Sonar Members Club No.36

カテゴリー: スポーツを科学の目で見る

より遠くへ スキー・ジャンプ

2018 FEB 9 20:20:24 pm by 西 牟呂雄

 このブログからもう四年経ったということです。

スポーツを科学の目で見る (葛西選手という伝説)


 レジェンド葛西選手が通算8回目のオリンピックに挑みます。
「金メダルという目標ができました」
 には素直に感激しました。その後結婚もされて再びオリンピックに出場するとは驚異的なアスリートだ。
 この人の活躍が始まった頃からスキー板をV字にするスタイルに変わってきたと思う。思い切り前につんのめったようなスタイルでやや両手を脇から離すフォームはスペース・シャトル(古いか)を思わます。
 身長177cm体重60kgとはほぼ僕と同じですが、おそらく鋼の体と抜群のセンス・集中力でジャンプ台を踏み込むのでしょうね。
 話のタネにスキー・ジャンプ台の上まで登ったことがありますが(夏に)、感覚的には『壁』。あんな所を直滑降で滑り、何百分の一秒のタイミングで伸び上がるなどは絶対に素人は真似できません。
 記憶にある札幌オリンピックの『日の丸飛行隊』以来、多くの名ジャンパーを輩出した我が国だが、葛西選手は海外でも『レジェンド』の称号が定着するくらい知名度が高いのです。

 一方ソチでは悔し涙に暮れたサラちゃん。今季は絶不調なのはどうしたことか。コーチが変わったのが悪かったのか、失礼ながら体重でも急に増えたのか。
 そういえば4年前はリンゴのほっべのお譲ちゃんだったのが、メイクもちゃんとして更に可愛らしくなっています。
 CMで見ましたが、御実家はセブン・イレブンをやっているのですね。
 ライバルの成長もあるだろう、風の様子もあるだろう、本人のコンディションもあるでしょう。しかしこの数年、トップ・アスリートとして鍛錬を重ねて来た努力がむくわれることを祈っています。
 それでですな、ゲン直しの秘策を考えたんですが。どうせゴーグルして分からないんだから競技の時にはノー・メイクで臨み、表彰台に上がる時だけチャチャッとアイラインを引くのはどうでしょうかねぇ、ダメか。

スポーツを科学の目で見る (ソチ 敗者達へ僕から10のメダル)

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パラリンピック開会式 (今月のテーマ リオ・パラリンピック)

