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人生の通信簿をつける方法

2020 JAN 2 22:22:10 pm by 東 賢太郎

新年の区切りということで、5年を節目にして自分の通信簿をつける話をしたい。それはユニクロの柳井さんのご著書「一勝九敗」(新潮文庫)にあったような気がするが、すごく前でよく覚えてない。題名からしてそれだろうと思う。

通信簿?いまさらそんなものいらないだろうと皆さまに思われそうだけど、この考え方には僕の発見した3つの利点がある。

利点① 【なんだ、まだそんなもんかと思える】

神様は平等に人間を創っていて、死ぬまでずっと不幸なんて人はいない。本当にそうかどうかは知らないが、そう思わないと落ち込んだ時につらい。1年1年で見ていると幸運な年や不幸な年があって、だから毎年お御籤(みくじ)をひくのだ。そこで5年をひとくくりで小説みたいに「章」と呼んでみる。1~5才が第1章、6~10才が第2章だ。若い人と会話していて「もう65才でね」なんて言おうものなら一気にジジイに見られ、自分もジジイに収まるのが楽ちんになってきてしまうだろう。それだけで老けこむ危険がある。そこで「僕のシステムではね、13才なわけよ。まあキミらにはわからんだろうけど」なんて煙に巻く。やってみていただきたい。わけわからんなりにジジイではないなと見られ、場合によっては若いですねなんて尊敬される。するとだんだん、ほんとうに俺は若い、なんだ、まだそんなもんかと思えてくるのである。

利点② 【なんだ、そんなに負けてもオッケーなのかと思えてくる】

そこで、人生の通信簿だ。ここまでの13個の章をふりかえって「〇」「✖」をつけてみよう。自分が嬉しかったり、楽しかったり、やった!とガッツポーズしたり、ほっとしたりはみんな〇だ。つらかったり、がっくりしたり、怒ったり、悲しかったり、まずい!と思ったら✖だ。そうして人生の幾多の思い出を振り返って、それが何才の時だったかを思い出してみていただきたい。そこで〇が✖より多い章を「勝ち」、その逆を「負け」としてみよう。すると、僕は勝ちが第4章、第8章、第11章、第13章の4つしかないことを発見したわけだ。

ほんとうだ。15才までは今みたいな図太さはかけらもない目立たない子で、ぜんぜん楽しくなかった。社会に出ても35才までは小さな成功があったと思えば大きな失敗、失敗で会社を3回もやめようと思った。気を取り直して頑張ったのでちょっと認められたと思ったら40代後半でまた失速。50代前半の移籍はツキがあったが、後半の起業からいばらの道でドツボにはまり、60になってやっと明かりが見えてきた。こういうのを七転び八起きというから8勝7敗ぐらいかなと思ったら4勝9敗の大敗人生であった。しかしそれでも、いま無事に生きている。なんだ、そんなに負けてもオッケーなのかと思えてくる。

利点③ 【還暦とか定年とか引退という概念が消える】

14章まである小説は短編ではない。いや、10章もあれば長編の部類だろう。何章まであるかわからない。還暦?定年?引退?そんなくだらないエンディングで小説が終わるはずないではないかと開き直れてくる。組織を辞めちまえば小説を書くのは人事部じゃなく自分だ。好き勝手に書いて〇、〇、〇・・・にしちまえばいいのだ。ちなみに、僕はサラリーマンを辞めるまでは2勝8敗だけど、辞めてからは2勝1敗だ。勝手に書いた〇もあるが、生まれつきの性格が一匹狼だから伸び伸びできたせいでもある。しかも規則性まである。第4,8,12±1の章が勝ちだから、次は第16章に勝つのである。でも80才だから今の仕事は無理だろう。じゃあ何か別なことをそこまでぼちぼちやるかなんてことになる。ひょっとすると、そこまで頑張って生きてるだけかもしれない。「生きてりゃ勝ち」ってルールで。

 

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Categories:______自分とは, 若者に教えたいこと

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