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N響定期(シベリウス「4つの伝説」など)

2018 MAY 14 1:01:57 am by 東 賢太郎

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
シベリウス/交響詩「4つの伝説」作品22 ―「レンミンケイネンと乙女たち」「トゥオネラの白鳥」「トゥオネラのレンミンケイネン」「レンミンケイネンの帰郷」
指揮 : パーヴォ・ヤルヴィ
ヴァイオリン : クリスティアン・テツラフ

テツラフは4年前にカルテットを聴いて面白かった。この日のベートーベンも期待はあったが、結果としてやや考えさせられる。プログラムによるとヤルヴィは曲によって異なる「サウンド」を重要な要素と考えるそうだが、ここでは古楽器演奏に近いものだったように思う。管も弦もここというパッセージは強めに浮き出て主張する。ティンパニは皮である。

ところがテツラフのカデンツァは独自なのは結構だがティンパニが入るなど、アーノンクールとやったクレメールほどではないがやはり現代を感じさせる。これが擬古的なオーケストラと調和しない感覚が断ち切れなかった。古楽器オケで伴奏するドン・ジョバンニが革ジャンで出てくる感じとでもいおうか。テツラフは音量があり熱演であったがピッチは甘く、そういう曲でないとしか言いようがない。

シベリウスはなかなか実演がない「4つの伝説」。これは良かった。こっちに時間をかけたのだろう、オケのサウンドはまさにシベリウスではまっている。4曲で1時間近くかかるこの曲は交響曲に匹敵する充実感が得られ、久々にシベリウスを堪能した。親父は十八番であり、パーヴォの2番はあんまり気に入らなかった記憶があるが、これならいい線だ。N響で交響曲をぜひ全曲やってほしい。

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