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オーケストラと野球チームは似ている

2017 APR 10 11:11:33 am by 東 賢太郎

いまわが広島カープが7連勝ととてもいいわけですが、ヤクルト相手に新人の加藤が9回1死まで無安打無得点、翌日は2年目の岡田があわや完封、3戦目は九里が7回2点と、結果がどうのではなく何か異例なことが起きている感じがします。バックの守りが半端じゃなく、若い投手を必死に守ってやって絶対勝たせるぞというチーム一丸の気迫がびしびし伝わってくる。

ベンチもほめたい。岡田をぎりぎり替えなかったことです。若手に100球制限なんてアホなことやめてくれやと見ていたら、そぶりもなかった。完投したくないピッチャーなんて一人もいない。本能です。できれば完封したいし、完全試合したい。米国の真似で本能に掉さして「お仕事」感うえつけて、加藤、岡田みたいなワイルド感のある若手をつぶしてほしくない。そこはカープは見事です。

野球の守りというのはオーケストラに似ていて、全員パートが違うわけです。ひとりでも下手だとうまくいかない。カープは左翼以外は全員上等の部類。一塁の新井だけやや落ちますが今年は青年みたいに動きが良くて、逆に40歳の彼がいいプレーすると全員が乗ってくる。すると初先発の新人があわやノーヒッターなんて信じ難いことをやっちゃう。人の集団の連鎖反応ってのは不思議なんです。プロだからということもなくて、多摩川で子供の試合見ててもそうです。

オーケストラもそうで、世界レベルの楽団でも気が乗らない演奏はつまらないのです。野球でいえば「オレ100球」の投手がテレテレ投げて3点も取られると、バックは「よし4点取ってやるぞ!」なんて燃えないでしょうね。2年間きいたフィラデルフィア管弦楽団もときどきそうで、第2ヴァイオリンの主席のおじさん今日は気乗りしてないなあなんて感じるときは、そういう気分が全体に伝染してるんでしょうだいたいつまんなかったですね。

チェリビダッケが初来日して東京文化で読響を振った1曲目のメンデルスゾーンの「真夏」。遠い舞台がよく見えず、指揮者が棒を構えた(と思われる)異様な緊張感のなかシーンと静まって最初の音がなかなか出ない。1分も待たされた感じ。そこにあのフルート。虚空の闇に青白い人魂がポッと浮いた、本当にそういうイメージが見えて度肝を抜かれました。あんな音は後にも先にもなし。人間の集団が針の先みたいに神経を集中するといかに物凄いことが起きるか。

僕は広島カープは緒方の1年目があまりにボケでブログにボロクソに書き去年は見放しました。しかし優勝すると成長して指揮官らしくなってますね、加藤、岡田、九里をごくろうさんとねぎらっている顔が2年前と違う。新人が育つ顔ですね。指揮者に風格が出て全員に余裕が出てきて、オーケストラなら「ほかのパートを良く聴いている」感じでしょう。他チームは自分のプレーで一生懸命。これなら連覇間違いなしといったら早計でしょうか。

 

クラシック徒然草-チェリビダッケと古澤巌-

 

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