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経済はウィルスの奴隷である

2020 APR 15 13:13:24 pm by 東 賢太郎

1月30日から何か変だと思っていて、そこで周囲の人に緊急事態宣言をしたが、なぜそう思ったのか当時のノートを見るとこの記事のインパクトが大きかった。

「500万人が外に出た」新型肺炎で封鎖の武漢市長明かす 成田に9000人移動か(毎日新聞2020年1月29日)

記事ネタも見つけた。中国以外で最も早く感染者が出たのは日本とタイだ。

1月27日、中国第一財経網などは、航空サービスアプリを使用し、昨年12月30日から1月22日武漢から出発した乗客の国外行き先を抽出した結果、タイが最も多く2万558人、次いでシンガポールが1万680人、3番目に日本(東京)9080人、4番目は韓国の6430人となっている。

30日に武漢からのチャーター第1便で「無症状病原体保有者」が2名(1%)確認されたという情報は決定的であった。無作為抽出の武漢在住者の1%ということは武漢全体では14万人いるということで、その一群が感染爆発に寄与でもしないことには突貫工事で病院を立てるほどの事態に至るまでの時間があまりに短かすぎると考えた。ここは単なる直感であるが大きな分岐点だった。なぜなら、ということは「無症状病原体保有者」は感染力を持つということを意味してくるからである。

以来、厚労省HPの「国内の患者発生」を発生順にノートに書きとってきた。初めは身を守るための情報収集だったが、業務上、ウィルスのことを知っておく必要があることがだんだんわかってきた。経済も株式市場も感染のマグニチュードと終息時期の奴隷と思うほど影響の甚大さがみえてきたからだ。

新型コロナウィルスはどこから日本に来たのか?天から降ってくるわけではない、誰かが持ち込まれなければ存在しないのだから、この写真のデータに答えがあるはずである。決して犯人探しではない。ドクターでもない。それでも、ウィルスを知ろうと思えばその「行状」を観察する以外に道はない。

発生は武漢で昨年11月のことであり、中国内で拡散の騒ぎが起きたのは1月の春節前であっという間に医療がパンクして1月23日に武漢市がロックダウンになった。その時点で外国の感染例は報告がなく、日本への持ち込みは武漢関係者(武漢に住むか、直近に訪問した人)による直輸入か、それがいったん中国の他の都市を経由した間接輸入であることは確実である。

厚労省のデータを見る限り21番目の患者以降に武漢関係者はいない。20番目までの19名(16番目がなぜが記載されていない)のうち17名がそれに相当し、うち半数の9名が中国人旅行者でその全員が1月22日以前、即ち、ロックダウン直前に武漢を逃げて日本に入国していることがわかる(ちなみに7番目の40代の女性は北海道観光をして1月27日に発症・受診している)。

でも、種とはいえたったの17名でここまでなるか?少なすぎないだろうか?そうではない。持ち込んだ17名の陽性者は毎日新聞報道の9000人の一部であったのだ。空港検疫または発症によって厚労省が認識するに至ったのは37.5度以上の発熱があり咳などの症状が発現した人のみだ。それが17名だったのである(1番目の患者の入国日・受信日は1月6日、PCR検査陽性確認は15日。20番目は各々22日・27日、2月5日)。

ということは、チャーター便で帰国した763名のうち患者11例、無症状病原体保有者4例(全員退院)15名(2%)の陽性者が最終的にいたと発表されたことから9000人のうちの180人、また、後述するイギリス医師会BMJのデータに基づくなら70人の陽性者(55名が無症状病原体保有者)が入国していた可能性があるが、厚労省が「患者」と特定したのは17人だった(無症状者4名は付記されている)。

それはPCR検査を絞る政策を採ったからだ。即ち発症者だけ検査するといういわば受動捜査で、実質的には「無症状病原体保有者」は無視するという結果になった。武漢の人を入れてしまったのは3~5番目は「来日時の症状なし」、1番目は入院させて陽性確認した日に「症状が軽快」と退院させてしまったなど、初動時の判断がウィルスにとって「疑わしきは罰せず」とでも書くしかないものだった。「無症状なら無害」の性善説は有事の危機管理としてあり得ず、水際対策を現場は懸命にやったと信じるが、大本営の戦略策定の失敗である。

だから、つい先日に徳田安春医師(群星沖縄臨床研修センター⻑)が、

有力な医学誌「BMJ(イギリス医師会雑誌)」の4月2日の報告によると、先週、中国で行われた新型コロナウイルス検査で陽性と確認された166人のうち、実に5人に4人にあたる78%(130件)が、明確な症状を示さなかった

と報じるなどで厚労省は政策の180度転換をしなくてはならなくなり、首相が前言を翻して「検査を増やす」「ドライブスルーまで考える」と発言する事態になった。「無症状病原体保有者」は1~2%どころか症状のある人の4倍もいるという驚愕のデータが出てきたわけであり、「無症状でも有害」(感染力がある)という推定の正しさがわかってきたからだ。

