたたずまいに仰天した。街の中はあちこちにピラミッドのような雪の山が築かれ、物流はまったく滞り、シーンとしていた。しかも進退窮まった車が何台も乗り捨てられていて、それを掘り出しに来た人が汗だくになっていた。喜寿庵の前庭には十本くらいの竹が植わっていて筍を毎年掘ったりしているが、重みに耐えかねて地面までしなり下がっていた。こういうのを恐ろしい光景と言うのだろうか。

そして芝生を這わせている庭がすっかり埋もれているのが写真だ。これで1m以上積もってしまい、こんもり盛り上がっているところが庭石なのだがとてもそこまで行けなかった。この写真は風情があるように見えないことも無いが、表面がガリガリに凍っていて、そうっと乗ると少し歩けた。ところがその庭石の側までいったところで突如足がめり込み、大げさでなく腰まで嵌って倒れてしまった。人が見ていたならば、オッサンが埋まってのた打ち回っているように見えたことだろう。例年この時期は芝焼きをするのだが、いったいどうなることやら。写真手前のゴツゴツした枯れ木にみえるのは楓で,普段から赤い葉をつける。それが紅葉の時になると、鮮やかな朱色となる。昔から一族で愛でてきたが、一部の枝が折れてしまったようだ。僕は色弱だから、ほかの人にはさぞ強烈な色なんだろう。枝が折れたことで景色が少し変わるはずだが、惜しいといえば惜しいが、またその景観を伝えていくことに違いない。あるがまま、『和の心』とはこういうことか。

この写真の右奥は桂川渓谷に面した崖になっていて、それこそそのうち雪崩でも起きることになるのではないか、下には何もないが・・。川瀬の音は相変わらずザワザワしていた。遠景に山が重なっていて、ちょうどその窪んだところに冬至の日の太陽が落ちる。この時期はすでにもう少し北側に夕日が沈むことになる。奥の林の先には小さい畑があって、昔は人を頼んでとうもろこしや茄子・きゅうりを作っていたが、今は年老いたオヤジが、手がかからないジャガイモなんかを植えてる。しかしとうてい辿り着けないので、様子がわからない。毎年毎年庭に落ちる枯葉をセッセと入れているのだが、あれは雪の下でちゃんと土になっているのだろうか。

街には江戸時代に生活用水をはりめぐらした水路があるが、静けさを破る『防災放送』によると、『家中川(水路のこと、御家中を流れていた)に雪を捨てないでください。溢れてしまいます。』だそうだ。いかに想定を超えていたか。メンバーになっているゴルフ場も当面クローズで大損害を被っているし農業の被害も甚大。しかし、120年に一度の大雪なぞ、地震の被災地からみれば何程のこともない。門前の雪のピラミッドを崩しながら、積んで崩して積んで崩して、と呪文のように唱えた。

それにしても仰ぎ見た富士のきれいだったこと。あるがままの『和の心』って・・・。

喜寿庵2

突然の大雪で遭難か


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それはないんじゃないの? 橋下大阪市長きょう辞めちゃった

2014 FEB 27 13:13:35 pm by 西 牟呂雄

会議も、目的達成のための議論を磨くのは結構なのだが、何が何でもこれだけは(人も聞いているから)言っておかなけりゃ立場がない、という人達の発言の坩堝となっては救われない。昔、国会の混乱を評して『踊る阿呆に見る阿呆』とコメントしたM総理大臣(森さんではない)がいたが。そういうセレモニーには生産性のカケラもない。揚げ足を取り合い、勉強不足を棚に上げ、エラそうに評論する門外漢たちを相手にいくら噛んで含めるように説明しても、時間の無駄でしょう、民間だってそうだ。ましてやイデオロギーの違いまで含めた所属団体をバックにする議員とか委員を相手にするのは本当に骨が折れることだろう、ここは同情します。橋下元市長は、予算の組み替えをされ、選挙で気を使ったのに某政党に袖にされ、頭に来たから直接選挙で白黒つけてやるとなったようだが、これ、本末転倒じゃないの?