2016 SEP 10 0:00:13 am by 西 牟呂雄

 オリンピックと同じように盛り上がった開会式は天晴れの一言。観客も沢山入って演出も力が入っていた。
 ハンディキャップを克服してがんばる選手達を心から応援したい。
 しかしロシアがドーピング問題で拒絶されたのは当然だが、この大会の主旨が汚されたような大変に残念な事だった。国威発揚の機会としかとらえないのは大間違いであることを世界共通の認識として欲しい。
 選手たちを見よ。彼らは逞しく、スポーツが好きで努力を惜しまず、記録に挑戦する気概を持っている。これは見る側も十分に敬意を払わなければ失礼に当たると強く思った。
 間違っても『痛々しい』等と思って見てはいけない。闘志も技量もケタ違いのアスリートなのだ。
 そして彼らの努力が報いられるまでには多くのハードルがある。
 まず、障害者スポーツに理解が示せるほど国家が豊でなければならない。練習する環境整備等にもお金はかかる。国家経営が困難な国にはそんな余裕はない。
 更に充分に障害者が社会に受け入れられていなければならない。
 そんなことを考えながら見ていた。
 オープニングのショウはブラジル音楽に乗せてイギリス紳士が車椅子でリオにやってくる。スタジアムに現れたクレイバン会長だ。カウント・ダウンの文字が一部開かないのはご愛敬。するとスロープを車椅子で滑り降り空中で一回転した。
 その後は光とサンバの競演、ビーチでの踊り、日が落ちる演出の後に国旗の掲揚。これは指に障害のあるピアニストの演奏。
 そして選手入場。難民選手団からだった。
 ドイツやオーストラリアの選手団、選手一人だけの小国、あんなアフリカの砂漠の国からも車椅子を押しアシスタントに支えられて満面の笑顔だ。中東のイスラム系には戦闘により障害を受けた選手もいるのだろうか。
 中国の300人の選手団には圧倒される。これなんか強烈な国家の意思を感じる。韓国、障害者専用のコートを充実させてロンドンではメダルをがっさり取って行った。
 スポーツ先進国アメリカも入場する。東南アジアの国ぐに。アフリカの小国家達。イギリスの290人の大規模入場。陸上王国ジャマイカはパラリンピックでは小振り。戦闘当事国のシリアからも選手が。
 そして日本。歓声も大きい。自国の選手には力が入る。底抜けに明るいブラジル・チームも入場した。選手が持ち込んだパネルが組み合わさったらそれは心臓だった。
 義足の選手、白い杖を持つアスリート、皆よく来てくれた、さあ、晴れのステージに立ってくれ。
 聖火の入場。おりしも雨が激しく降り出した。ガルシアさんが杖を頼りに走り出すと転んでしまう。それに対してスタジアムからの大声援が起こる。苦しい足取りで一歩一歩進む、最後は車椅子ランナーが聖火台に上がっていく。そしてオリンピックの時と同じあの太陽の輝きが再び灯された。
 会場は選手も観客も一つになっている。
 ここからパーティーになる。雨の中の力強いリズム。両足義足の美貌のモデルさんとロボットの踊り。
 いつもなら意地の悪い皮肉の一つも口を突くヒネクレ者の僕が、全選手の活躍を祈られずにいられなかった。ガンバレ!

 できる限り試合を見て、東京大会は会場にかけつけるぞ。
 
 
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オリンピックの言葉 (今月のテーマ リオ・オリンピック)

2016 AUG 31 21:21:43 pm by 西 牟呂雄

「ありがとうございます。皆さんのお陰です。」
 まぁ、型どおりで無難なセリフだが、思わず本音が出てしまうコメントの方が個性や努力を感じさせて好ましいと思う。
 今回のリオ・オリンピックで印象に残ったコメントとかつての名言を並べてみると世相が見えないか。

明るい選手たち

「イヤー、疲れちゃいました」瀬戸 大也(せと だいや)400m個人メドレー
 この子は僕の甥っ子にそっくりなので(そいつも水泳をやっていた)応援していた。銅メダルも立派だよ。子供の頃からのライバル萩野の金は悔しかったのだろうがケロッとして言ってのけた。明るいよなコイツ。まだまだ4年後もあるぜ。

 この明るさの系譜を過去に遡るとこの二人に思い至った。

「オリンピックのプレッシャーなんて、こんなん言ったら失礼ですけど、斉藤先生のプレッシャーに比べたら、もう、屁の突っ張りにもなりません」石井 慧(いしい さとし)
 北京の柔道100キロ超で金メダル。この明るさが実にいい。

「めっちゃ悔しぃ、金がいいですぅ~。」田島 寧子(たじま やすこ)
 バロセロナ400m個人メドレーだったっけ。この人いい味出してたけどな。その後表彰台からコケて足を捻挫するオチまでやってくれたし。

涙を流して

「応援してくださった方に申し訳ないです。…ごめんなさい。」吉田 沙保里 (よしだ さおり)女子レスリング53kg級
 マットに突っ伏している姿が痛々しい。本人にしか分からない後悔の念があるのだろう、表彰台でも泣きじゃくるとは。しかし四連覇って足掛け干支の一周り、33歳ですぞ!本当にお疲れ様。
 ってことは伊調選手って凄いな。

