今年の箱根駅伝に思う(5区の神学論争)
2015 JAN 4 15:15:46 pm by 東 賢太郎

今年の箱根駅伝は本命駒大をぶっちぎって青山学院の圧勝でした。5区で柏原の記録が(参考とはいえ)塗り変えられるのは想像もしておらず、確かにあそこで決まった観はあります。
ただ総合タイムも史上最高ですからね、往路も復路も全員が強かったということであり、文句なしの優勝だったと思います。
5区の山登りですが2006年に距離が長くなってからあそこがレース全体の勝敗を決するケースが多く、5区を短縮する議論が監督会議で出ているそうです。
「現時点で今井と柏原は実業団で大活躍しているとは言い難いのが現実。標高差が864メートルもあるマラソンコースも、世界の主要大会に存在しない」
という理由らしい。どちらも事実なんでしょう。でもなんでそんなことがここで話題になるのか。
今井も柏原も平地では普通の選手だったから山登りに人一倍の努力をしたときいたように思います。山で有名になったら実業団で大活躍しないとおかしい理由はあるんでしょうか。
標高差ありすぎ?これは笑えますね。そんなの大正時代からそうでしょう?
それを言うならゴール地点を低い所に変更するしかない。すなわち箱根の看板を外して歴史も捨て去って御一新するしかない。そんな勇気ありますか?
誰もあの山登りはマラソンと思って観てないし、それでも人気があるから風物詩とまで言われて100年近くも続いているのでしょう。
「今の5区は特殊区間で全体の4、5割のウエートを占めている」
そうですか。でもひょっとしてTV視聴率の4、5割のウエートも占めているかもしれませんよ。なんといっても面白いですから。箱根駅伝そのものが特殊な競技大会じゃないでしょうか。
世界にない山登り競技にうつつをぬかしては日本のマラソンに未来はないというならば文科省が打ち切りにすべきですが風物詩なんだからそんなことはしません。だからやっぱり御一新は無理でしょう。
つまりマラソンの未来を憂う大学は「箱根駅伝には出ない」という結論にいたるしかないのではないでしょうか。女子に箱根は無くても五輪メダリストは出てるわけだし、その理由で監督会議で5区を短縮すべきという議論はないと思う。
だからこの主張はいったい何をしたいのか意図が全然わからないのです。我々素人ですが、素人にわからないことは意味のないことが多いです。神学論争ですね。
何かこの議論は「山の神否定論」に聞こえるのですが、神野君が3年である以上、青学以外の全ての監督は5区短縮賛成だろうし、来年の視聴率を考えると日テレ、読売もそっちかもしれません。
努力した者が大成功するとあれこれ言われるならそういう議論は徹底排除すべきです。スポーツはフェアであることが何より大事であって神学が出る余地はない。マラソンかどうか以前にまず箱根駅伝はスポーツかどうかを問われるでしょう。
今回、神野君のタイムはどうみても区間新記録ですが、函嶺洞門をバイパスして距離が違うので区間賞にしかなりませんでした。これはやむなきことでしたがそれでもスポーツとしては違和感を覚えます。
スキージャンプやバレーボールで日本人が勝つと欧米がルール改正してどっちらけになる、ああいう方向に行ってほしくないし、そうなればマラソンの未来だけでなく競技全体の未来も心配することになるでしょう。
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中島 龍之
1/5/2015 | 11:56 AM Permalink
今回の箱根駅伝は予想外の青山学院の優勝で快挙でしたね。それによって、5区の距離問題が監督会議で出るというのは、今らしい議論です。全区間を同じ距離に分割すればいいでしょう、などと思ってしまいます。距離が違うから駅伝の戦略、選手起用が面白いのではないのでしょうか。5区で活躍してもその後が活躍していないとか、世界でのマラソンの為にはやくに立たないとか、箱根駅伝をマラソンの練習の場と考えているのでしょうか。「箱根駅伝を目標にしてどこが悪い」、野球でいうなら、選手の健康ためにはエースの連投批判があったり、タイブレークの導入論がありますが、「甲子園が目的でどこが悪い」と思います。古い考え方でしょうかね。
東 賢太郎
1/5/2015 | 2:59 PM Permalink
まさに箱根は甲子園ですよね。中島さんのおっしゃる通りと思います。4,5割が5区で決まるって昔からそうだけどそう思わせる走者がいなかっただけでしょう。努力してそういう人を出したら距離を変えようなんてスポーツじゃないですね。大谷くんの球は速すぎて打てないからマウンドを1メートル後ろに下げようっていうのと同じです。そんなことしたら馬鹿らしくて誰も野球見なくなりますよね。
中村 順一
1/6/2015 | 1:25 PM Permalink
今年は最初から青山学院を応援していた。青学はおしゃれで華やかなイメージがある。ほかの箱根駅伝の常連校とは少し違うイメージだ。青学は学校を挙げて選手強化に取り組んだのだ。クロスカントリーコースを作り、上り坂の徹底的な訓練をした。神野の力走はそこから生まれたのだ。5区の走りを見るのは箱根駅伝の昔からの醍醐味であり、5区の距離を縮めるアイデアは、対策を怠った敗者の負け惜しみ議論である。柏原の今後は十分に有望であり、オリンピックでもシドニー五輪の如く坂ばかりのマラソンコースもある。東兄、中島兄の意見に全面的に賛成である。