仮に再び市長になっても(たぶん勝つんだろうけど)対立する市議会のメンバーは変わらないし、その議員さん達も橋下さんに投票した(しなかった人もおるやろうが)市民から付託を受けた人である構造は残る。その議員さん達は大げさにいえば様々な市民生活者の代表であって、これを一言で言えば利権という。橋下さんは頭も切れるしケンカも強い、おまけに失うものもないからあんなにつっぱれる。こういうところ、石原慎太郎と相通ずるから意気投合したんだろうが、この二人、組織でものをやったことが無いところもよく似ている。

実際のところ、都構想も二重行政も大阪市民にとってはどうでもいいことで、それが冷静な投票行動につながるとは思えないのだ。横山ノックでええやんか、のノリ(悪くないけど)で間に合っていた人達にそんなに訴えるものがあるだろうか。大阪の皆さん、そりゃ無駄は省いた方がいいに決まってますが、本当の所どうなんですか、間違ってたらゴメンナサイ。

誰がいい悪いの話じゃなくて、平時の政治家っていうのは革命家でも戦闘指揮官でもなくて、色んな人の話を良く聞いて(ばれなきゃフリでも結構)時間もかけて、最後は「こうせざるを得ませんでした。」と決めセリフで締めるのではないのですかね。あくまで平時ですよ、平時!危機管理とは別の問題です。危機の時は時間との勝負だからそうは行きません。

それで余計なことだが、危機の場合はあらゆる例外措置を取るのだから、大上段に振りかぶらなくても自然と改革になっていく。あとフォローですむ訳だ。従って逆説的になるが、改革は平時に行うもので、政治家は極端な大騒ぎを慎むべきと考えている。小泉郵政選挙なんか賛否両論でしょうが(僕は民営化賛成ですが)結果は小泉チルドレンが湧いて出たし、民主党大勝利はその裏返しで、優秀な人が意気に感じて大勢政治家になったとは言い難い。冷静に、冷静に、胡坐をかいてあまったれる政治家も悪いことは悪いんですよ。腱鞘炎になるくらい握手して、反対しそうな人達にも声を枯らして訴えて、何とか選挙に通ってこそ政治家です。そういえば前の選挙で大阪が惨敗したときは、途中からあきらかにやる気を失くしてたみたいだった。

それで話を戻して、橋下さん、誰も言うこと聞かないんなら卓袱台返しだ、はまずいよ。この人いいこともしたように思うんだが、一体何のために政治家なんぞになったんだろう。テレビ出たいのかな。

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ローリング・ストーンズがやってきた! ジャンピング・ジャック・フラッシュ 歌詞(Jumping Jack Flash)

2014 FEB 25 11:11:20 am by 西 牟呂雄

悪魔的なコード進行とベースの絡みが聞こえてくるだけで胸躍る、そこにエイト・ビートが刻まれて・・・。誰でも耳にしたことがあるだろう大ヒット、しかしそもそもジャンピング・ジャック・フラッシュとは一体どういう意味なのか。ローリング・ストーンズのライヴでは、しばしばオープニングで演奏される、彼等のお気に入りなことでも知られている。

Jumping Jack Flash。Jackという名前はJack in the box とか Jack the Ripper というように英語圏の人にとっては何か象徴的な名前なのじゃないか。日本で言えば、太郎冠者や名無しの権兵衛のように、どこかの誰、程度のものと考えて良かろう。ちなみにJumping Jack単独では”操り人形”という訳がつけられ、歌詞を検索してみるとそれを使ったライナーや、Flashに掛けた稲妻野郎といった凄い訳があったりする。

だが、僕が思うにこの頃のストーンズがそんなに色々と考えて歌詞を書いたとは思えないのだ。多分ギター・リフだけを思いついて、スタジオでジャカジャカやっているうちに適当な歌詞を乗っけただけなのかとも想像している。何しろ当時のストーンズは『赤いドアを黒く塗ってやる』とか『何をやっても満足できない』という歌ばかりやってたのだから。同時期のビートルズが『愛』を歌いあげ、その後『平和』を歌詞に盛り込んだのに比べて、嬉しくなる程のアナーキーというか下品というか。ジャンピング・ジャック・フラッシュは単にノリのいい掛け声で、意味なんかない。こんな感じだ。

I was born in a cross-fire hurricane

コノヤロー   オレは育ちが悪いんだー
And I howled at my ma in the driving rain,

バカヤロー  何か文句があるのかヨー

But it’s all right, now In fact, it’s a gas!