「何も持たないで日本に帰れないと思って戦った」松本 薫 (まつもと かおる) 柔道女子57kg級
 泣いちゃった。悔しさが滲み出ていた。『お父さんがサイフを失くしてそれどころじゃなくて』は競技の話じゃなくて、家族で会話するどころじゃない、ってこと。インタヴューで「腹の中は煮えくり返っていますよ」と言った時に笑顔だったのでホッとした。この子なら腹を切りかねないと心配だった。

「…みんなの足引っ張ってばっかりいて。(中略)本当に苦しいオリンピックでした。」福原 愛(ふくはら あい)卓球女子団体
 あの愛ちゃんもキャプテンシーを発揮する年になったのか。チームを励まし引っ張った。これは他の競技もみんな同じで昔から、そしてこれからも続く。あんまり時代を感じさせないものだ。

「始めて自分で自分をほめたいと思います」有森 裕子(ありもり ゆうこ)
 バルセロナで銀、アトランタで銅。このセリフはアトランタで出た。バロセロナの後に足底筋膜炎となり、恩師小出監督との軋轢もあって長いスランプに陥ったためだった。インタヴューの時は泣いているように見えた。

感極まった

「信じられない」金藤 理絵(かねとう りえ)女子200メートル平泳ぎ
 この選手は北京にも出場した。長い競技生活でけっこう苦労もし、大輪の花を咲かせた。エラい。

 同じ種目でかつて大穴に入ったこの言葉を思い出す。
「今まで生きてきた中で一番幸せです。」岩崎 恭子(いわさき きょうこ) シドニー女子200m平泳ぎ。
 かわいらしかったなぁ、14歳だったと思う(中学生!)全くのノー・マークだったのに金メダルですぞ。

「チョーキモチイー」「ナンモイエネー」北島 康介(きたじま こうすけ)
 アテネと北京だった。またロンドンでは400mメドレー・リレーで「康介さんを手ぶらで帰らせるわけにはいかないぞ」とバタフライ松田丈志の発言があり、見事銀メダル。北島は金・銀・銅の全てを取ったことになる。

 こうしてみると平成の世の中はあんまり変わっていないのが透けてみえる。思えば昭和は遠くなった。

 最後に最もスポーツマン・シップに溢れていた、内村に惜しくも敗れたウクライナ体操選手の一言。

「審判も個人のフィーリングは持っているだろうが、スコアに対してはフェアで神聖なもの。航平さんはキャリアの中でいつも高い得点をとっている。それは無駄な質問だ」ベルニャエフ 男子体操個人総合

 

凄いオーラ

凄いオーラ

萩野選手と松田選手

萩野選手と松田選手

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がんばれ!さくらジャパン (今月のテーマ リオ・オリンピック)

2016 AUG 13 7:07:49 am by 西 牟呂雄

さくらジャパン

さくらジャパン

 

 女子ホッケーさくらジャパンは予選Bリーグを戦う。それがこのリーグ、イギリス・アメリカ・インド・アルゼンチン・オーストラリアと強いチームばかりだ。まあAリーグもそうなんだが・・・。それでもオリンピック四大会連続での出場と、地道に精進を重ねている。
 ホッケーのボールは堅い硬球だから女子の場合(いや、男でも)顔にでも当たったらどうするのかと心配しつつ唯一の実況の機会の初戦を見た。相手はかつてのホッケー大国インド。この1年、国際試合で1勝1敗のライバルらしい。
 選手は天理大学・山梨学院大学の出身者が中心で、永井監督の二人のお嬢さんもいる。

