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国民が望むのは

2012 NOV 21 19:19:14 pm by 東 賢太郎

「国民は物価だけの上昇ではなく、雇用や賃金など経済全体の改善を望んでいる」 (白川日銀総裁談、日本経済新聞11月21日朝刊)

退任確実のレームダックが最後の仕事として日銀の独立を守りたいのはわかる。しかしこんな稚拙な詭弁で国民が騙せると思っているとしたら彼の知性を疑うしかない。

①物価だけの上昇ではなく

単に物価が上がってほしいと願っている国民など一人もいない。当り前である。

②だけの 

物価があがらずに賃金を上げれば企業はつぶれる。無理である。

③雇用や賃金など経済全体の改善を望んでいる                                                                                                                           

望んでいないものなどいない。当たり前である。

この人は「当り前」と「無理」しか言っていない。100%ナンセンスなコメントである。

インフレターゲットというのは、物価を上げるぞとメッセージを発することで人々がお金を使うように仕向ける「手段」である。消費が増えればモノやサービスを作る会社の売り上げが増え、社員数も賃金も増える。つまり白川さんの望んでいる雇用や賃金など経済全体の改善ができるのである。彼はなぜこれが嫌なのだろうか?企業はつぶれても雇用者は守れ?なぜこの国は社会主義者が中央銀行総裁をやっているのだろうか?

この「100%ナンセンスなコメント」は「手段」を「目的」であるかのようにすり替える高等戦術と思われる。安倍さんは物価だけ上げようと目論んでいるぞ、危険だぞ、と警鐘を鳴らすふりをして国民の味方を装いつつ、インフレターゲットの政府による押し付け=日銀独立性危機を巧みに回避しようとしている。安倍さんの目的は雇用や賃金など経済全体の改善なのだから国民のため以外の何物でもなく、日銀総裁の罷免権を復活させないこと(=日銀の独立を守ってやること)などはるかに国民的重要度の低い話である。現に97年6月11日に日銀法が改正されるまではそんな独立性は存在していなかったのであり、それが理由で国民が困ったという証拠を挙げてほしいものである。

Categories:______国内経済, 経済, 若者に教えたいこと

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