上ー 等ー だー  やるのかよ
But it’s all right. I’m Jumpin’ Jack Flash,

上ー 等ー  跳んでやる
It’s a gas! Gas! Gas!

タイマン だー

 

こうなるともうメチャクチャで、以下2・3番に関してはいちいち合わせなくとも『てめー、いいかげんにしろ、ドタマカチ割るぞ、クソババア、死にさらせ、だからどうした、ウルセー、血の雨降らすぞ』という言葉を繋げるだけで十分かと思われる。一応歌詞だけは書いて置くが。

I was raised by a toothless, bearded hag,
I was schooled with a strap right across my back,
But it’s all right, now In fact, it’s a gas!
But it’s all right,  I’m Jumpin’ Jack Flash,
It’s a gas! Gas! Gas!

(間奏)

I was drowned, I was washed up and left for dead.
I fell down to my feet and I saw they bled.
I frowned at the crumbs of a crust of bread.
I was crowned with a spike right thru’ my head

いかがです。ところで、このアホ曲にもちゃんとカヴァーする人がいて、最もポピュラーなのは百万ドルのギタリスト、ジョニー・ウィンターのやつだと思う。この人はメチャクチャ早弾きしつつ、よせばいいのにガラガラ声でヴォーカルもやる。恐らくわがまま過ぎてバンドとしてメンバーが組めないから何でも自分でやらざるを得なくなったのだろう。僕はこの人のステージを見たことがある、それもニューヨークのマジソン・スクェア・ガーデンでだ。そのときは弟のキーボード奏者エドガー・ウィンターと組んでいた。あのプロレスの殿堂のマジソン・スクェア・ガーデンですぞ!

この旅は学生時代の夏休みで行ったのだが、思えば危ないことだらけだった。何も決めずに行ってしまったため、サン・フランシスコに着いた日から宿の心配をしなければならず、しばらくは観光もヘチマもユニオン・スクエアの周りでハンバーガーばかり食べていた。もちろん英語なんかも怪しいもので、ビクビクしながら過ごしたが、これでは何もせずに帰国になると一念発起、グレイハウンド・バスで大陸横断しニューヨークに行くことにした。乗り放題(こういうのは大抵足が出る)の切符を買ってまず南に向かい、知っている名前の街行き(ニュー・オリンズとかセント・ルイス)にのってみた。ところが途中、乗客の中におかしな薬でも草でもやったのか暴れだした奴がパトカーに連行されたり、エアコンが効きすぎて風邪を引きかけたり。矢沢栄吉のトラベリング・バスという歌があるが、クタクタになるのはその通りで、明け方に目的地に着くとフラフラと安ホテルを探した。大体グレイ・ハウンドのターミナルはダウンタウンにあったから、ホテルといっても今から考えると連れ込みだったんじゃないか、というくらい安かった。それでもかっこいい黒人青年と知り合ったり、きれいなオネーチャンと話したり(ただしこの人は日本を知らなかったが)無事ニューヨークにたどりつき、そこはマンハッタンだから高級ホテルのウォルドロフ・アストリア、が見える三流ホテルに泊まった。そこでマジソンの催し物に気がついたのだ。

しかしその頃のバリバリ・ロックコンサートは、何故かどこからともなくヤバい匂いのクサが回ってきて、誰彼かまわず思いっきり吸い込んでいた。隣のオニーチャンが僕を見て『ストーン?』と聞くのだが、どうも『効いた?』という意味のようで、実はぜんぜん効かなかった。ともあれ、ジョニー・ウィンターのジャンピング・ジャック・フラッシュは聞けた。ハンチングを被っていたので何だと思ったのだが、アンコールで脱いだら当時既に禿げていた。