 ホッケーの経験も無く見るのも初めて。強い日差しの中、観客はまばら。さくらジャパンのユニホームはノー・スリーブだ。
 始まってみるとカンッ、カンッとスティックで打つ音がしてボールの転がるスピードが速い。即ち物凄い運動量なのだ。ホッケーは〝打つ”のではなく〝転がす″のだなと分かった
 第一クォーター(15分)終了間際にペナルティーから先取点を取った。このペナルティーは独特で相手ゴール側からサークルの外にいる味方に打ちだしてそれから攻撃が始まる。
 不思議なことに人工芝のグラウンドで何故か水しぶきが上がるのは何故だろう。危険防止に水でも撒くのか(後で分かったが転倒やスライディングの際の怪我防止でジャブジャブに水を蒔いていた)。
 第二クォーターにも中島選手がもう1点追加した。いいぞいいぞ。
 後半第三クォーターのが始まると1分も経たない内に今度は日本に反則。いきなりペナルティーで得点される。ゴールした時はドスーッと凄い音がした。10分頃にも同じくペナルティー・ゴールを決められ同点に。
 終わり直前の日本のペナルティーゴールはダメだった。
 で結局引き分け。次に繋げよう。

 第二戦は4大会連続メダル獲得、世界ランキング2位の強豪アルゼンチン。観客は隣国であるアルゼンチンからたくさん来ている。そしてタテもヨコもでかくて分厚い選手達。
 始まるとすぐにペナリティーを受けたが、物凄いプレッシャーだ。因みに体に当たってしまうと即ペナルティー。
 二度目のペナルティーでは強烈なシュートを決められる。このドドドッと突進される時ゴール裏のカメラアングルで見るとコワい。ペナルティーのシュートを受ける時は危険防止のためディフェンスの選手はマスクを被る。
 アルゼンチンはスティック捌きもうまく、さくらジャパンも必死に走るのだが攻撃をカットされてしまう。
 結局前半はほとんど攻撃することなく終わった。キーパーの浅野は大変だ。
 ところでグラウンド・ホッケーのスティックは持つと左側がフラット、右側がラウンド面となっていてフラットでなければシュートは打てない。すると右利きでなければ競技が出来ないのではないか。アッ、クルッと持ち替えてシュートしてる。なるほど・・。
 後半5分、永井(姉)選手がイエロー・カード、5分の退場。
 走れ走れ、さくらジャパン!
 しかし中盤の当たりが強くてパスさえ通らないのだ。
 第四クォーターで立て続けに2点シュートを決められる、スピードも違う。
 終わってみればシュートを1本も打てない完敗だった。残念。
 関係ないが今日は日本ハムファイターズもライオンズに負けた・・・・。

 お次はそのアルゼンチンを下したアメリカ。雨中の対戦となった。
 初っ端に2点取られる。どうも日本のパスが通らないのだ。
 せっかくの相手反則もペナルティーが決まらない。逆にアメリカは同じプレーで追加点。U・S・A!U・S・A!の大合唱が起きる。
 後半もさくらジャパンは動きが鈍い、と思っていたらドスーッとシュートを決められ、絶対絶命になってしまった。
 それでも何とか1点を返すが結果は1-6で負け、オイオイオイ。
 そして何故か本日もファイターズが敗けているのでした。

 そして英国。もう1シュートに賭けろ!勝敗は度外視だ。阪口よ、湯田よ、永井姉妹よ、スティックをしならせよ。そして浅野よ、守りを固めよ。
 だが結論から言うと2-0で負けてしまった。世界の壁はまだまだ厚い。
 試合は録画だったので選手のコメントは聞けない。だが本当によくやっていた。
 満席ではなかったが、国内の試合はこんなに入っていないので戸惑う事もあったろう。何よりも『さくらジャパン』はまだ若い。君達の本番は四年後のトウキョウだ。その時は僕も応援に行くぞ。

 あと一試合あるが、あすの今頃は船の上。勝利を祈りつつ『さくらジャパン』の応援レポートの筆を置く。

追伸 誠にどうでもよいがファーターズはきのうも負け。さらに大きなお世話だろうがホークスも6連敗中。

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やるときはヤルじゃないか (今月のテーマ リオ・オリンピック)

