クラシック徒然草-ベートーベンかベートホーフンか?-
2015 JAN 20 1:01:07 am by 東 賢太郎
ギョーテとは 俺のことかと ゲーテ言い
という川柳があった。Goetheのoeの部分は唇を「ウ」の形にして「エ」と言うと似た音になるドイツ語特有の音だ。日本語にない音が入った人名、地名は困る。ギョーテは本人もびっくりだろうが、ゲーテと書いてあの人の名前ってことにしとこうよというのは妥当な解決だろう。ちなみにドイツ人にゲーテでも通じることはあった。
ゲーテほど難儀ではないのに、原語そのままのカタカナ表記でない物が一般化してしまったものがある。以下、各人の母国語発音をなるべく忠実にカタカナ化してみる(下線部にアクセントをおいて発音する)。
デビュッスィー (ドビッシー、ドビュッシー)
ハヴェール (ラヴェル、ラベル)
ヴァーグナー (ワーグナー、ワグナー)
べートホーフン (ベートーベン、ベートーヴェン)
メッスィヨン (メシアン)
ドゥヴォジャーク (ドヴォルザーク、ドボルザーク)
イクトール・ベルリューズ (エクトル・ベルリオーズ)
という具合だ。日本語風ののっぺりした発音では通じない。ベートホーフンは「フ」の後にかすかに「ェ」が聞こえるがベーが強いので書いたように発音した方が通じる。ドゥヴォジャークは「ォ」の後に短く「ㇽ」が聞こえるが日本人はruと母音が入ってしまうので表記のように発音した方がいい。まあ、米国でウォーターがワラだということだ。
ドビッシーをドビュッシーに、ベートーベンをベートーヴェンなんて書くとなんとなく気取ってもっともらしいが、ギョエテかギョーテかというどうでもいい次元の話だ。通じないことに変わりはないからあまり意味はない。
「いやあ今日のベートホーフンは良かったですね」とか「ハヴェールは何がお好きですか」なんていうとキザを通り越して気持ちが悪い。
ゲーテと同じくどれも日本人世界の「符号」にすぎないから僕は何となく使い慣れたもので行くことにしている。ストラビンスキーをストラヴィンスキーと書いてなんでベートーベンなのと思うが、昔からそうしている以外に理由はない。
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団は現在は「ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団」が正式名称で、それはわかっているのだが、僕の中ではそんなのは受け付けられない。松任谷由美って荒井由美のこと?っていう感じだ。だから頑固ですいませんがこれからもACOで行かせていただきます。
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東 賢太郎
1/20/2015 | 6:51 PM Permalink
西洋語は明治時代に誰から日本人が習ったかがあるようです。日本で英語を習った日本人は米語より英語の方が一般に聞きとりやすいと思いますが、日英同盟と関係あるでしょう。ワイシャツ(white shirt)やメリケン粉(American)は慣れない米語だったでしょう。
漢字の音読みの輸入はずっと古くて呉音(三国志の呉)が多いそうです。