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カルメンが生き残った理由(今月のテーマ インテリジェンス)

昨日は次女と新国立劇場のカルメンでした。何度聴いてもいいですね。ホセのマッシモ・ジョルダーノは演技力もあって後半はよかったかな、ミカエラの砂川涼子は健闘でした。オケの東京SOはいい音が出てましたね。前から4列目で美しい舞台も楽しみました。

娘たちは幼稚園のころからオペラやバレーへ連れて行ってるのですが、今もこうしてきいてくれるのはうれしいことです。彼女は魔笛、ヘンゼルとグレーテル、白鳥の湖、くるみ割り人形なんて子供向きから、ボエーム、コシ・ファン・トゥッテ、イエヌーファ、エレクトラなんて大人物まできいてます。ワーグナーは寝るだろうということで、ヴェルディは親父がきらいで外して申し訳なかったが、これからは自分の趣味で聴いてください。

さて子供の時にきいたのをどこまで覚えてるかというときっと忘れるんですね、筋もややこしいし長い曲だからとうぜんです。僕は初めてオペラを観たのはメトロポリタン歌劇場のタンホイザーだからもう27才でした。ところが先日に野村くんがプレートルのブログにくれたコメントで、一橋中学で音楽の授業でカルメンを全曲聴いたとありました。

car完全に忘れてましたが、家にカルメンの抜粋のEP盤(右)があって不思議に思っていたんです。なんで買ったのかなと。EPはごまんとあって、ベンチャーズ(小4)に始まってお袋が買ったと思われる渡哲也「くちなしの花」(73年、高3)なんかもある。中学ではまだLPは買っておらず、ひょっとして音楽の授業でcar1「前奏曲」が気に入って買ったんじゃないか?という気になってきたのです。僕はこの前奏曲が大好きでイ長調に0.3秒だけ出てくるつなぎのC#(!)、そしていきなりぶっ飛ぶCのコードは今でも頭をぐしゃぐしゃに錯乱させる効果があります。ボロディンがそうだったように、当時、転調には異様に反応してしまう子供だったです。

だんだんほんのりと思い出しつつあって、カルメン鑑賞は何回かの授業に分けていて、森谷先生の「今日は第2幕です、ここでホセがこうして」みたいな解説があったような。あれ中3の受験前じゃなかったのかなあ、なんとなくですが、勉強で疲れてて、とにかくぼーっとオペラ聞くだけって授業が続いて楽ちんで、先生親心だなあなんて勝手に思った気がするんです。

昨日は始まる前に娘にすじを教えて、これはリアリズムのはしりのオペラなんだ、おとぎ話じゃないからね、カルメンはひねたアバズレ感がないとね、エスカミーリォはホセを出しぬくイケメンじゃなきゃ変だろ、顔じゃないよ声だよ。それを通らない低いバスでやるの、なかなかいいのいないんだ。ミカエラはビゼーが中和剤で入れた役だ、何で入れたかわかるか?アバズレが主役なんてダメなの、当時のパリじゃあ。ソプラノふつう主役でしょ?カルメンはメッツォなの。ハバネラはね、初演の女が練習でごねたの、もっといいの書いてよって、それで他人のメロディーをパクったんだ、でも歌手のゴネ得はねモーツァルトでもしょっちゅうあったよなんてことを教えます。

そしていよいよ前奏曲の前に、「カルメンができたのは鹿鳴館より前のころだよ、そこから150年近くもどうして世界で大ヒットしたのか理由を考えながら聴きなさい」と伝えました。次女は外資系のマーケティング部門にいるのですが、何でも考えさせる題材にはなるのです。

帰りにショーペンハウエルの「馬鹿になるから本を読むな」も教えました。本は読んでいるようで結構だが、それは他人の頭で考えてもらっていることでもあるのだ。その結末だけ何万覚えても実社会では何の役にもたたんよ、数学の公式だけいくら丸暗記しても難しい問題は歯が立たなかっただろ?あれがどうやったら攻略できるかって、攻略本じゃなくね、自分の頭で考えるんだよ。しかも実社会の問題は正解がないんだよ、条件もその場その場で千差万別だ。自分の頭で考える訓練をしていないと解を導くなんざ到底無理だ。でもみんな解いた気になってんだ。そうやって人生ができていくの。いい方にも悪い方にも。

その解こそインテリジェンスなんだよ。それを導く能力があれば何しても食っていけるし勝ち抜けるよ、保証してやるさ。みんな口で言いたくないけどな、資本主義は食えた奴が勝ちなんさ。武士は食わねどの人はそれでいいけどな、口は左翼、財布は右翼ってのがいっぱいいるんだ。たいして食えてもいない奴の本なんか読んでどうすんの?捨てなさいそんなの。インフォメーションはど~でもいいの、ググればその場で出てくるでしょ、物知り博士なんか食えないんだよ、それこそ人工知能に一番早く食われるさ。学歴や職歴で食えると思ってる奴は考えなくなるからね、東大出てたってね、これから最もダメなタイプだ。

なんてことを言うわけです。過激すぎてブログに書けないことも多いので、でもそれが世の中のまぎれもない真実でもあるんで、まあボケる前になるべく教えとこうということです。カネを残すより知恵を残してやった方がいいですね、遺産は食いつぶしたら終わりだがそこからは自分で食えないと寂しい人生ですからね。

はい、カルメンが何で150年生き残ったかは解釈がいくつかあるよね。世界のどんな田舎へ行ってもオペラといえばカルメンぐらいは返ってくるね、凄いことだよね、じゃあどうして?

 

 
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    2 comments already | Leave your own comment

  1. 2/1/2017 | 7:55 PM Permalink

    カルメン、良いですね〜。
    150年も飽きずに演奏されるのは展開がドラマチックで万人向きなせいでは無いでしょうか?
    小生は相変わらず頂いたカラスのカルメン一途です。
    タンホイザー、アイーダ、ニュールンベルグ等が好きです。
    レーベルをみただけでワクワクしますね。
    本も好きで、今は20年前、30年前の本を読み返しているとこんな事が搔いてあったかと感無量になります。
    小生が思うにはググった知識は画面を閉じればそれでお終いになり、頭の片隅にも残らない、本は考えながら想像しながら読むので残るのではないでしょうか。
    ビコーズ、このIT時代になっても本屋さんが賑わっているのでしょう。

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  2. 東 賢太郎

    2/1/2017 | 8:26 PM Permalink

    150年も飽きずに演奏されるのは展開がドラマチックで万人向きなせいでは無いでしょうか?

    市原さん、男をたぶらかしてふって嫉妬されて殺される女なんて現実に見たことないのですがどこかリアルですよね。悪い男は邪悪なだけですが悪い女は女狐なんていわれて物語になりますし、駆け落ち、情死なんて話がきれいごとに思えます。男は俺も注意しなきゃ、女はこういう手もありかなんて思って見るんで人気あるんですかねこれ。

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