では現在ではどうか?4月14日時点で陽性が7645名であるから、無症状者は3万人いて日本には合計で3万8千人の陽性者がいることになる。

一方で、厚労省がLINEを使った4月10日の調査には僕も回答したが、

37度5分以上の発熱が4日以上続いていると答えた人の割合が全国平均で0.11%、数にして2万6900人余りに上りました。

という結果が報告されている。ここでYESの人は「症状あり」である。もしその人たちが全員が陽性であったなら、熱がない無症状者は9万5千人いて、日本には合計で13万4千5百人の陽性者がいることになる。まさか全員ではないだろうというなら、国民(1億4千万人)の 0.11% という角度から計算しても15万4千人とむしろそれより多い数字になる。

LINE調査は8300万人で回答率3割ほど(2450万人)だからサンプル数は何かを統計的に語るには十分多いと考えるならば、厚労省の「陽性が7645名」という数字は13~15万人のたった 5~6%であり、検査数がそれほど過少であったという別な角度からの証明になってしまっているかもしれない。仮に3万8千人という説を採ったとしても20%であり、そこをどんなに精密に調査してもウィルスの全体像を解明する努力としてはあまり科学的に賢明なアプローチではないだろう。データサンプル数が世界一である中国は全体像解明のレースで非常に優位にあるからだ。

 

ここまで書いた時、友人から

4月3日から中国人が3000人も日本に入国したかもしれない

と電話があった。そんな馬鹿な、入国はその日から禁止だろと思ったが、湖北省、浙江省のビザで省を出て14日たった条件で入れてるらしい(このデータは法務省HPにあるらしいが僕は見ていない)。頭をよぎるのは、毎日新聞の9000人だ、再入国許可でいったん武漢に帰国してまた来てるのだろうか?そういえば、武漢は終息宣言して4月8日に封鎖解除してるじゃないか。ひょっとして、政府の4月7日の緊急事態宣言は関係あるのか?

いやな予感があたらなければいいが、安倍首相の唐突な「V字回復」という言葉は何だろうと考えている。ひとつはこれだ。日銀による官製株価操作である。日経平均が下がれば千億円単位でETFを買い、浮力をつけつつカラ売り筋の買戻しを誘発し封じ込める。ある程度は奏功していることがこのチャートで分かる。

これはトランプ政権と歩調を合わせていると思われる。向こうは選挙で株の暴落は敗北を意味するから2兆ドルのバズーカ砲を放ちながら盛大にやる。日本の花火は援軍になる。それにシンクロして日本も上がったように見せれば安倍政権のコロナ経済対策はうまく行ってるムードを醸し出せるぐらいは考えてるだろう。証券界で市場価格の透明性を説き40年過ごしてきた者として言わせてもらうなら、誠に下品で知性の片鱗もない発想であり、それそのものが大ウソだから弁護の余地もない。

株も為替もマスクも区別なくブルドーザーの如き力技でいけると思い込む浮世離れした金銭感覚の凄まじさは国民に知れ渡ってしまった。トランプも一見、彼らと同様に、ゴルフを知らない田舎のおっさんがクワでパットしてグリーンに穴あけてるみたいに見えるが、ビジネスマンである彼はカネの効用も怖さも株式市場も嗅覚で知っている。株価は何をしようと最後は実体価値に収れんするのである。あの真似を官邸のお歴々がしようなんてことは考えない方がいい、日銀のBSがぼろぼろになって我々の子供、孫の世代からいずれ積年の恨みを買うこと必至である。

「V字回復」。株でないなら何だろう。いやな予感というのは爆買いだ。もちろん中国人様のである。地位が不安になりつつある習近平はマッチポンプと言われようが何だろうが、感染データ数と患者数の優位性を梃に、日本製のアビガンだろうが何だろうが治験例を増やし、マスクや医療器具も大量に世界に(特に欧州とアフリカに援助して、腕力をもってしても世界の救世主になりたい。5月6日、桜もGWもお預けだった日本国民にはガス抜きがどうしても要る空気になるだろう、銀座に灯をともして観光地も商店街も・・・ならば・・・。そんな馬鹿な?友人は言っていた「そうかな?お肉券、お魚券があそこで平気で出てくる連中だよ」。そうか。非常に説得力がある。

