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ストラヴィンスキー好き

2013 JAN 30 21:21:33 pm by 東 賢太郎

中学の頃からラジオで聴いたある甘いメロディーが気に入っており、あるとき母に歌ってこれ何?と聞きました。「火の鳥かしら・・・」ということで、すぐ新宿のコタニへ行き、「火の鳥を下さい」と言いました。ストラヴィンスキーの名前も知らなかったのです。そこで店員さんが出してきたのがこれ(写真)です。後に知ったのですが、僕の気に入っていたそのメロディーはケテルビーの「ペルシャの市場にて」でした。でもドレミーレドシ・・・は火の鳥の「ホロヴォード(王女たちのロンド)」に確かに似ている。それにしても、母はストラヴィンスキーなんか知らなかったはずなのに、なんで火の鳥の名前がでてきたんだろう・・・。

その時は大変でした。このレコードを大事に抱きかかえるようにして新宿から家に帰り、わくわくして針を落としました。すると、甘いメロディーどころか、低音で弦楽器がゴワゴワと妙な音をたて、バイオリンがヒューヒューと人魂の飛ぶみたいな不気味な騒音を出すではないですか。「なんじゃこりゃ」といきなり仰天。その後も奇天烈な音がさく裂しまくり、今か今かと待っていた「あのメロディー」はついに登場しないまま僕のレコードは決然と終わっていったのでした。この失望感といったらありません。大枚2000円の小遣いが藻屑と消えた瞬間でした。これが何をかくそう僕のストラヴィンスキー初体験なのです。

母に文句はいっさい言いませんでした。きっと名曲に違いない。持ち前の前向き思考でそう信じ、そのレコードを何度もかけてみました。そして、このエルネスト・アンセルメの最後の録音は結局僕の人生の宝物になってしまったのです。「組曲より全曲版がいいよ」と教えてくれたコタニの店員さん。少年はドレミーレドシ・・・だけ買えればいいんだけどなあと意味がぜんぜん分かってなかったんですが、そう、まさに全曲版だったからなのです。高校に入って、小遣いはたいて1万2千円もした大型スコアを買うほど火の鳥に魅せられてしまったのは。ちなみにケテルビーはつまらない曲と後にわかり、いまだに持ってもいません。母の圧勝でした。
ペトルーシュカ                                    「春の祭典」との出会いはブログに書きました。それがあったのも、まずわかりやすい「火の鳥」で耳がトレーニングされていたからです。そして残るはもちろん「ペトルーシュカ」です(右の写真)。このレコード、曲の出だしの5秒?で好きになりました。一目(一聴)惚れ最短記録です。わー、ストラヴィンスキーってマジすっげえ、チョーめっちゃカッコイーじゃん!今どきなら大声でこういう歓声をあげたことでしょう。火の鳥とも春の祭典とも違うこの乾いた色気とゾクゾク感。宝石箱をぶちまけたような、まばゆいばかりにキラキラする光彩に頭がふらつきました。クラシックの魔の道に引きずりこまれた瞬間でした。この一撃があまりに強烈だったために、当時の僕はモーツァルトやベートーベンを聴いても退屈で仕方なく、王道に入るのにずいぶん時間を要することになってしまったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Categories:______ストラヴィンスキー, ______音楽と自分, クラシック音楽

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