2016 AUG 7 21:21:02 pm by 西 牟呂雄

 政治が不安定だろうが資源安で不況だろうが治安が悪かろうが工事も何とか間に合わせて、やる時ゃやるじゃないかリオ・デジャネイロ。素晴らしい開会式だった。
 低予算だったそうだが見事な物、僕は感動さえした。
 強烈なサンバ!凄いのは一国ごとに打楽器奏者が何人も付いていて、これが一糸乱れずリズムを刻む。僕はドラムの経験があるが、あれだけの人数があの広い会場でピタリと合うのは全員が相当のプロだろう。とすると200チームが入場したのだから千人近くの奏者が集結したことになる、さすがに層が厚い。
 このリズムにノリノリで入って来たのはトリニダード・トバゴだ。ちゃんとステップを踏んで、カリブのノリはレゲェだけじゃない。
 きらびやかさに目を奪われたのはインドネシア。前列の女性が被っていた王冠のようなもの、実際の重さはどのくらいなのだろうか。

 参加選手が少ない小国にはいじらしささえ感じる。
 それで良くみるとこういう参加国には三つのタイプに分類できることが分かった。
 まず、射撃・馬術やボート・カヌー・セーリングといった特定のスポーツが伝統的に強く、まさに『参加し続けることに意義がある』国。ヨーロッパの小国に多い、東欧とか。
 次に一国の存在を強くアピールする必要があるため、必死に少ない予算を付けて少人数でも参加するタイプ。アフリカや中東の小さな国がそれだ。中には紛争・内乱中の国もある。
 そして三つ目に摩訶不思議なタイプ。スポンサー・タイプとでも言おうか、怪しげな国家及び地域でどこから資金が出たのかも良く分からない。〇〇領◎◎といったチームや破綻国家である(難民チームのことではない)。極端に格差が大きくて、大金持ちがタニマチとなっているのではないかと推測してみるのはヒネクレすぎだろうか。

 いずれにせよ参加者全てが力を出し切って胸を張って帰って欲しいものだ。

 と、書いていると水泳400mメドレーで萩野・瀬戸両選手が金と銅。三宅選手が重量挙げで銅。柔道で近藤・高藤選手が共に銅メダルと日本選手は好成績が出た。三宅選手が思わずバーベルをナデナデしたのは微笑ましい。
 しかし国技でもある柔道選手は金メダル以外では本人も指導者も日本で見ている観客も満足できなくて気の毒にさえなる。昔とは競技人口もケタが違う世界スポーツとなりルールも変わった。オリンピックに出たのだから銅でも立派だ。
 相撲も剣道も、今回は野球でさえ種目ではないのだからね。
 僕は朝競泳を見て、ネイチャー・ファームでナスとピーマンを収穫し、東京に戻ってからファイターズの首位決戦に声援を送り、これからフェンシングと女子ホッケーに備えている。
 来週からもズーッと同じ状況が続き睡眠不足になり、週末はクルージングの夜間帆走で神津島まで行く。実に殺人的なスケジュールだ。

 エッ?働け?・・・・スイマセン。

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リオに咲く華 (今月のテーマ リオ・オリンピック)

2016 AUG 1 23:23:23 pm by 西 牟呂雄

 華やかな入場行進。死力を尽くした闘い。手に汗握る世界新記録。スポーツの祭典の名にふさわしい大会だ。
 特に日頃スポットの当たらない競技の選手は、誇りと意地をかけて参加するのはいいなぁと思う。
 思えば数々の名勝負が目に浮かぶ。
 かつてオリンピックについては オリンピック死闘十番勝負その1から5 とオリンピック死闘十番勝負その6から10(こちらは現在SMC休会中の中村兄の筆による) 、更に二年前のソチの時にはこんな事を書いていた ソチ 敗者達に僕から10のメダル 。

