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中国はどこへ行くか(4)

2013 DEC 28 18:18:39 pm by 東 賢太郎

反日なのに「日本好き」と報じられる国がある。しかし日本国民なのに「反日」という人もいる。国というのはいったい何なのかという切り口から中国の未来を冷静に考え、予測してみたい。

自分や自分の家族が嫌いという人はそれよりずっと少ないだろう。家族が親戚になり知人になり、村落や町になり、さらに島や半島や地域になり国になる。個と集団の両極端が自分と国家だ。集団に近づくとだんだん嫌いな度合いも増すということだ。

民族や言葉や宗教が同じでもかならずしも集団は国にはならない。どちらも同じなのに旧東西ドイツは別な国だった。韓国、北朝鮮もだ。個の原理と集団の原理が一致するのは全体主義においてのみだ。そうでない国がほとんどだから、ほぼすべての国は違う原理で動く異分子を内包している。

国家の3要素と言われる「領土、国民、主権」は統治する側、集団における権力者からの定義だ。人類史における力による支配の時代、支配される側にはその権力に統治されたい、されたくないという選択権はなかった。法による支配、法治国家というものが出現しそれを実現したのが民主主義、主権在民という新原理だ。

民主主義は99%を少数派、フォロワー、被支配民としてしまう独裁制よりはフェアだ。しかしその民主主義でも、少数派が2分の1未満なのか3分の1未満なのか絶対真理はない。要するにそれは次善策でありフィクションである。フィクションの強制なのだから、それに服することを強いられる少数派がその権力に「統治されたくない」と意志表示することを対価として許さなくてはいけない。

少数派の意思表示が支持され、やがて多数派になり政権を取る。その可能性が担保されていることと引き換えに少数派は支持しない支配者に税金を納め、フィクションを認容するのである。つまり「反日」の日本人がいても、現政権に支配されたくはないという意思が尊重されることが日本国が民主主義国家である証しであり、それを日本国憲法第19,21条は保障している。

民主主義はフィクションではない。つまり選挙したら全会一致で賛成だった、あるいは、一人でも反対者がいたらその意思表示を許すが、それがないのだから全会一致なのだと主張するなら、その支配者は人類史において全会一致というものが惑星直列よりも稀なる現象であることを無視しているだろう。

なぜなら食べ物、資源、サービス、不動産、株式ありとあらゆる「値段がつく物」は、売り手と買い手、すなわち意見が正反対の者がいないと値はつかない。人類のあらゆる活動に全会一致はないことを前提とし、それを活用しながら資本主義経済は時々刻々と動いている。だから資本主義の市場経済を導入しながら民主主義でたまたま全会一致であると主張するなら、その主張自体が張りぼてのフィクションだということになろう。

中華人民共和国は「社会主義」を明記する憲法を持つ立憲国家である。国民を代表するとされる「全人代」が最高国家権力機関かつ立法府であり、三権分立による権力の制限はなく、行政、司法、検察に優越する。国政選挙はなく国民が選ぶのは郷代表、それが県代表を選び、それが省代表を選び、それが全国人民代表(全人代)を選ぶ。全プロセスに共産党が深く関与し、国民の投票は信任投票に近いだろう。

現行憲法は、1949年に中華人民共和国の成立が宣告され「中国人民政治協商会議共同綱領」として成立した憲法が4回の改定を経たものである。国民の権利は保障され言論、出版、集会、結社、行進、示威の自由(第35条)、宗教信仰の自由(第36条)もある。しかし国民は「公民」と定義され、その権利は社会主義国家の構成員として義務と一体とされている。

つまり、国民の権利は、社会主義(プロレタリアート独裁)に服従することを前提としてのみ「在る」のであり、独裁を認めなければ「無い」。独裁に服従することと「在る」ことは定義矛盾である。「公民」の権利がちゃんと憲法に書いてあるという事実をもって、「国民」のは書いていないという事実に替えようというロジックは、それが市民革命を経て為政者を縛るための憲法と同質の憲法(constitution)を有する国家であるという主張を正当化するものではない。

資本主義と民主主義。両者は「対立の容認」という不可分の原理に立脚している、と筆者は理解する。前者を肯定し後者を否認すれば、一国家の政治と経済が別個の原理に立脚することになる。後者否認は憲法化されているわけだから前者は成立はせず、いずれ不安定なものに向かう。中国のWTO加盟が不可逆的経済開国であることを前提とした外資依存型経済成長は限界が来るだろうというのがその論理的帰結である。

 

中国はどこに行くか (上海にて思うこと)

 

 

 

Categories:政治に思うこと

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