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大名演だったルイジ/N響のマーラー巨人

指揮:ファビオ・ルイージ

ヴァイオリン:ニコライ・ズナイダー

アイネム/カプリッチョ 作品2(1943)

疲れがたまっていて休日のマチネーは眠くなってしまう。敬遠しているのですが昨日の読響が重なっていて止むなく振り替えました。ファビオ・ルイジは名前は記憶があってドイツ、スイスで何だったか聴いてるはずだけど覚えてない。気に留めてなかったのでしょう。メンデルスゾーンの速めのテンポでやや意識が戻るも集中せず。観念して後半のマーラーを迎えました。ところが、これがめちゃくちゃ面白かった。場外ホームラン。何年に一度の快心の一発です。

第2楽章は冒頭のチェロがゆっくり入って加速したり、第3楽章はコントラバスが全員で弾いたりとえっという感じでしたが、緩急自在のテンポでエピソードごとに大きく表情は変転。一時も飽きることなし。一気に覚醒。管楽器ごとにニュアンスと色合いが豊富なばかりか、弦5部も曲想によってそれぞれが自己主張して歌うので音楽がロマンティックに脈打つ。ヴィオラ、チェロは音が違う。ルーティーンで流すところは皆無、すべてのフレーズに血が通い奏者の息づかいまで感じられるという異例さで、何もなければ無難に終えてしまうN響も名演。

手垢のついた伝統の解釈を一旦ふりほどいてというのは誰もが試みることですが、これは聴いていて違和感のある恣意ではなく、ヨーロッパの伝統に根差した新しいスピリットの注入とでもいう感じがいたしました。第1楽章のカッコウの森の深々とした遠近感、第2楽章のホイリゲの雑踏のようなライブ感、第3楽章の軍楽隊はドンチャンと速めに行進してはっとさせ、ハープの「彼女の青い眼が」は白い霧のなかの白昼夢みたいに響く。それぞれ場面場面で11年住んだヨーロッパの懐かしい光景が脳裏に明滅するのには本当に驚きました。

僕にとってマーラーの安っぽくて嫌だと思っていた部分はこういうものだったか、いままで何を聴いていたんだろう?

1番のオーケストレーションは見事で第3楽章で一回だけひっそりとマレットでたたくシンバルの響き一つでも頭に焼きついています。音楽が生き物のように流れるとその効果が色づいて見える。ルイジのスコアの読みはマーラーの意図かどうかはともかく、僕も耳にタコができている1番の再発見をさせてくれました。クラシックはまだまだこういう余地がある。学んだと同時に、頭を芯まですっきりさせてくれました。

 
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