 華やかな競技や、日本選手が活躍する種目はやはり注目を浴びる。しかしどの競技においても熱意と精進は変わるものではない。
 そういう観点から、僕はこのオリンピックでは近代5種に注目しようと思っている。これなかなか奥が深そう。
 フェンシングの総当り一本勝負、馬術の障害、水泳200m自由形、そしてレーザー・ピストルの射撃に800mランニングを繰り返すコンバイン。これぞオリンピック精神という貴族か軍人がやるような競技だ。ちなみに日本から男子が三口智也と岩元勝平(二人とも自衛隊)女子は朝長なつ美(警視庁)が参加する。
 陸上十種競技というのもあって、こちらは2日に渡り100m、走幅跳、砲丸投、走高跳、400m、110mハードル、円盤投、棒高跳、やり投、最後に1500mという体に悪そうな恐ろしい種目だ。中村明彦と右代(うしろ)啓祐が出る。右代選手は開会式の旗手。中継があったら是非見たい。

 もう一つ注目しているの女子ホッケー。日本はアテネ以来4大会連続出場しているのですぞ。チーム名『さくらジャパン』秘かに注目しています。協会に潤沢な資金があるのか知らないが、一生懸命やって連続出場はエラい。
 それでここだけの話ですが『さくらジャパン』の選手は全員とても可愛らしいんですよ、ホント。

 パラリンピック・アスリートの逞しさにはめを見張る。車椅子を駆使する競技の選手の上半身など、惚れ惚れするほどだ。
 ボッチャという競技があるのをご存知か。脳性麻痺等の障害を負った人がするものだが、簡単に言うとあまり転がらず弾まないボールを投げてどれだけ近づけられるかを競う。
 僕はこういうのに弱く見ていると思わず身悶える感じなのだが、選手たちのハンディにも拘らず〝勝ちたい”という情熱が伝わる。頑張る選手と、遠く地球の裏側まで選手を派遣する関係者に敬意を表したい。
 なかなか中継してもらえそうにないのが残念だ。

 やっぱり日本選手は応援したい。ガンバレ!

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スポーツを科学の目で見る (ソチ 敗者達へ僕から10のメダル)

2014 FEB 23 14:14:24 pm by 西 牟呂雄

いささか科学の目からずれてしまうが、祭典が終わった後に感謝の念を込めて僕から讃えたい人達にメダルを捧げたい。いずれも心に残る選手達だ。

モーグルの上村選手。一体誰がルールをどう変えたのか。誰が採点したのか知らないが、あれはないだろう。最後に滑ったハナ・カーニー選手に文句はないが、審判はどういう基準で見たのか。ああいうのを見てしまうと採点者を画面に出したらどうかと思うが。ともあれ、終わった後の笑顔が清清しく、プラチナメダル。

ジャンプの高橋沙羅ちゃん あなたには先がある、と言ってやりたい。まだまだオリンピックに後5回くらいチャレンジできるのだから、何も泣かなくてもいいよ、かわいそうに。しかし高校生なのだから、感極まったのが泣き顔でもしょうがないか、鉄メダル。

絶対王者 ショーン・ホワイト、絶対王者とはプロレスラー並みのネーミングだが、それがコケた。ただ、彼なんかはもはやプロなんだからギャラの出ないオリンピックは本気が出ないんだろうか気になった。アメリカ人気質ならそうなのか、ニッケルメダル。

皇帝 プルシェンコ 腰がそんなに悪かったのか。納得行く演技ができそうもなかったのだろうが、地元だけに大変な決断だったろう。しかし棄権を告げに行ったときの表情は男らしいというか、潔しというか。ロシア人と仕事で関わっているが、意外とそういう所のある人達なのだ。ジルコニアメダル。

女子アイス・ホッケー 5戦全敗。致し方ない。はじめから予想されていたことなので、なにもしょげなくてもいいさ。メダルを取ったって女子ソフト・ボールや野球みたいに、競技ごとオリンピックから無くなってしまうものもある。選手たちには健気ささえ感じるのは僕だけだろうか。地道に活動を続けてほしい。しかし選手層はサッカーに比べても薄そうだし、続けられることを祈っている。錫メダル。

女子カーリング 予選健闘。初戦の韓国戦を落としたのがいかにも痛い。だが見続けているとこの競技、腕もそうだが戦略性が問われるゲームであることがわかった。いかにミスを少なくし、相手の裏をかくことがポイントなんですな。ところでカーママという言い方あんまり好きじゃない。個人的には十分楽しめたので、コバルトメダル。

