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安倍総理 真珠湾へ

2016 DEC 8 6:06:32 am by 西 牟呂雄

 壮挙である。
 言いたいことは双方山のようにあるだろうが、謝罪ではなく互いの犠牲者を悼むのはいいことではないか。 この演説を聞け で総理は既に「これを歴史の奇跡と呼ばずして、何をそう呼ぶべきでしょう。熾烈に戦い合った敵は、心の紐帯が結ぶ友になりました。」とアメリカ国民に語りかけている。
 訪れて双方の英霊を慰めて頂きたい。
 おそらく右からも左からも様々な意見が飛び交うことだろうが、外交家安倍総理は臆することなく堂々とすればいい。
 そしてアメリカさんにも『あんまり日本をナメてるとよろしくない』と時々思ってもらうのも悪くはないと考える。
 誤解を生みたくないので念のため書き加えるが、日本はあのような戦争を仕掛ける事は二度とない。

 しかし当時の世相一般は末期のヒステリックな『鬼畜米英』的なノリではなかったようだ(軍部は別)。山本七平さんは臨時ニュースを聞いた家族から「戦争が始まった」と聞いて思わず『えっ、どことどこが?』と聞き返したことを書いている。臨時ニュースとは現在のNHKラジオで朝7時に流した「臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。大本営陸海軍部、十二月八日午前六時発表。帝国陸海軍は本八日未明、西太平洋においてアメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり」のことである。

 ところで真珠湾で思い出した、特殊潜航艇について。
 鉛蓄電池を動力とし、イ号潜水艦の甲板から水中発進する必死必殺の小型潜水艦の攻撃隊だ。甲標的と言われる。しかし当時の蓄電能力では魚雷発射後に母艦まで戻ることはほぼ不可能で、後の人間魚雷『回天』の原型となった兵器だった。
 真珠湾攻撃の際には単冠湾(ひとかっぷわん)から出撃した機動部隊とは別に、呉から5隻の艦隊でオアフ島沖まで侵攻し、12月8日には湾内に突入している。
戦艦ウェストバージニアと戦艦オクラホマへの雷撃が行われており、このうちオクラホマはこの攻撃で転覆したとされている。勿論全員戦死のはずだったが羅針儀が故障したまま出撃し座礁したり駆逐艦の砲撃を受け、自爆しようと脱出後漂流した酒巻少尉は捕虜第一号となってしまった。他の九人は軍神として祭られたが、捕虜となった酒巻少尉とそのご家族は大変な葛藤があったことだろう。
 作家の豊田穣とは海軍兵学校同期であるが、豊田もまた捕虜になりウィスコンシン州のマッコイ収容所で酒巻と再会している。
 この甲標的は犠牲を伴いつつオーストラリアのシドニー港、マダガスカル島のディエゴ・スアレス港、更にガダルカナルでも投入された。戦死者の冥福を祈るばかりである。

 尚、蛇足ではあるが山崎豊子さんの絶筆となった『約束の海』は前出の酒巻少尉がモデルと思しき人物のご子息が自衛隊潜水艦に勤務し「なだしお」の事故の渦中に巻き込まれる、という構想だった。
山崎豊子さんの取材力

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『リーマン・ショック直前並み』雑感

この演説を聞け

Categories:潮目が変わった

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