ハワイ島 標高4200mの天文台にて
2013 AUG 29 0:00:53 am by 東 賢太郎
ハワイでオアフ、マウイでなくハワイ島に行った最大の理由は「すばる天文台」のあるマウナ・ケア山に登るためです。息子も天文ファンであり、三脚付カメラも持参しました。
ご存知の方も多いでしょうが、ハワイ島というのは火山が爆発して流れ出た溶岩が固まってできた島です。このように一面が黒いごつごつした溶岩です。
それが車で少し上ると草原になります。写真はパーカー牧場といって、カメハメハ大王の孫娘と結婚したアメリカ人パーカーが経営したもの。一周1700kmという巨大な敷地面積です。元祖、逆タマですね。
もう少し登ります。visitor centerがあって、そこでお弁当をいただきました。ここで標高は2800mとなり、気温も下がるためジャケットを着ました。写真は太陽観測用の望遠鏡で、のぞくと黒点がはっきり見えます。5つありましたが異常に少ないですね。銀河系には恒星が2000億個あり、観測できる宇宙にある大きな銀河は 3500億個といわれています。太陽はそのうちのひとつですが、太陽以外は遠すぎて点にしか見えません。こうして「恒星」を大きな視直系で目で見られること自体、とてもSF的であります。
もう少し登ります。空気は薄くなり気温はさらに下がります。この写真地点で標高3200mぐらいです。どう見ても火星ですね。影が長いことでわかるように日は傾いています。しかし太陽の光り具合は見たことのない強烈さでした。ああ、お日様、お天道様なんかじゃなく、あれはまぎれもない「恒星」なんだ、と強く実感。
この植物は世界に3カ所しか生えない希少種です。30年に1度しか花が咲かず、花を見たものは幸運をつかむそうなので現地の人は毎年登って見に来るそうです。それが今年は咲いていてラッキーでした。遠くに見える丘のような山は巨大で、体積は富士山の64倍だそうです。
いよいよ頂上、標高4200m地点です。気温は5℃。スキーウエアを取り出しました。これが我が国の誇る「すばる望遠鏡」です。山頂には13か国が天文台を持っていますが現地の人にとってこの場所は神の宿る聖地であり、契約で13基しか建設が許可されていないそうです。
こちらは電波望遠鏡です。光学式望遠鏡よりさらに解像度が得られます。
中に入れないのが残念。でも元天文少年としては姿を見るだけでわくわくします。なにせ富士山頂より400mも高いところですから空気は大変薄く、急に動くと体が危険です。ちょっと歩いただけで息が苦しく、貧血で目の前がチカチカしてきました。
標高4200mから見る日没です。あまりの美しさに周囲も絶句。苦労して登った甲斐がありました。
7時少し前の日没後、頂上地点は一般人は立ち入り禁止になります。2600m地点まで下って車を止め、小型望遠鏡をもって天体観測をしました。土星の輪がきれいに見えて感動!これは息子が撮影した「いて座」方面の天の川です。これが銀河系の中心方向で無数の銀河が存在しています。写真ではぜんぜんわからないのですが、すばらしく壮麗な星空でした。こんな澄んだ星空は昔にアリゾナの砂漠の真ん中で度肝を抜かれて以来です。流れ星も何度も見ました。右下方に「さそり座」が見えるのがお分かりですか。さそりののど元にある「アンタレス」と、もうひとつオリオン座の「ベテルギウス」という1等星は赤色超巨星といって大きさは太陽の1000倍ぐらいあります。子どものころ、赤いはずのこの2星がいくら目を凝らしても赤く見えないのが(理由は知りませんでしたが)悔しくて、結局天文の道から遠ざかってしまいました。
このあと8時すぎに満月を2日すぎた月が登ってきましたが、太陽と同じくその明るさに驚きました。野球ができるんじゃないか?と冗談いう人がいたほどです。
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