高橋大輔 羽生選手が凄すぎて霞んでしまったようなのが気の毒だ。しかし大功労者であることは間違いない。個人的には少し点数が低いとも思うのだが、それなりに納得か。この日終わったときの表情が染み透るようで感動した。チタンメダル。

真央ちゃん この人のフリーについては多くの人がコメントしているから、余計なコメント抜きで、パラジュゥムメダル。それより、森元総理・東京オリンピック組織委員長の「あの娘、大事なところで転ぶ。」発言について。全文を読めば、揶揄しているわけでも貶しているわけでもない。むしろオジイちゃんが、孫について「かわいそうに、やっちゃった。」というニュアンスが感じられるのだ。一言だけ取り出して大騒ぎに持ち込むマスコミ手法ミエミエで、僕は同情さえ感じる。何らかの組織的謀略とさえ思う。この人の座談は面白いんだが・・。

ボブスレー 男子4人乗り アルミメダル。氷上のF1と言っても、競技のマイナーさ加減で、団体にもカネがないはず。スポンサーも碌についてないだろうし、選手は公募したって食えるわけじゃない。誰か大金持ちが道楽でチーム・オーナーにでもなって、それこそF1みたいにマシンを開発すれば日本の技術でいいものができるだろうに。苦労してわざわざソチにまで行く酔狂さ。
 実は僕は、あのパイロットのポジションにあこがれていて、一度でいいからやってみたい。スキーもスノボもこれ以上腕はあがらないし。青銅メダル

複合団体日本チーム ケガに見舞われるのが不幸ではあるのだが、得意のジャンプで6位では仕方ない。圧倒的に強いノルウェー・ドイツ・オーストリアのメダルは納得のいくものだし、長く低迷していた複合の復活を印象づける立派な5位だと思う。解説の萩原兄弟が泣いてしまったのがご愛嬌になって、競技人口が増えてくればいい。インタヴューで四人とも『最後まで諦めずにやりました。』が素晴らしい。君たちも勝者だ。亜鉛メダル。

次回の冬季は日本から近いし、一つ見にいこうか。

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スポーツを科学の目で見る (葛西選手という伝説)

2014 FEB 16 13:13:09 pm by 西 牟呂雄

41歳での銀メダル。海外でも高い評価を受ける葛西選手が快挙だ。そして直後に言った言葉。

「金メダルという目標ができました。」

まだやる気満々。その目は輝いていた。僕は41歳だったころを思い出して自分を恥じた。油の乗ったサラリーマンだったはずだが充実感はあったのだろうか。むしろ酒が弱くなってきて、こりゃちょっとマズい、と感じたことを覚えている。ベロベロになると家にたどり着けなくなったのもこの頃だ。小学校低学年の息子が、思い切り二日酔の僕を見て「とうさんがゾンビになっちゃった。」と泣かれたことがある。後年、車で助け出されることになるのだが。

ともあれ葛西選手のストイックな姿勢には頭が下がる。ベテランでもフォームを変え、トレーニングに励む姿が報道されるにつれ、これはもう一回くらいは出られるのじゃないかと期待が膨らむ。次は45歳だからこれからもう4年もやらなければならないのは気の毒かもしれないが、是非がんばって欲しい。何しろ”伝説”なのだから。ところで葛西選手の飛距離は金メダルの選手カミル・ストッホよりも長いのだが、あの点数は一体何なのか良く分からない。冬季オリンピックは白人のためにルールをいくらでも変えられるから、後味の悪いことにならないか心配だと言ったら言いすぎか。男子フィギアの表彰台は3人とも東洋系のカラードだったし・・・。

葛西選手、団体もよろしく!

