「舞妓はレディ」を観る
2015 OCT 21 23:23:34 pm by 東 賢太郎
某企業にのりこみ、親友の I にいま京都である案件を考えているから協力せいと腹案を話した。奴はふむふむと静かにきき、「なんやお前も京都まで出没して遊びよってに」だ。まじめに聞こえない話らしいがこっちは大まじめだ。
祇園の花見小路に一力亭という有名なお茶屋があって奴はそこに出入りしている。近藤勇、大久保利通、西郷隆盛が通ったところで、大石内蔵助はここで討ち入り前に豪遊してカムフラージュしたという。
お茶屋遊びが京文化であるのはもっともだが、受け手である客人のほうも文化をかついでいるんだぜ、と勝手に主張している。そうやって、奴のようにお前はしょうもないと言う者に何をぬかすといいかえしつつ命の洗濯もする。
客が外人ばかりになってみい、京舞は和風バレエだろ、都をどりだってパリのリドみたいなもんだ。それじゃあする側もだんだん手が抜けるさ。俺たち客が品質を保つんだ。まあそういうことにしておく。
お茶屋は酒宴の場ではない。仕出しの料理を楽しむが料理屋でもない。芸を観る側でカラオケでもなく、トラトラなどお遊びはできるがキャバクラでもない。銀座のクラブが多少近いが芸妓はともかく舞妓に気の利いた会話は似あわない。
東京人にはそういうわけのわからない場であるうえ、色の白いは七難隠すというが白粉で固めた女性は上も下も年齢がわからない。舞妓はティーンエイジャーであるが、すっぴんでそんなのにお酌をされても困る。話題がないのである。
ところが彼女ら諸事不詳なうえ発する京ことばのほわんとした響きは異空間を形成する。我々は相手との相対感で言葉づかいを無意識に選択する習慣がついているが、不祥な相手ゆえ思考回路が停止してしゃべる中味はどうでもよくなってしまう。
畏友、写真家Sのスタジオで東宝映画「舞妓はレディ」を上映してもらった。監督は「Shall we ダンス?」の周防正行。これは実に面白い。
さて、なにがどうなるか。
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