忠臣蔵 全部見るぞ
2016 NOV 24 4:04:50 am by 西 牟呂雄
国立劇場は十月から月替わりで年末までに仮名手本忠臣蔵をやってます。私は一念発起して三か月かけてこれを全部見ることにしました。国立劇場ですから一日に一興業しかしません。十月は四段目の 扇ヶ谷塩冶館花献上の場・判官切腹の場・表門城明渡しの場まで。そして何とあの悪役・高師直をご贔屓の高島屋市川左團次さんがやりました。どんなに憎たらしいかワクワクもんです。
10月の大星由良之助を大名跡高麗屋松本幸四郎さん、11月は吉右衛門さん。月替わりで七段目までやって師走に討ち入りです。
三ケ月に渡って全段を通しでやるのは久しぶりとのことで、中には何年もやっていないモノが復活していると聞きました。
さて、早速いそいそと塩冶判官が高師直にいじめ抜かれて刃傷に及び切腹になるところまで見ると、
ありましたね、掘り出し物が。塩冶判官の家老加古川本蔵の娘役をやる播磨屋の中村米吉さん。ご覧の通りの美貌です。この人の娘役は殺気のような色気と純情な部分が一体化されて何ともいえない妖しさが出てます。玉三郎クラスの実力者になっていくでしょう。
一方高島屋の左團次さんは松の間の刃傷の場面で『こいつまだ怒らないか。じゃこれではどうだ。ありゃ、まだか』とイジりにイジって上手い!
ところで四段目の『判官切腹』は別名『通さん場』と言って途中席を立つことは控えなければならないのですが、いいおばさんが出て行ったのは頂けませんな。
もう一つ、切腹の際に駆け込んで来た大星に向かって判官が「遅かりし由良之助ー」と言って息絶えると人口に膾炙されているが、歌舞伎にその台詞はありません。切腹に当たって何度か「由良之助は・・・まだか」とか細く聞くと大星力也が「未だ参上仕りませぬ」と答えるだけなのです。長く親しまれている演目なので観客の思いが架空のシーンに託された都市伝説ですね。同じく時世を読む所もありません、現代劇中の創作です。
さてさて11月には私の大好きな 祇園一力茶屋の場 まで。何度も演じている播磨屋中村吉右衛門が酔っ払うシーンですね。「手の鳴る方へ、手の鳴る方へ」と芸子たちに囃し立てられて「とらまよ、とらまよ」と目隠しをした由良之助がヨロヨロと・・・。こういうのやってみたいなぁ。
前から不思議でしたが「手の↑鳴る方へ」と関西風に言うのです。他の京の都の廓話でも江戸弁の啖呵を切ってますがねぇ。
ここではいつも『見立て』の遊びで時節の話題を取り入れてウケを取りますが、今回は渋谷のハロウィンの話でした。さすが歌舞伎!
そして遊女おかるになって出て来るのが先日襲名したばかりの雀右衛門さんでした。この人『情けない』顔が似合うんですけど。
坂東亀三郎が面白かった。
さて、来月は討ち入りに。
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Categories:古典
中島 龍之
11/26/2016 | Permalink
三か月かけて忠臣蔵をやるとは面白い趣向ですね。そのゆったり感が歌舞伎らしいのでしょうね。
西室 建
12/23/2016 | Permalink
三月かけてやっと全部見ました。
十段目なんかは初めてです。
追加で児太郎の写真載せたんですが、やっぱり綺麗でしたね。ただですな、難を言うと横顔がねぇ。
高麗屋の幸四郎さんの笑い方、すごいですよ。『うぅうぅうぅわぁわぁわぁわぁ〜〜〜』実際に見なきゃ絶対に味わえない‼️
討ち入りの後、大好きな高島屋・左團次さんが出て大満足。