「無症状病原体保有者」なんてのっけから頭にない。そいつらは死なないんだろう?抗体もつんだろう?ならば検査数、うるさいから増やしてホテルに閉じ込めとけ。あの9000人は爆買いの布石として入れる。恩も売れる。陽性は増えるだろ、医療崩壊するだろ、でもアメリカよりましだ、よくやってるとトランプに言わせればいい、それに、もうここまで増えちゃってるんだ、仕方ないよ、大事なのは空気だ、マスコミのポチを使え、もう大勢に影響ないじゃないかで押し切れるだろう。6月には中国人入国禁止令が解ける(だって習さまが沈静化したとおっしゃってるんだから)。カネだカネ、まず不安にしておいて助け舟を出す、売り上げが戻ったよくやったとなれば衆院選で自民党は安泰だ。ポピュリズム万歳だ。

それをしてしまえば、銀座やニセコも埋まるかもしれないが病院のベッドも埋まるだろう。オリンピックで味をしめた「お・も・て・な・し」がたくさんの善良な日本国民の命を担保に成り立つなら、令和の幕開けは呪われた暗黒の悪夢として日本史の教科書に載るだろう。そこまで言うとさすがに友人は「考えすぎ」と笑ったが、こういうことに関して僕は徹底して性悪説で生きてきた。なぜなら、投資は後手後手の演繹型人間はやればやるだけカモになり大損になる。根っから帰納法的人間でなくては勝てない。すると、人間の諸相を観察するに性悪説でないといけないのだ。冒頭に帰るなら、ここで何より性悪説なのはウィルスに対してだ。このエイリアンこそ諸悪の根源。だから始めからありとあらゆることを悪い方の極限で組み立てる。しかし、少なくとも国民は、今や誰もがそうしないといけないほどの有事と気がついただろう。

さっき気がついたが、厚労省クラスター対策班の西浦教授が「日本人は42万人死ぬ」と僕の3月27日付のブログと同じ数字を公表した(計算根拠は知らない)。それを書いた意図は全面的な「性善説」をもって、壮絶なテンション、ストレス、感染リスクと戦っている医療現場のすべての方々と、体内でウィルスと戦っているすべての患者、ご家族、そして、ウィルスを殺すワクチン・薬の開発努力をされているラボラトリー、企業の先生方を応援するためだ。今更ながらだが、ほんとうに医者になりたかった、こういう時に力になれなくて心から悔しいと思うからだ。人の命を預かる医療というのはカネじゃない、人間にしかない尊い善意で成り立っていると思い知る。だから国民は我慢して応援する。私権制限する法もないのに、そういう民族であることを誇りに思う。

だから、その善意の我慢が限界にくるまでに、日本人の美徳を守るために、国は即刻カネで助けるべきなのだ。何を考えてるんだろう?日本人のフリーランスのミュージシャンの方が申請したら2日後に60万円相当が口座に振り込まれて驚いたというドイツみたいに。だって教えてほしい、それ以外に国ができることってなあに?出せない法律のせい?なら変えればいいでしょ、あんたらそれが仕事の国会議員なんだから。カネは出ないんですけど政治家も頑張ってます、ごいっしょに身を切ってますなんてくさいポーズはね、ぜんぜんアウトのタイミングなのに猛然とヘッド・スライディングして監督に「懸命にやってます」をむなしくアピールする万年二軍選手にしか見えない。

そういうのが浅ましくて滑稽なだけということにこれほど笑われても気づいてないから「貴族か」なんて新聞の見出しに書かれちゃう。貴族は戦争になれば最前線に出て命かけて国守る。モーツァルトがウィーンで売れなくなった最大の原因は、客だった貴族がみんなトルコ戦争に行っちまったからだ。その引き換えとして貴族は地位も贅沢も許されているのである。ところが平時が長く続くとその地位にいるだけで自分は特別な人という何の根拠もない全能感が生まれ、国民は奴隷と思い、自分はどうでもいい事に精出してみんな喜んでくれているという「ああ勘違い」の奴隷になっていましたという人間の悲しい性が世界史に刻まれている。「パンがなければケーキ食べればいいじゃない」の王妃マリーさんはきっと悪い人ではなかったが国民はブチ切れてギロチンで首を刎ねてしまった。刃が見えるようわざわざ顔を上に向けてね。星野源も結構だけどお家で犬とくつろぐならフィガロの結婚なんかもお薦めだ。

 

(追記、2020年4月16日)

「中国人3000人」のデータはこれとのことであった。本件はネットで話題になっている。

http://www.moj.go.jp/content/001318291.pdf

上陸拒否国からの渡航者で審査の結果「特段の事情」を認め許可した人である。特段の事情とは永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、または定住者の在留資格を有する者。

中国人以外も含み、上陸拒否国から帰国した日本人も含むから「中国人3000人」はこの時点で正確ではない。ただし論点は国籍ではなく、「ウィルス保有者」を入れてしまっていないかどうか、要は「空港検疫の精度」の問題と思料。接触8割減は不幸にも入国させてしまったウィルスを増殖させない策であり、国民が身を切ってその努力を1か月するのは、「新しいウィルスがは入って来ない」信用に基づいている。

 

 

 

 

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