この話もう一つオチがある。一週間後に大好きなプロレスの興行があって(当時WWWFといった)人気絶頂のブルーノ・サンマルチノが出る、もう見たくて見たくてしょうがなかったが、僕の学校は二期制なので中間試験が迫っていた。大体アメリカをほっつき歩いて準備も何もなかったのだが、これで受けなければ留年確実のため、有り金はたいて直行便で帰りましたとさ(まだ羽田だった)。そして羽田に着いたら物凄い報道陣がいてビックリした。実はこの時、ミグをかっぱらって函館に逃げてきたソ連のベレンコ中尉がアメリカに亡命するために出国する日だったのだ。そういえばニューヨークで、ソ連のミグが日本に攻めてきたという噂を耳にしたが、当時の会話能力では何のことか分からなかったのだ。高飛びですな、ジャンピング・ジャック・フラッシュ。

タイム・イズ・オン・マイ・サイド 歌詞取り

ホンキー・トンク・ウィメン 歌詞取り 埼玉にて

さよならローリング・ストーンズ ダイスをころがせ(Tumbling Dice)

一人ぼっちの世界とライク・ア・ローリング・ストーン 


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スポーツを科学の目で見る (ソチ 敗者達へ僕から10のメダル)

2014 FEB 23 14:14:24 pm by 西 牟呂雄

いささか科学の目からずれてしまうが、祭典が終わった後に感謝の念を込めて僕から讃えたい人達にメダルを捧げたい。いずれも心に残る選手達だ。

モーグルの上村選手。一体誰がルールをどう変えたのか。誰が採点したのか知らないが、あれはないだろう。最後に滑ったハナ・カーニー選手に文句はないが、審判はどういう基準で見たのか。ああいうのを見てしまうと採点者を画面に出したらどうかと思うが。ともあれ、終わった後の笑顔が清清しく、プラチナメダル。

ジャンプの高橋沙羅ちゃん あなたには先がある、と言ってやりたい。まだまだオリンピックに後5回くらいチャレンジできるのだから、何も泣かなくてもいいよ、かわいそうに。しかし高校生なのだから、感極まったのが泣き顔でもしょうがないか、鉄メダル。

絶対王者 ショーン・ホワイト、絶対王者とはプロレスラー並みのネーミングだが、それがコケた。ただ、彼なんかはもはやプロなんだからギャラの出ないオリンピックは本気が出ないんだろうか気になった。アメリカ人気質ならそうなのか、ニッケルメダル。

皇帝 プルシェンコ 腰がそんなに悪かったのか。納得行く演技ができそうもなかったのだろうが、地元だけに大変な決断だったろう。しかし棄権を告げに行ったときの表情は男らしいというか、潔しというか。ロシア人と仕事で関わっているが、意外とそういう所のある人達なのだ。ジルコニアメダル。

女子アイス・ホッケー 5戦全敗。致し方ない。はじめから予想されていたことなので、なにもしょげなくてもいいさ。メダルを取ったって女子ソフト・ボールや野球みたいに、競技ごとオリンピックから無くなってしまうものもある。選手たちには健気ささえ感じるのは僕だけだろうか。地道に活動を続けてほしい。しかし選手層はサッカーに比べても薄そうだし、続けられることを祈っている。錫メダル。

女子カーリング 予選健闘。初戦の韓国戦を落としたのがいかにも痛い。だが見続けているとこの競技、腕もそうだが戦略性が問われるゲームであることがわかった。いかにミスを少なくし、相手の裏をかくことがポイントなんですな。ところでカーママという言い方あんまり好きじゃない。個人的には十分楽しめたので、コバルトメダル。

高橋大輔 羽生選手が凄すぎて霞んでしまったようなのが気の毒だ。しかし大功労者であることは間違いない。個人的には少し点数が低いとも思うのだが、それなりに納得か。この日終わったときの表情が染み透るようで感動した。チタンメダル。

真央ちゃん この人のフリーについては多くの人がコメントしているから、余計なコメント抜きで、パラジュゥムメダル。それより、森元総理・東京オリンピック組織委員長の「あの娘、大事なところで転ぶ。」発言について。全文を読めば、揶揄しているわけでも貶しているわけでもない。むしろオジイちゃんが、孫について「かわいそうに、やっちゃった。」というニュアンスが感じられるのだ。一言だけ取り出して大騒ぎに持ち込むマスコミ手法ミエミエで、僕は同情さえ感じる。何らかの組織的謀略とさえ思う。この人の座談は面白いんだが・・。

