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クラシック徒然草《ラテン感覚フルコース》

2017 OCT 29 11:11:30 am by 東 賢太郎

自分の洋モノ好きがゲルマンなのかラテンなのかは難しい所だ。地中海の文化、風物を愛するのは何度も書いた通りだ。食はラテンだしベートーベンやワーグナーもトスカニーニのラテン気質で解釈したものが良い。しかしゲルマン世界に5年も住みついて食も慣れたし人の気質にもなじんだし、ソナタ形式の音楽は言うまでもなくそっちだ。結局、どちらともつかずその時々の気分によるということだ。

お袋がいなくなってからもあまりに親しい方々が亡くなったり病気だとの知らせを伝え聞いたりするものでかなり神経が参っている。だんだん自分の過去が切り取られてなくなっていく。辛いから心が忘れようとするが、すると故人とともに子供のころの記憶にぽっかりと穴があいてしまう気がしてくる。こういう時にあまり気難しい音楽は欲しくない。何も考えずに、一切の言葉を消して頭を空っぽにして聞くにはラテンもの、フランスに限る。

洗練された美食の文化と同様、万事感覚的に美しいことに徹底して潔い。ラヴェル、ドビッシーはもちろんメシアンやブーレーズもそうだ。この感覚美とでもいうものが心の澱を流し去ってくれる。フランス人演奏家のゲルマンものでもそれは当てはまるが、最近の人はユニバーサルなアプローチとなってきてそうでもなくなった。パリ管の木管がパリ音楽院管弦楽団の音を失っていったのと軌を一にする。だから僕は昔のレコードをひっぱり出すことが多い。

フランス・ピアノ界の至宝、ロベール・カサドシュ(1899-1972)のドビッシー「映像Ⅰ&Ⅱ」は僕にとってその効果が絶大である。言葉がないほど見事だ。

カサドシュの古典、ハイドンやモーツァルトは神品であり、明晰なラテン精神と素晴らしく透明でハープシコードのように軽やかなタッチで愉悦感が立ちのぼる気品は貴族的と讃えるしかない。

やはりフランスのピアニスト、マルセル・メイエ(1897 – 1958)女史によるファリャの交響的印象「スペインの庭の夜」はうれしい。ローマでのライブでラテンの香りがむんむんする。ああスペイン料理行こうかな。

レジーヌ・クレスパン(1927-2007)はフランスの名ソプラノ。2010年にパリに行った折、オペラ座で追悼の写真展をやっていたのを思い出す。アンセルメ・スイスロマンド管とのラヴェル「シェラザード」は世界遺産ものだ。

締めくくりはポール・デュカスの舞踊詩「ラ・ペリ」でいこう。ベンツィ指揮のボルドー・アキテーヌ管弦楽団。オケのローカルっぽい味がたまらない。

満腹にて終了。

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Categories:______クラシック徒然草, ______ファリャ

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