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スポーツを科学の目で見る (羽生選手の世界最高得点)

2014 FEB 14 10:10:59 am by 西 牟呂雄

羽生選手お目出度う御座います。ショート・プログラムで素晴らしい快挙!団体の時からコンデイションが良かったようですが、圧巻の滑りでした。スピード・スケートの結果や真央ちゃんの団体でのコケ、沙羅チャン・上村選手のまさか、とソチの様々なセッティングを気にしていましたが、彼の場合全く不安を感じさせませんでした。むしろプルシェンコ選手が棄権したことが残念です。審判に棄権を告げに行った時の無念そうな表情に、同情を禁じ得なかった。ショーン・ホワイトの時にも感じたのですが、強い選手を追うことでライバルも精進を重ねてきている訳で、敗者にも栄光あれ、と思う瞬間でした。

羽生選手の4回転ジャンプが素晴らしいのは言うまでもありませんが、彼は着氷したあとの手の捌きが実に見事です。何か日本舞踊かバレェの素養でもあるかのように、やわらかく且つピッと決まるのです。一瞬ガッツ・ポーズに見えるように肘を折りたたんだ後、両手を一杯に伸す振りが美しい。この調子で行けばと期待です。羽生選手の演舞が見ていてワクワクするのは、やはり安定感があるからではないでしょうか。この点真央ちゃんはワクワクというよりハラハラといった趣で、トリプル・アクセルができるかどうかが気になってしまう。もっともバシッと決まった時の爽快感も代えがたい見応えで、どちらも大変結構。

ところで前ブログに書きましたが、女子のアイスホッケーとカーリングにも嵌まっています。メダルだ勝負だというよりも、あの日本チームの一生懸命感が実に好ましい。この二つの集団競技はどちらも完全アマチュアなのでしょうか。普段の注目度があまり高くない分、自分たちの手で色々と工夫を重ねながら苦労して晴れの舞台に立っている、という充実感が画面から伝わってくるようです。そういう競技は他にもあるでしょうから、あと一週間は楽しめます。昨日はスケルトンを見ました。

ガンバレ!日本選手!

 
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スポーツを科学の目で見る (ソチ・オリンピックのコンディション)

2014 FEB 12 11:11:41 am by 西 牟呂雄

日本選手が奮わない。上村選手のメダル逃しは気の毒な感じさえしたし、スケートも女子ジャンプも残念の一言。現時点ではスノー・ボード・ハーフ・パイプの平野、平岡選手が気を吐いて銀・銅に輝いた。今後の競技に期待するところなのだが、日本勢以外にも大本命の選手が大コケしてしまうのが目につく。勿論、個別のメダリストの栄光を傷つけるものではないし、運・不運は勝負にはつきものなのだ。

しかしながら、直前までトップ・クラスの実績のあった高橋選手のジャンプなどは、多少気に掛かる。ズバリ、スロープ・コンディションが言うところのスタンダードではないのじゃ無かろうか。今年は特別なのかも知れないが、回りに雪の無いジャンプ台など見たことがない。ああいう一瞬で勝負が決まる競技は恐らく微妙な雪面の滑りやスピードが、アレッとなると決まるものも決まらないのでは。同じ事がスケートのリンク・コンディションにも言えるような気がしてならない。まぁそれでも優勝する人は出るので、一概にそのせいにする訳にはいかないのは百も承知であるが、設備の遅れが大会前から指摘されていたのも事実だ。ハーフ・パイプでオリンピックにしてはやけに転倒する選手が多かったり、大本命の神ショーン・ホワイトの失敗もそうしたことが関係無かったか。もっともこれに関しては日本選手のメダルに繋がった。

筆者は日本のメダルは2個くらいと見立てていたが、フィギア・スケート次第で予想を上回る可能性が高い。我が不明を恥じるばかり、失礼な予想をして申し訳ありませんでした。カーリング、アイスホッケーの女子チームもメダルとは関係なくがんばって欲しい。はじめから負けるつもりで試合を投げるアスリートなどあり得るはずも無いのだから、ガンバレ!

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