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広島カープの1イニング12失点に思う

2019 APR 11 11:11:24 am by 東 賢太郎

プロ野球が始まると忙しい。BS、CSで全6試合を同時にチェックしながら見るからだ。きのうは3-2で原・巨人を倒した中日の又吉の中継ぎ1イニングが印象に残った。なにがというと、彼の顔だ。「おまえにゃ絶対打たせねえ」という気迫の形相。そしてもうひとり、阪神を1安打完封したDeNAの浜口投手だ。前夜に右翼手ソトが少年野球でもありえない落球、骨折中の捕手・梅野にサイクル安打まで決められて12-8の屈辱的な大逆転大敗を喫した阪神相手に「マウンドが楽しい。なで斬りにしてやるぜ」というあの顔。

打席で嫌だったのはああいう形相のピッチャーだ。投げる以前にこわい。鬼に見える。特に浜口だ。四球を7つもくれてほっとさせるが、1塁で2度もけん制で殺されてしまう。ああなるともう大王状態で手がつけられず、相手は蛇ににらまれたカエルで完全に試合は支配され、往々にしてノーヒットノーランなどやられる。前日12点と打ちまくった阪神もあわやだった。甲子園なのになんと阪神ファンから「すごいぞ。浜口」と声がかかったそうで、そりゃそうだ、野球をわかる人はわかるのだ。

野球というのは実に残酷なスポーツで、27人全員三振でねじ伏せてもいいし、27アウト取られるまで打ちまくって何百点とってもいい。やられた方は男として、去勢されたぐらいの屈辱とトラウマをもらう。ささやかな体験で申し訳ないが、1年生で高校初先発だった東京都秋季大会、運悪く当たってしまった強豪、国学院久我山打線の3巡目につかまり、ぼこぼこに打たれて9-0で7回コールド負け。あんなに打たれた経験はかつてなく頭が真っ白になった。

甲子園に出る高校と都立高校がやってもそんなもの。きのうの広島カープのヤクルト戦1イニング12失点というのはプロ同士の試合として明らかに異常なものだった。延長10回に中崎、中田2投手が血祭りにあがってしまったが、ふつうなら「お前ら何やっとんだ」とTVに向かって吠える。ところが、もうあまりに残酷で、バレンティンの代走のきいたことない奴に3塁打されたところで「おい、タオルを入れたれ」だ。史上初らしいがもう生きてるうちに見ることはないだろう。

カープについて大きな不安があることは開幕直前のブログ(OPSで見る今年のセリーグ予想)に詳しく書いた。ところが実態はその程度のことでなく、開幕10試合でこんな事件が起きるとは夢にも思わなかった。元はといえばオリックスからFA移籍してきた阪神・西投手に9-0で完封負けを食らった2試合前の甲子園から打者と守備がおかしくなった。この試合、先発は九里であり、期待もないので打たれてもショックはなかったが、打線は主審の判定も味方につけた西の妖術に翻弄されて手も足も出ず。これは残ったと思う。

そして前日のヤクルト・原投手。西とはタイプが違うが明らかにシュートに手こずっており後遺症と思う。これに幻惑されて10-1の大敗だが、最悪だったのが先発が期待のジョンソンだったことだ。これが3回でぼこぼこに打たれて6失点ノックアウト、頼みの綱がぶちっと切れ衝撃が走った。すでにおかしかった打線はさらに深みにはまって原投手の揺さぶりに凡打と三振を重ね、3巡目で疲れの出る7回になんと三者三振を食らう。これはもうねじ伏せのダメ押しであり精神的ダメージがある。案の定、次の守備でショート田中がエラー、投手中田の悪送球で10点目が入る。

きのうの惨劇の伏線はそうやってひかれていた。そこで先発の野村ユースケがDeNA浜口のごとく仁王立ちで閻魔大王のようになで斬りにしてほしかったが、あえなく4回3失点で沈没。前から思うのだが、顔がこわくない。やさしい体操のお兄さんみたいだ。球威がないなら懐にエグく投げろよ。ヤクルトは大下とかいう2年目が鈴木誠也の顔面あわやというのを投げて、あれは清原だったらマウンドまで殴りかかったなという険悪な一幕があった。そんな獰猛なのはカープにはいない。それでも5回からはアドゥア、一岡、フランスアと、その中ではいい面構えが出てきて押し返し気味だったが、中崎の10回の回またぎで万事休した。中崎は顔がこわくないのでヒゲを生やしたやさしい男だ。中田はあんなじゃない、いい投手だ。完全にビビった顔を見るのがつらかった。立ち直れよ。

投手コーチの佐々岡は緒方監督の1年上だが会話があるんだろうか?野村監督の後継は佐々岡だとある人から聞いていた。ところが黒田が帰ってくるかもしれないという事態になって相性の良くない野村を切って、そこに同業で格下の佐々岡じゃあ帰ってこないと踏んで、毒にも薬にもならない緒方という人事になったと推測する。現にその作戦がうまくはまって黒田が20億円捨てて来てくれたのだから広島カープはそんなに凄いのかと世の中が騒然となった。何が凄いのかは誰もわからなかったがそれは男気という昭和くさいワードで報じられた。株もそうだが、よくわからない方が仕手株は上がったりするものなのだ。それならと男気と護摩行の新井さんも加わって、その2人の「メジャー大権現+いじれるお兄ちゃんパワー」でタナキクマルセイヤら若手が伸び伸びと暴れまくる空気ができた。そこに「カープ女子観音パワー」が乗っかってマツダスタジアムに尋常ならざる妖気がたちこめ、他チームは戦う前からビビっていたのだ。

黒田、新井とともに妖気は去った。残ったのはマエケン、黒田とメジャーのエース級先発投手ふたりを擁していながらNPBセントラルリーグの堂々第4位だった監督、コーチだけだ。移動の新幹線でベートーベンの交響曲を聴いている丸佳浩の心中を察する者などフロントにもベンチにもいたはずもない。彼は提示条件も子供の教育も大事だが、野球人として、妖気が去るときが自分が去るときと思ったろう。そして彼とプライベートに情報交換していないはずがない、同じ関東人であるタナキクセイヤアイザワも時間の問題で全日本名誉監督サマである原タツノリ大権現のもとへ参集し六本木で遊ぼうぜとなっているのは想像にかたくない。菊池のメジャー宣言はそれ。4人はいなくなるよ、センターラインごっそり。みんな知っている。それじゃあ守備も呼吸合わなくなるさ。

カープファンの方は是非ともこのブログをじっくり読んでほしい。2014年4月25日、神宮球場3塁側スタンドにカープ女子などというものは未だ大発生しておらず、こうやって当日券で観戦できていたのが今は昔だ。まだ弱かった広島カープのこの「胎動」をご覧いただけば、かならずや共感いただけるはずだ、「我々はなんと幸せな時代に生まれ合わせたか」ということに。タナキクマルの出現、黒田・新井の出現という神に頂いた3年間の僥倖に手を合わせよう。スタンドのお祭りやベンチとは何ら関係ない所で奇跡は静かに起きていたのである。

広島vsヤクルト(神宮)観戦記(菊池のタッチアップに驚く)

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