ボブスレー 男子4人乗り アルミメダル。氷上のF1と言っても、競技のマイナーさ加減で、団体にもカネがないはず。スポンサーも碌についてないだろうし、選手は公募したって食えるわけじゃない。誰か大金持ちが道楽でチーム・オーナーにでもなって、それこそF1みたいにマシンを開発すれば日本の技術でいいものができるだろうに。苦労してわざわざソチにまで行く酔狂さ。
 実は僕は、あのパイロットのポジションにあこがれていて、一度でいいからやってみたい。スキーもスノボもこれ以上腕はあがらないし。青銅メダル

複合団体日本チーム ケガに見舞われるのが不幸ではあるのだが、得意のジャンプで6位では仕方ない。圧倒的に強いノルウェー・ドイツ・オーストリアのメダルは納得のいくものだし、長く低迷していた複合の復活を印象づける立派な5位だと思う。解説の萩原兄弟が泣いてしまったのがご愛嬌になって、競技人口が増えてくればいい。インタヴューで四人とも『最後まで諦めずにやりました。』が素晴らしい。君たちも勝者だ。亜鉛メダル。

次回の冬季は日本から近いし、一つ見にいこうか。

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年若い友人からの返事

2014 FEB 20 13:13:36 pm by 西 牟呂雄

先日は、お忙しい中時間を割いて頂き有難うございました。いやはや懐かしい話に盛り上がり、忘れていた記憶も大いに修正され、楽しい時間を過ごすことができました。今更ではありますが、例の件に関して、私から申上げることはありませんし、アドバイス頂いた通り「昔こんなことがあった。」と人に語ることは生涯固く戒めます。考えて見れば、相手が、それが例え生涯の伴侶であっても今後巡り会う親友であっても、口に出すべきでは無い、あるいは出せないようなことは沢山有るように思います。先輩が諭してくれたように、これから先輩の年までは今までの人生と同じくらいの年月があります。その時間を無駄に過ごすわけにはさすがに行きません。現時点の私にとっては気が遠くなるような長さに感じられますが、時間は誰にも平等に流れるでしょう。

今のところはいたって気楽にに過ごしていますのはお話した通りです。元々楽天的な人間ですので、毎日楽しくやってはいます。それは、失ったものの大きさがまだ分っていないのか、とも思えます。しかし私もいつまでも引きずっては居られない事情もこれあり、とにかく先に進まないと。

考えて見れば、私も傲岸不遜・自信過剰と思われても仕方がない振る舞いをしてきたフシが思い当たります。我儘一杯でやってきましたので、今後反省・努力に努めるとしてもそう簡単では無いでしょう。元々真面目にコツコツはやらないですし、カンだけを頼りにしてきました。こうなったら行くところまで行ってみようという心境です。ご容赦ください。

しかしながら、ここからが肝腎と思うのですが、今に限っては、まだ立ち止まっておくべきだと思い至りました。先輩はそういう言い方はなさらなかったのですが、この1年近く金も使わず人にも会わず、本ばかり読んで暮らしてみて、やっぱりあのまま行っていたら私も持ちそうになかったことは確かです。そして1年経って何がわかったかと言うと、これが分からない。こういうときに軽々しく「一からやり直す。」とか「隠遁する。」とか「農業を始める。」ということを口にするのもいかにも苦し紛れの格好付けのようです。私には継ぐべき家業もありませんし、これから勉強し直すのも気が進みません。何か仕事を見つけてやっていくつもりです。ヒョッとしたら引っ越すかもしれません。じつはこれが一番現実味がある話で、この辺をウロウロしていると誰かにバッタリ、というのも今は面倒なのです。もしかしたら外国に行くかも知れません。それがどこになるのか、何ができるのか、一月以内に結論を出すつもりです。わざわざご報告も大げさなので、落ち着いたらこちらから連絡いたしますので、そのときはよろしくお願いします。

それでは、又どこかで。

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年若い友人への手紙

スポーツを科学の目で見る (葛西選手という伝説)

