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クラシックは「する」ものである(5)-J.S.バッハ「G線上のアリア」ー

2014 AUG 6 13:13:46 pm by 東 賢太郎

第5回目です。ちょっとだけ中級コースに入ります。

バッハの管弦楽組曲第3番のアリア(いわゆる「G線上のアリア」)です。ゆっくりな曲なので格好の練習曲です。

有名な曲ですから音楽の教科書で多くの方がご存知でしょう。初心者用の入門曲と思っておられる方も多いかもしれません。

とんでもない。この曲をピアノ独奏でちゃんと弾くのは素人にはなかなか難しいです。そして歌ってみればその難しさがわかります。

まずは女性はソプラノ、男性はバスを歌ってください。バスはオクターヴをちゃんと取ってください。うまくいかなくても結構。あきらめないで何度も挑戦して下さい。譜面が音名で読めない場合は楽器で弾いて耳で覚えてください。

できた方、ではさらにアルトとテノールをいきましょう。

これはちょっとむずかしいかもしれません。じっくりゆっくり、しかし手を抜かずに正確にどうぞ。

テノール(ヴィオラ)のパートは「ハ音記号」なので音をひとつ上げて(シをドとして)読んでください。ドレミをレミファにするということです。音名で読める方はいいですが僕は始めはギブアップでピアノの助けを借りました。

アルト(第2ヴァイオリン)男性はオクターヴ低くてもOKです。特に臨時記号の#がつく所は音程に気をつけて下さい。テノールは原音どおり(裏声)で歌いましょう。

バッハの時代(バロック)の音楽は「通奏低音」(バッソ・コンティヌオ)といってバス(楽器は指定なし)の音に数字を振って、あたかもギターコードのように和音をつけました。

鍵盤楽器であれば左手でバス・ラインを弾いて右手で数字が示す和音を即興で入れたそうです(通奏低音の弾き方に関しては僕はまだ勉強不足なのでコメントを控えます)。

このアリアもソプラノ(第1ヴァイオリン)の旋律にバスがついていて、真ん中の2声があたかも即興であるかのごとく協奏しながら装飾的に和声を縫っていきます。

しかし譜面を見れば見るほど実はそうではなく、計算され尽くした音が大理石のように見事に配置され完璧な宇宙の調和を体現しているという様なのです。

後半で第2ヴァイオリンが半音ずつ上がっていき、最後にバスのe(ミ)に対してd#(レ#)の長7度で軋む部分など息をのむほどの美しさ。絶句するしかありません。

歌い終わってつぶやくのはバッハは凄いの一言です。この4声の糸が織りなす綾のすばらしさ、これにまさる天上の調べは考えがたく僕は娘の名に「綾」の字をつけました。

ぜひ真ん中の2声をじっくり練習なさってください。それでこの曲が完全に違って聴こえてきます。僕の経験です。漫然とお聴きになっていた時とは格段に違うものがそこに現れてきます。

 

ここまで修了された方はもうオーケストラ曲のチェロパート、ヴィオラパートをそこそこ歌える準備ができています。ただ音だけを聴いていたご自分とは別な自分を発見されることでしょう。「歌ったり踊ったり」の効用を一人でも多くの方に体験していただきたいと願っております。

 

クラシックは「する」ものである(6)ージュピター第4楽章ー

 

 

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