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クラシック徒然草-僕は和声フェチである-

2015 DEC 7 2:02:58 am by 東 賢太郎

僕が最初に覚えた西洋音楽はアンタッチャブルのテーマでした( アンタッチャブルのテーマ(1959)The Untouchables Theme 1959)。この妖しい和音に完璧にはまってしまい、各声部までしっかり歌え、もしこの頃にピアノをやってたら妖しい曲専門の作曲家にでもなってたかもしれません。

だから近現代のシェーンベルグやクセナキスなんかも全然平気であり、覚えられるし歌えるしモーツァルトのように楽しめます。逆に苦手なのは和声的に何の事件も起きない、コンビニに並んでる115円ぐらいのカップ麺みたいにどれもこれもおんなじような音楽で、学生時代、インフルエンザみたいに大流行だったフォークなど大嫌いでした。

フォークというのはCとGとFと、たまにAmとDmぐらいはあって、ときにEmやセブンスなんか出るとおっやるねなんて感じで、あまりのあほらしさにこちとら気絶しそうであり、キャンプファイヤーなんかで当然でしょ風に長髪のギターの兄ちゃんと僕の大嫌いなタイプのヴォーカルの女が出てきてあれが始まる。法事の念仏の方がよほど面白い。

普段我々が耳にするほとんどの和声変化の「原典」はクラシックにあります。それが微分積分とするとフォークは足し算引き算というところです。だいたいギターは定型化した指の形で最大6音しか出ないので10音(以上)出せてポリフォニーが弾けるピアノから見ればウクレレと大差ない。複雑な音楽は無理です。

しかし和声が面白い音楽にジャンルの壁などありません。ここが楽しいところ。ビートルズやユーミンやカーペンターズは面白いし歌謡曲にもいいのがあるし、クラシックにも退屈なのがたくさんあります。「和声フェチ」の僕としては面白いかどうかだけが大事でして、芸術的とか高尚とかいうわけのわからない基準などくそくらえです。

あえていうならhigh qualityでしょうか。ゴッホと三文画家を並べたら、子供でもわかってしまう差があります。それは言葉にならなくても厳然としてこの世に存在するのであって、神様は不公平だしかわいそうだけどどうしようもない。ビートルズやユーミンやカーペンターズの和声はクオリティが高いのであって、だから誰もまねできていないのです。

Take6 という米国の黒人6人のグループが有名なクリスマスキャロル(Hark The Herald Angels Sing)を歌っています。これが凄い。これを譜面に書きとれといわれても難しいですね。

こっちはビング・クロスビーのスタンダード(I’ll Be Home For Christmas)。この精緻で複雑な和声、脳天を直撃です。

この人たち、ジュリアードやカーチスを出てるわけではないようです。ジャズやゴスペルに感じるのですが、黒人の感性はまったくもって独特であって、白人の西洋式の(すなわちクラシック音楽仕込みの)教育とはかけ離れた所で、圧倒的にhigh qualityの音楽を生んでいます。ラヴェルやミヨーが影響を受けたのは伊達でなく、ゴッホが葛飾北斎に影響を受けたのと同じでしょう。北斎の浮世絵に僕は圧倒的なhigh qualityを感じますが、それと同質なものが黒人音楽にはあるということでしょう。

クラシックの有名曲はもう全部きいていそうなので、来年は黒人音楽を聴いてみたいですね。きっと面白い和声があるだろう。和声は化学です。未知の化学式を持った物質があるかもしれないし、未知の価値がある合金ができるかもしれない。それを探すために音楽を聴いてきたのかもしれない、アンタッチャブルのオルガンのオジサンもそう思ってるかもしれないなと今なんとなく思いました。

 

荒井由美 「14番目の月」

ハイ・ファイ・セット 「メモランダム」

ベルリオーズ 「幻想交響曲」 作品14

フランク 交響曲ニ短調 作品48

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Categories:______クラシック徒然草, クラシック音楽

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