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トランプは負けのヘッジに入る

2019 JUL 1 20:20:20 pm by 東 賢太郎

「いや僕はそういう能力がないんで・・・」

というと、たいがい、

「そんなことないでしょう」

という返事が返ってくる。単なるお追従なのだが本当にないからないと言ってるのであってその目的は達していない。

返事した本人は自分にはもっと能力があると信じている。それも誤りなのだが僕はそういうことはそういう類の輩としか話さないし、冒頭の言葉はそういう返事が返ってくるだろうというシチュエーションでしか発しないのだから「いい天気ですね」「さようで」ぐらいのことだ。ただ、ひとつだけある。このバッターはここに投げれば打つだろうなという所に投げて、ああやっぱりねということだ。

交渉力とは観察力のことだ。机上の戦略などそのとおりいく方が珍しい。剣士や棋士ならこう打てばこうくるというのがあるだろうが、僕は剣道、将棋は知らないからバッターでシミュレーションしている。いずれにせよ、不測の反応が出たときに即応できるかどうかが命なことは変わりないと思う。その答えは、おそらく相手を観察することからしか出てこないのである。

G20のような場は首脳同士の出来の程の計りあいであり、諮りあいでもあるだろう。トランプ大統領は実に面白い。5月に畏友がホワイトハウスで彼に謁見した。オーバル・ルームだ。雑談の中で「NYでホテルを買った、トランプ・ホテルの近くだ」と言ったら「知ってる。いつだ?」と聞かれ、答えると返事は「いいところを買った。値上がりしてるぞ」だったそうだ。これを知ればテレビの井戸端会議であるワイドショーは「やっぱり不動産屋だったんですね」でもりあがるだろう。

金正恩との握手。両者ともトランプが落選した場合を視野に入れてる。したくない、させたくない、いつやるの・いまでしょ。あたりまえのことである。いまはトランプを支援するが落ちたらどうでもよく、アメリカ合衆国としてそうではない立場に立ったことにしておかないとその先は生きていけない連中との関係次第でトランプは落ちる可能性があるというトートロジーの事態にある。形勢を見て勝ち組につく関ケ原の小早川秀秋みたいなものだ。だからトランプは究極の勝負手を打ってくる。弱いイランも日韓も脅しまくる。強いロシアと中国は弱みを突いてからエサを撒く。彼のアメリカ・ファーストの底の浅さはあの民主党の看板政策として一世を風靡した泣く子も笑う子供手当のでっかい版にすぎない、米国株が上がればめぐりめぐってそうなるのである。小早川組が誰か、何を見てるか?おわかりだろう、彼の本気度だ。

皆さん相場がどうなると思われるだろうか。日本株などというものはもはや米国株のデリバティブだ。下がらないし、勝手に下げようもない。日銀のバランスシート担保でもあるから安倍首相謹製の官製相場である。円ドル感応度は高いが為替もドル次第。あらゆる経済理論がワークしないという意味でブラックホールの内部状態であり、すべてトランプ大王様の御意にかかってるという宇宙規模で馬鹿馬鹿しい空前の事態なのだ。利に聡い大王はこれが絶後でもあることを自分だけが知り得るという事実を知っている。不動産ディールで百戦錬磨の彼がその回路を完全オフにして政治ができると考える人は、神のごとき音楽を書いたモーツァルトやベートーベンの作曲が金銭動機だったなどという不浄な説には徹底交戦し、実はそうでしたという証拠が出ようものなら砂漠に顔をうずめて敵を見なかったことにするダチョウか日本国某財務大臣みたいなものだ。下がらないなら安心ではないかと思う方は株には近寄らない方がいい。近来稀に見るつまらない相場だからボラがない。そういう人がビギナーズラックで儲かることもなく、どこかで反転して大損するリスクだけある。素人に毛が生えた程度の投資信託もおんなじだ。大王にあやかって僕はいま不動産の方に注目している。

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Categories:______株式市場展望, 政治に思うこと, 若者に教えたいこと

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