2014 FEB 16 13:13:09 pm by 西 牟呂雄

41歳での銀メダル。海外でも高い評価を受ける葛西選手が快挙だ。そして直後に言った言葉。

「金メダルという目標ができました。」

まだやる気満々。その目は輝いていた。僕は41歳だったころを思い出して自分を恥じた。油の乗ったサラリーマンだったはずだが充実感はあったのだろうか。むしろ酒が弱くなってきて、こりゃちょっとマズい、と感じたことを覚えている。ベロベロになると家にたどり着けなくなったのもこの頃だ。小学校低学年の息子が、思い切り二日酔の僕を見て「とうさんがゾンビになっちゃった。」と泣かれたことがある。後年、車で助け出されることになるのだが。

ともあれ葛西選手のストイックな姿勢には頭が下がる。ベテランでもフォームを変え、トレーニングに励む姿が報道されるにつれ、これはもう一回くらいは出られるのじゃないかと期待が膨らむ。次は45歳だからこれからもう4年もやらなければならないのは気の毒かもしれないが、是非がんばって欲しい。何しろ”伝説”なのだから。ところで葛西選手の飛距離は金メダルの選手カミル・ストッホよりも長いのだが、あの点数は一体何なのか良く分からない。冬季オリンピックは白人のためにルールをいくらでも変えられるから、後味の悪いことにならないか心配だと言ったら言いすぎか。男子フィギアの表彰台は3人とも東洋系のカラードだったし・・・。

葛西選手、団体もよろしく!

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スポーツを科学の目で見る (羽生選手の世界最高得点)

2014 FEB 14 10:10:59 am by 西 牟呂雄

羽生選手お目出度う御座います。ショート・プログラムで素晴らしい快挙!団体の時からコンデイションが良かったようですが、圧巻の滑りでした。スピード・スケートの結果や真央ちゃんの団体でのコケ、沙羅チャン・上村選手のまさか、とソチの様々なセッティングを気にしていましたが、彼の場合全く不安を感じさせませんでした。むしろプルシェンコ選手が棄権したことが残念です。審判に棄権を告げに行った時の無念そうな表情に、同情を禁じ得なかった。ショーン・ホワイトの時にも感じたのですが、強い選手を追うことでライバルも精進を重ねてきている訳で、敗者にも栄光あれ、と思う瞬間でした。

羽生選手の4回転ジャンプが素晴らしいのは言うまでもありませんが、彼は着氷したあとの手の捌きが実に見事です。何か日本舞踊かバレェの素養でもあるかのように、やわらかく且つピッと決まるのです。一瞬ガッツ・ポーズに見えるように肘を折りたたんだ後、両手を一杯に伸す振りが美しい。この調子で行けばと期待です。羽生選手の演舞が見ていてワクワクするのは、やはり安定感があるからではないでしょうか。この点真央ちゃんはワクワクというよりハラハラといった趣で、トリプル・アクセルができるかどうかが気になってしまう。もっともバシッと決まった時の爽快感も代えがたい見応えで、どちらも大変結構。

ところで前ブログに書きましたが、女子のアイスホッケーとカーリングにも嵌まっています。メダルだ勝負だというよりも、あの日本チームの一生懸命感が実に好ましい。この二つの集団競技はどちらも完全アマチュアなのでしょうか。普段の注目度があまり高くない分、自分たちの手で色々と工夫を重ねながら苦労して晴れの舞台に立っている、という充実感が画面から伝わってくるようです。そういう競技は他にもあるでしょうから、あと一週間は楽しめます。昨日はスケルトンを見ました。

ガンバレ!日本選手!

 
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スポーツを科学の目で見る (ソチ・オリンピックのコンディション)

2014 FEB 12 11:11:41 am by 西 牟呂雄

日本選手が奮わない。上村選手のメダル逃しは気の毒な感じさえしたし、スケートも女子ジャンプも残念の一言。現時点ではスノー・ボード・ハーフ・パイプの平野、平岡選手が気を吐いて銀・銅に輝いた。今後の競技に期待するところなのだが、日本勢以外にも大本命の選手が大コケしてしまうのが目につく。勿論、個別のメダリストの栄光を傷つけるものではないし、運・不運は勝負にはつきものなのだ。

