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チューク島にて(その2)  

2014 SEP 12 10:10:18 am by 東 賢太郎

南洋の島に行く異(い)なる味わいというのは一度やってみないとわかりません。ハワイやグアムに何度行っても計り知れない鮮烈な味であり、人智を超越したものです。我々の築いてきた常識や人生経験など、文明こそないが原始の強靭な精神を今も持って豊かに満足に暮らす人々の前で粉々に崩れ去ります。

そして溢れかえるような大自然の力が人間の五感を野生の本能にまで巻き戻してくれます。そこに立ってジャングルの香りのする大気を吸い込んでいるだけで何かが変わります。東京で雑事に追われていて耳鳴りがしていたのが一日でぴったりと止んでしまいました。何かが確かに体内で起きているのを感じます。 去年の6月に人生で初めて北緯7度の南洋の島、ポンペイ島に行きました。

このような強烈な洗礼を受けていましたから今回は意外なほど何があっても驚きがないのに自分で驚きます。精神的な免疫という物はたしかにあるのです。昨年は会社設立という大作業があって、ミクロネシア政府代理人である米国資本MRA(ミクロネシア・レジストレーション・エージェンシー)が水も漏らさぬテークケアをしてくれました。今回2度目、株主総会、取締役会とあってそこまではありません。

ただ、2度目とはいえ前回とは島が違います。今後の事業展開のことを考え、全部を知っておくという意味でMRAにそうお願いしたのです。ミクロネシア連邦の4つの州、ポンペイ、チューク、ヤップ、コスラエでは言葉も種族も違うと聞いていました。しかしチューク人がポンペイ人とこんなに違うとは大幅に想定外でした。前回の経験値でのかなり低めのアテンション・レベルを2段階ぐらい引き上げる必要をすぐ感じることとなりました。

chuuk1チューク空港は日本海軍の滑走路をそのまま使っています。僕らに用意された空港わきのホテルL5(レベル5、右)は島で一番高い5階建ての意味で、昨年お世話になった元駐日大使のミタさんのご経営です。まだ一部は工事中でしたが新しく清潔なホテルが一泊一万円ですからリーゾナブルでしょう。手前は廃墟と化したスタンドです。

chuuk2ところが、7時に頼んだモーニングコールがなく焦りました。人生で二度目です。この島では他人を当てに出来ないことを学びます。朝食は唯一の近くのレストランが7:30オープンだとホテルではいうのですが、その時刻にはまだ人がおらず、結局開いたのは8時ごろでした。中へ入るとびっくりです(左)。窓はすべて厚めの赤いカーテンで覆われて朝っぱらからナイトクラブではないですか。女の子でも付くのかな、ウイスキーでも頼みますかと冗談を言いながらウエートレスのおばさんに開店は7時半とききましたが8時ですねと念を押すと、7時半?とんでもない、7時だと堂々の主張です。この島では1時間は誤差のうちだということを学習します。出てきたハンバーグライスは荒っぽい味ながら現地風ソースでまあまあ食べられましたが、別なご当地風名称の料理が来てみると僕のとほぼ同じ具材を高く積んだだけ。それで値段は高い。パンケーキは分厚いのを3,4枚無造作に積んだだけ。アテンション・レベルはこうして徐々に上がっていったのです。

chuuk3ホテルへ戻り会議室ですぐ懸案の仕事にかかります。午前中には万事無事に終了し、そこから車で島の南西の突端にあるブルー・ラグーンへ直行しますが、大変な事態が待ち受けていました。一本道なのですが、舗装してない道路(右)は深い穴ぼこだらけでそこに昨夜の雨が巨大な水たまりを作っています。車は右に左に、上に下に、前に後ろに、時おり斜めに、日本人の経験値などぶち切る物凄い振幅と角度で揺れまくり、プロのレーサーでも時速5km以上出すのは至難の業でしょう。これを日本語の「でこぼこ道」と形容するのには強いためらいを禁じ得ません。エボラ出血熱を風邪だとするに匹敵するでしょう。直径10mもある池みたいな水たまりを舟みたいな気分になって進みますから、もしこれで気分が悪い人が出たら車酔いでなく船酔いと診断すべきです。これは元々は舗装道路だったのが、だんだん穴が開いてこうなったそうです。それを誰も気にしないおおらかさ!これは首都パリキールのあるポンペイ島ではまず考えられないでしょう。歩いた方が速いじゃないかと思いましたが、そうもしない。島民気質が根本的に違うようです。治安もこちらの方が悪く、車に道を譲らず迫ってくる酔っ払いがまっ昼間からいましたし、ホテルの玄関前もロックして2-3人が見張っています。

舗装すれば5分で着く4-5kmの道のりを30-40分のドタバタの末、chuuk4やっと目的地に到着しました。ここまでの苦労が嘘のように静かで平和なリゾートです。ここが日本軍の沈船で世界的に有名なダイビングスポットであることは知っていましたが、このリゾートがその拠点でした。通常深くて50mのところ70mも潜らせるそうです。大勢の欧米人ダイバーがこのリゾートから朝早く沖へ出ていきます。ダイバーでない我々がいること自体が実に場違いだったわけです。午後から船で夏島と無人島を巡る予定でしたが、ガイドの方が飛び込んできて「すみません。今朝来たダイバーに船が回されてしまいました」と謝りに来ました。この島では契約という概念が成り立たないことを知った瞬間でした。

chuuk5仕方なくランチにしましたが、写真の地魚ラプラプ(ハタですね)の塩焼があまりに美味で憤慨も跡形なく引いてしまいます。醤油はポンペイ島はキッコーマンでしたがここは「ヤマサ」で、それをかけると香ばしいアツアツの白身魚としては完璧の域に達します。ライスはやや固めでワイルドですが不味くはありません。これは日本の居酒屋で通用する一品ですね。海に出られないので車で陸の案内をしていただくことで手打ちをしました。

chuuk6リゾートがどこにあるかというと、左の写真のWENO(春島)の左上の滑走路の横から海岸線に添って南下した南西の突端に位置します。その距離が4-5kmです。そのまま海を南下した三つの島の真ん中あたりに戦艦大和、武蔵が錨をおろして停泊していたのです。TONOWAS(夏島)は小さいことがわかりますが戦時中は産業まであって、沖でカツオを捕って上質の鰹節を生産していました。日本の鰹節の60%が夏島製だったそうです。戦後に日本政府がODAで鰹節製造用の冷凍庫を建造して現地に引き渡したところ、数年で廃墟と化したそうです。仕方なく新潟鐵工がもう一度造り直して現地に引き渡したところ、再び廃墟と化したそうです。

chuuk7リゾートの庭を散歩しました。どういうわけか僕をめがけて猫が寄ってきます。毎度のことです。広い敷地を歩き回るとずっとついてきます。この時点ではダイバーの聖地とも知りません。真っ昼間から歩く者も海で泳ぐ者もなく、僕らと猫しかいません。岩合さんの世界ネコ歩きみたいだなあ、妙なところだなあと思ってましたが、猫の方もきっと妙な連中だなあと思っていたんでしょう。

 

 

チューク島にて(その3) 

 

 

 

 

 

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