Sonar Members Club No.1

since September 2012

ソナーは「プロが利用するクラブ」である

2019 AUG 29 0:00:03 am by 東 賢太郎

インターネット、IT技術が労働を変えた。それはあらゆる分野での事務作業の効率化に始まり、ワークシェアリング、テレワークによる就業時間短縮という「地味な便利さ」の顔をして知らず知らずのうちに労働環境に浸透してきたわけだ。市民革命のように華々しくも血を流すこともないが、同じほどのマグニチュードをもたらしたという点ではまさに「革命」と呼ぶに値するし、経済統計としては目に見えにくいが確実に労働生産性を上げる寄与をしたはずだ。そしてそれがAIというインテリジェンスを備えた存在になると、いったんは便益を得た労働者はだんだん失業して被害者になるかもしれないという点で両刃の剣なのである。

このことは若い皆さんが21世紀にどう社会に貢献し、労働し、認められ、大切な人生をどう実現し、一生の生計をたてていくかという諸問題の根本に深く関わっている。そして皆さんと同様に、まだ若い会社であるソナーがこれからどうなっていくかを予測するという難しいクエスチョンに僕も真剣に向き合っているのだ。それを解くためには、IT革命がもたらした果実とリスクがタスクフォースに参加する社内外のメンバーにどうプラスかマイナスかを考え、彼らが良い仕事を見つけて実績をあげ、喜びを感じ、さらに能力を高められるようなプラットホームを作ってあげることにヒントがあるだろう。

ソナーの仕事はプロだけのタスクフォースでこなすのが最も生産性が高いと僕は確信している。メンバーはぎりぎり最小の人数であるべきだ。そのほうが一人当たりのリターンが大きく、メンバーのモチベーションがさらに向上するからだ。個々人が何のプロかは案件によるから今の案件メンバー10人と次の10人が一人も重ならないことがあり得る。弁護士、会計士、税理士など専門職に加えて、他の会社の社員が混じっても構わない。守秘性はNDAに一任するのではなく、それ以前の僕の基本思想として、どんなに優秀でも人間として信用する人しか入れないことでより担保される。その招集、組成がうまくできれば、仕事は半分終わったに等しい。ということは、経営者に絶対不可欠なのはプラットフォームの形成ではなくて、案件獲得、執行に過不足ないタスクフォースをつくる能力であると断言してもいいことになる。

しかるに、経営会議、取締役会などという “賢人会議” のような固定メンバーが常に意思決定に加わって、内実を経験的に知得してもいない案件の是非の判断をするなど究極のナンセンセンスである。そのお歴々がいかなる案件においてもタスクフォース・メンバーになり得るレベルのインテリジェンスを有することは皆既日食と皆既月食が同じ年におきるより稀だろう。経営はみんなで橋を渡れば安全というものでも免責というものでもなく、まして会社は民主主義で経営せよなどという法律もない。だから意思決定と結果に責任を負う社長(CEO)がいるのであり、ソナーにおける僕の仕事はそれであり、コンプライアンスについてだけプロのチェッカーが内外のどこかにいれば必要十分である。

ITの恩恵によって「会社」というものは、リアルであれバーチャルであれ、「複数のプロが一緒になって何かを生み出す場」を意味するようになっている。対面であることが必要なら集まってもいいが、テレワークで構わない。10人の国籍の違うプロが10か国にひとりずついて、お天道様の出ている場所で24時間営業する会社に残業という概念はない。クリエイティブなプロの仕事に時間管理や勤務態度や服装という概念も無用だ。コミュニケーションはマルチ言語翻訳機が85か国語も対応してくれる。やることさえやればワイキキのビーチで寝っ転がって業務してもらってもOKだ。ソナー本社は東京の紀尾井町で何をするか?ドキュメンテーション、コンプライアンス、そしてメンバー10人のフェアな貢献度評価と報酬の銀行振込、そんなものだ。本社も5人ほどでまかなえてしまう。つまり、うまくいけば100億円の案件をたった15人でやってしまうことが可能だから世界最高レベルの人材が集まるだろう。これがやがて時流になる。

逆に、巨大なビルに何万人もの一般社員をかかえる企業は、とうの昔に終っているスタイルの仕事をなかなか脱却できないだろう。なぜなら、それを時流に合わせるなら膨大な人員とスペースの余剰が「発生」したことになってしまい、そういう認識になってしまうと余剰な部分がさらにパフォーマンスが下がるからだ。みずほフィナンシャルグループが「今後10年間で国内外の従業員約1万9000人分の業務削減を検討する」と発表したが、要するに社長が6万人の従業員の3分の1はいらないと宣言しているわけだ。しかし、それをするには希望退職を募るなど「とうの昔に終っている方法」しか打つ手はないだろう。つまり昔からできたのにやれなかったことをなぜ今できるのかという問題に回帰するはずだ。

非効率という十字架を背負う大企業を自主的に退社する人が増えている。それが残留した3分の2の社員の下の方かというと違う。その勇気があるのはプロとして独立しても生きていける「上澄み」の人なのだ。むしろ大組織のしがらみから機をみて抜け出したかった人たちであり、フリーになった方が実は活躍できるチャンスのある人たちでもあり、彼らには自由とフレキシビリティがエネルギーの原動力に必ずなる。現に僕自身がそれをして起業した先輩なのだから気持ちまで手に取るようにわかる。僕はこの層の人たちと、リアルであれバーチャルであれ繋がりたいと考えている。社員になってもらう必要は必ずしもない。ソナーがタスクフォースを組成するときにファースト・コールする社外メンバーになってもらえばいい。それがソナーの価値を高めるからさらに良質の案件ソーシングができるし、それによってメンバーになった人もwin-winの恩恵を受ける。

僕の考える会社像がだんだん明確になったと思う。会社は仕事をさせられる場でもなければ、9時から5時までいればお金をくれる場でもない。社内外の何かのプロである皆さんが「自分のために利用するクラブ」に他ならない。大企業を離れたみなさんの部活や同好会の感覚、雑談や情報交換の場であってもけっこう。出会いは確実にあるし、競争し研鑽しあって腕を磨くことができ、能力に相応の報酬を得られるかもしれず、起業希望者の研修所にもなり、ひいては人生の目標を達成する、社会に貢献する場でもあるというのがソナーの理想の姿だ。ひとつだけアドバイスするなら、本稿を読んで関心を持った人はどんどんソナーの門をたたいてほしいということである。自信があろうがなかろうが、世の中は行動したもの勝ちだし、僕も新人時代は大阪で一日100枚の名刺を飛び込み外交で半年間集めていたのだ。虎の穴に入って伸びる人が圧倒的に成長が速い。

 

ソナー・メンバーズ・クラブのHPは http://sonarmc.com/wordpress/ をクリックして下さい。

Categories:ソナーの仕事について, 若者に教えたいこと

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