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ソフトバンクの強さここに見たり

2019 JUN 22 2:02:35 am by 東 賢太郎

凄い試合を見てしまった。ソフトバンク・ホークスが強いのはわかっていたが、現在ケガ人だらけで、主力選手である柳田、長谷川、中村、今宮、サファテ、森、石川を欠いている。電光掲示板を見れば1番上林、2番明石の打率は1割台だ。3番内川も2割台である。絶好調で全カード勝ち越しの巨人には分が悪かろうというのが戦前の大方の予想だったと思う。ところがスコアは御覧とおり。目の前でこんな壮絶なゲームをされるともうセリーグの日本一は永遠にないなと思わざるを得ない。ケガ人が帰ってきたら?この球団は2チームできる。その弱いほうをセリーグに入れても巨人より強い。

ホークスが千賀、巨人がメルセデスの先発だ。いよいよ初めて千賀が見られる。初球から157キロで度肝を抜かれた。フォームにぜんぜん凄みはないけれどやっぱりめちゃくちゃ速い、素晴らしいピッチャーだ。

千賀と丸の対決

しかし丸、阿部、大城が打ち、特に大城が156キロを引っ張って一二塁間を抜いた。あの次の回から変化球主体の組み立てに変わった。あんまり調子は良くなかったと思われる。丸、阿部のスイングの速さは強烈だ。特に40才になろうという阿部、千賀に振り遅れてない。鳥肌がたつ凄いバッターである。巨人の勢いを感じる前半となる。特に千賀からホームランを打った丸は本当に素晴らしい打者だ。五回までメルセデスが好投し、ホークスはわずか3安打に封じられている。球数も少なくひょっとして楽勝の完投か?さすがのホークスも巨人の餌食になるのか?とさえ考えた。

ところが、6回に大波乱が起きる。まず上林が泳ぎながら右翼へホームラン。さらに満塁になって甲斐が打席に入った。2アウトである。なんとここで0-1からサードへのセーフティバント!これは唖然とした。甲斐は勇猛に1塁にヘッドスライディングしてセーフ。1点。ここで原監督が出る。投手交代。左の代打、福田が出ていたから高木あたりかと思ったら、なんとなんと、もう一軍に影も形もないと思っていたもとホークスの森福ではないか!!

見ものの対決だった。福田のバットが一閃すると球は右翼席上段に飛び込んだ。満塁ホームラン。森福の球威がない、仕方ないことだが、ここでホームランを決めてしまう福田が勝負強い。そして8回には、クローザーだったはずのクックがマウンドに。なんだこの投手は?これなら宮国のほうがましだよ。そう言ってたら案の定、熱男の松田がバックスクリーンの上部に特大アーチをかける。このホームランの打球の凄さは、僕がかつて見た中で5本の指に入る。かたや、巨人の主砲・坂本はプロ野球タイ記録である5打席連続三振を喫する。

このホークスの強さというと、晩年で膝を痛めながらも付け入るスキを与えなかった横綱北の湖を引き合いに出すしかないだろう。勢いのある力士に土俵際まで押し込まれても、まわしを取って上手投げで決めてしまう盤石の強さだった。甲斐の意表を突いたセーフティバントは本来は広島カープがやる野球だ。しかし緒方はリスクをとらない。当たり前の定石で勝つのが横綱相撲と思いこんでいるのだろうが、勝てない力士が何をしようと横綱相撲とは誰も呼ばない。カープよりはるかに強い力士であるホークスは奇襲でもなんでもやる。それで勝てると思ってるなら完璧な無能と呼ぶしかない。

何度も書いてきたが、野球は実に残酷なスポーツだ。3年前に中島さん、故中村順一と楽しんだ福岡ドーム。あれは8月のオリックス戦だったが柳田の劇的なサヨナラホームランで幕切れとなる大興奮のゲームだった。打たれた佐藤投手、そして今回は古巣の同期に満塁ホームランを打たれた森福投手。ご愁傷様だが仕方ない。原監督は自分がとってきた丸が大活躍なので気を良くしたんだろう、森福、大竹という「巨人軍2大高値づかみ銘柄」を登板させた。大失敗のクックとあわせて「3大」か。資金力にあかせていながら本当にヘタクソである。エージョンとのいいカモになっているのだろう、他人のカネだがこういうものは仕事柄か唾棄したくなる。

終了後のインタビュー、福田の森福への思いやりある即興コメントはこのゲームで最もすがすがしいものだった。福田くん、君は優秀だなあ、サラリーマンになっていても間違いなく出世したぞ。

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Categories:______プロ野球

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