パリーグの恋人、広島カープ
2019 JUN 20 14:14:02 pm by 東 賢太郎
僕はお口の恋人ロッテのファンでもある。だから広島・ロッテ戦は心境複雑だ。去年はマリンスタジアムで観たが九里が打たれて完敗だった。きのうはサントリーホールでメシアンを聴いていたから試合は見ていないが、ロッテ打線に大瀬良が4ホーマーを食って為すすべなく敗けていた。
4月は最下位独走、5月は20勝してセリーグ敵なし、そして6月はまたまた交流戦最下位を独走中である。不思議なように見えるが、実はそうではない。4月(.189)、5月(.406)、6月(.176)。これはバティスタ選手の月別の打率だ。要は、バティスタが3番で打つ➡カープは勝つ、打たない➡カープは負ける。それだけ。そして思い出していただきたい、バティスタが3番で打つ➡丸の穴が埋まる、であることを。
東京ドームで観ていた巨人・オリックス戦、先発・山本は丸に156キロの剛球を投じて押しまくった。彼を見るのは初めて。あれは打てん、凄い投手だと思ったら次のチェンジアップを丸は右中間スタンドに放り込んでしまった。こんな打者はカープに一人もいない。丸の穴は大きいのである。3番バティスタが打たないと4番の鈴木誠也がマークされる。誠也も打率は4月(.311)、5月(.383)と奮闘してきたが、ついに6月はバティスタ不調のあおりを食って.208になってしまった。すると先発投手も点をやれないとなって調子が狂う。
つまり、今年のカープの戦績を左右するのはバティスタなのである。5月の大躍進において、べンチはそれに乗っていただけである。しかし、それを言うならセリーグ3連覇だって、ケンカの強い黒田のメジャーの技と眼力が他チームを徐々に威圧し、巨人までビビり、黒田と若手のつなぎ役に徹したお兄ちゃんの新井にじゃれつきながら触発されて弟分のタナキクマルが伸び伸びとやれたおかげなのだ。要するに、緒方政権がプラスに作用したわけでなく、数々の迷采配、チョンボもかき消すほど現場のパワーが強烈にさく裂した、そのちょうどいいタイミングに乗っかっただけなのだ。
黒田が消え新井が消え、神通力が失せたところで丸が消えてタナキクマル・パワーも消えた。それが4月のぼろ負けだ。ところが4/17 九州シリーズ熊本ラウンドで、それまでおとなしかった丸についにホームランを打たれて負けそうになる。目のまえで「丸ポーズ」までやられ「このやろー」の炎となって全選手が燃え、めったに打たない石原が意地のヒットで逆転勝ち。そのムードがバティスタに着火して爆発したのが「5月の変」の真相である。選手が勝手に盛り上がったのであってべンチはそれに乗っていただけである。
交流戦の不調は不思議ではない、これが地力なのだ。カープ球団は自動車のマツダではなく松田ファミリーが大株主だ。赤字は宣伝広告費で済む他球団とは経営事情が決定的に異なり、これが本業だから稼がなくてはいけない。田中コースケの記録は中期経営計画のグッズの売上げがかかってるかもしれない。マエケンのようにメジャーに高く売れるなら売りたい。日ハムもそうだが、選手は大事な商品なのである。4連覇すると選手の年俸はさらに上げざるを得ないから商品原価が上昇する。その発射台からさらにFA引き留め料の上乗せとなると、丸への提示額を見せてしまったリスクを感じているはずだ。
功労者でFAしなかった者には忠誠心への恩賞として監督・コーチの椅子を用意し、コースケのような記録達成をサポートしてやる。これらは商品原価を上げないための「カネではない引き留め料」なのだ。コーチなど、なまじ実績がないほうがいい。あんな人でもなれると思わせて「忠誠心バリュー」の高さをアピールしたほうが経営には得なのだ。その路線で椅子をもらった緒方も同じ穴のムジナであるコースケの記録を守ってやる。だから打率1割台の選手が1番・ショートのレギュラーを張れる12球団唯一のチームなのである。それでも選手が勝手に盛り上がって連破してくれ、いくら負けても客は減らない。盤石の「カープ・メカニズム」ができており、これを作り上げた経営力は称賛に値する。
今オフのFAは野村、會澤、菊池が権利を持ち、来オフは田中が、21年オフが大瀬良、九里、中崎、一岡、そしていよいよ22年に鈴木誠也だ。発射台は上げたくない、つまり4連覇はしなくてもいいという考えに傾いてなんら不思議ではない。緒方が無能だクビにしろ、コースケ1番などありえない、中崎出すな。そんなことは経営はわかっている。そうやってファンが騒いで「炎上」すればもっと客が入る。ファンの皆さん、ほんとうにそう思うなら、SNSでボロカスに言うのをやめ、球場には行かずに昔の閑古鳥状態に戻せばいい。
ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。
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東 賢太郎
6/21/2019 | 12:24 AM Permalink
これを書いたとたんにコースケはスタメン落ち。かわりに期待の新人くん小園がショートが入って初打席でヒット。なんだか運命的だ。こっちは東京ドームでオリックス戦を見ていたが丸のホームランと2塁打というワンマンショーで巨人の勝ちだった。カープにあいた丸の穴は本当に大きいなあ。
東 賢太郎
6/23/2019 | 6:19 PM Permalink
本日の広島3-9オリックス。4月11日の再来であった。あの日は1イニング12失点。あれがあまりに凄すぎて目が慣れているが、今日の1イニング9失点だってすさまじい。
オリックスはパリーグ最下位のチームだ。それに3連敗。逆に相手は初のカード3連勝、今年の日曜日の初勝利。しかも1イニング4三塁打のNPB記録まで樹立した。
打たれた菊池投手を責めてはいけない。こんなに打たない打線の重圧の中で彼は貴重なリリーフをしてきている。すべては打線だ。「丸の穴」以外の何物でもない。これを狙ったジャイアンツ原監督の作戦勝ちである。
地元のカープファンの皆さん、マツダで2度もこんな屈辱を味わわされて気の毒でならない。