しかしながら、直前までトップ・クラスの実績のあった高橋選手のジャンプなどは、多少気に掛かる。ズバリ、スロープ・コンディションが言うところのスタンダードではないのじゃ無かろうか。今年は特別なのかも知れないが、回りに雪の無いジャンプ台など見たことがない。ああいう一瞬で勝負が決まる競技は恐らく微妙な雪面の滑りやスピードが、アレッとなると決まるものも決まらないのでは。同じ事がスケートのリンク・コンディションにも言えるような気がしてならない。まぁそれでも優勝する人は出るので、一概にそのせいにする訳にはいかないのは百も承知であるが、設備の遅れが大会前から指摘されていたのも事実だ。ハーフ・パイプでオリンピックにしてはやけに転倒する選手が多かったり、大本命の神ショーン・ホワイトの失敗もそうしたことが関係無かったか。もっともこれに関しては日本選手のメダルに繋がった。

筆者は日本のメダルは2個くらいと見立てていたが、フィギア・スケート次第で予想を上回る可能性が高い。我が不明を恥じるばかり、失礼な予想をして申し訳ありませんでした。カーリング、アイスホッケーの女子チームもメダルとは関係なくがんばって欲しい。はじめから負けるつもりで試合を投げるアスリートなどあり得るはずも無いのだから、ガンバレ!

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春夏秋冬不思議譚 (月曜日の夜)

2014 FEB 10 11:11:05 am by 西 牟呂雄

読者はご記憶だろうか。ブラジルにいて、僕にそっくりな(本当に似ていて,また同じ年。)ケネス・ニシームが久しぶりにメールを寄越した。何と日本語を勉強しだしたそうである。全く同じタイプの人間だと思っていたが、少しは真面目な面を見て感心した。僕はポルトガル語を今更やる気なんかは全然ない。しかし、しきりに”Monday night”と書いてくるのは一体何なのか分らなかった。月曜日の夜にでも日本語スクールに通っているのかとも考えたが、それにしては関係無いタイミングで”Monday night”をいくつも入れたメールは支離滅裂で、意味不明の内容なのだ。少しおかしいんじゃないかと不安になり、月曜の夜は何なのか恐る恐る聞いてみた。”What do you mean 「Monday Night」?” すると”It’s Japanese isn’t it?” との返事。それは月曜の夜、という日本語はあるに決まっているが・・・・。面白いことに、必ずそこにはいちいち” ”をつけてくる。『This ia “Monday night”』という使い方だ。そう言えば、覚え立ての日本語がローマ字表記でちりばめてあり、全て” ”が振ってあることに気が付いた。”Konnichiwa”とか”Samui”といった感じで、これはよく分る。するとケネス・ニシームは”マンデイナイト”を日本語だと思っているのか。

この謎は突然氷解した。要するに”モンダイナイ”と言いたくて、彼にとってはほぼ同じ発音のつもりで”Monday night「モンダ(デ)イナイ(ト)」”と書いてよこしたのだ。問題無い!あいつは一体どんな勉強の仕方をしているんだ。我がブログ『ロシア残照Ⅱ』に書いたように、遠いロシアでたった一人日本語を勉強していたアリョーナちゃんの方が、よっぽど合理的な学習をしている。

しかし、我が身を振り返ると身につまされる。中国で仕事をした時に、何かとメイ・ウェン・ティーとかモウ・マン・タイとかを英語に混ぜて喋っていたが、向こうの中国人が怪訝な顔をしていた。前者は没問題と書き、後者は無問題で大方の意味は同じだが、北京語と上海語の違いだった。多くの識者が当たり前のように知っていることを全く知らずにツウぶって口に出していた自分がバカだった。しかも没問題を”メイ”ではなく”ウェイ”に近い発音をしていたのに、誰も(あきれかえって)直してくれなかった。

韓国に行った時も、チェックインの際に大威張りで『ナー・ヌン・ニシムロ・スミダ。』と言った途端、真面目くさったフロント・マンに『にしむろさまですね。』と日本語でやられて恥をさらし、空港に行くタクシーの運転手に『インチョン・エア・ポート・イムニダ。』と言うと、その運転手に『カムニダ。』と直されてせせら笑われた。もっとヤバかったのは、ある日取引先から電話をもらい、ある用件を(日本語で)話している最中に、『スゴハァ・ショッソヨー(ごくろうさまでした、のつもり)。チュンビタ・テッソヨー(準備できました、のつもり)』とやったら、そうしたら『オー、シャベレマスカ。』と言われたものの、その後ダーッと韓国語で話しだされた。何にも分からないくせに調子に乗って『イェー(はい、のつもり)イェー。』と相槌を打っていたら向こうが電話を切ってしまった。この件、バツが悪いので放ったらかしていると、一週間くらい後に『西室さんに仕様書を送ってくださいと言ったら分かった、と仰っていたのですが。』という丁寧な電話があったという。

してみると、ケネス・ニシームの『Monday night』と同じようなことを、こっちもしょっちゅうやっている訳で、やっぱり同じタイプの人間なのか。そして恐ろしいことに、今度インドに行くらしい。実は僕もインド出張の計画があり、この調子でバッタリ会ったりしたら、何やら大変なことになるかも知れない。

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年若い友人への手紙

2014 FEB 6 11:11:08 am by 西 牟呂雄

久しぶり。その後どうしているかい。噂も聞かないが随分参っているようなので、手紙を書いてみた。大変なことになったのを耳にしたのが1年前だから少し間が空いたので、手紙でも読む気になったかとしたためている次第だ。別にこのまま捨ててしまっても構わない、僕には分らないからね。

まあ、あの事件については今更(このイマサラがポイント、直後ではこうはいかん)なのでどうこう言うつもりもない。しかし、この程度の時間が経てば多少考えも変ってくるもんだろう。無論、色々な感情は、全くの忘却でもしない限り無くなりはしない。今思い出してここで頭に来られてしまってはオジャンだからそのことには触れない。聞いて欲しいことはこれからだ。

その後、辛くも生きていることは、実は大変マトモなことで、キミは十分堪え忍ぶことを学んだはずだ。キミのことだからこの言葉を素直には受入れられないだろうが、僕はそう思っている。現に生きている。そして今後も(普通に考えれば僕よりも)長く生きる。どういう道を歩んでいくか、それはきっと僕の想像もしないことになっていくと思う。そして様々な人に触れあったり、多くの経験を積んでいくはずだ。当たり前の話だが、女性と出会い人の親になっていくだろう。しかし新しく出会う人がどんな人かにせよ、1年前のことを決して口に出すな。一度口にすればするほど、後戻りすることだと心得たまえ。

断言できるが、例えば10年も経ってしまえば、その件を口にする時に必ずウソが入る。「実は」「本当は」「今まで言わなかったが」といった前置きの後に続く言葉がいかに虚飾に満ちているか、僕ぐらいの年になるとよく分る。それは一面仕方の無いことだし、誰でもそうなのだ。キミを良く知っているから、敢えてこんな余計なことを書いているのだが、キミはそこで嘘を並べるたびに苦しむはずだ。そして一切誰にも言わないということは、キミの側から言えば恐ろしく孤独なことでもある。しかし考えて見てごらん。自分から言わなければ誰もそんなことは聞きに来ない。あれはどうだったんだ、と聞かれたらば、自説でも反論でもすればいいが、わざわざ聞きに来る者などまずいない。従ってあの話はキミの新たな知り合いにとっては無かったことになるだろう。

どうも当時の関係者とは連絡を絶っているようだが、それはそれでいい。だけど長い人生どこかでクロスすることがきっとあると思う。そんな時はシレッとして明るく挨拶できるようにし給え。別に無理に笑うこともないが、肩肘張ることなく普通に会話できるような胆力をつけることだ。そしてその後は人の噂を気にせず、端然としていればいい。こういうことはコツがあって、そういった『噂』とか『評判』に近づかないようにする、仮に偶然耳に入っても一切無視する、といった癖をつけること。これもまた孤独な振る舞いと言えるのだが、できるかい。分かりやすい例を挙げると、一人で口も利かずに酒を飲む行為が一番近いのじゃなかろうか。一人で飲む習慣があるかどうかは知らないが、ジッと黙々と飲んでみると、しみじみと解ってくると思う。

キミのことだから、面白可笑しく生きていくだろう。しかし犯罪だけは犯さないように。即ち、新聞・テレビ・ネットに名前が出てしまうと、キミの最も嫌う『あいつならやりかねない。』という心ない話題に堕すだろうから。返事は無用。体に気を付けてな。

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年若い友人からの返事

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