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今年のプロ野球、選手にも球団にもNPBにも深謝

2020 NOV 7 12:12:43 pm by 東 賢太郎

今年は開催すらどうなるかと思ったプロ野球。いよいよ大詰めですが、客も満足に入らないのによくぞここまでやってくれました。選手にも球団にもNPBにも深謝です。贔屓の勝ち負けもありますが、僕にとってはプロの野球を観られる喜びだけでも代えがたく、たくさん力をもらいました。

昨日は西武と楽天の試合です。まず岸投手のストレート。あれは誰だったかな、顔の高さを空振りさせたあの直球、一見美しいけれど、完全に崩れて無残に振らされた打者の姿ですさまじい威力があったとわかるあれを投げられる人がこの世に何人いるか。変な話ですが、150キロも出てないからこそいいんです。出てたらつまらない、僕は全然興味ない。これは美学の問題です。ぞくぞくします。その直球で押しまくって5回で9奪三振、CSがかかって気合十分の西武打線をねじ伏せてしまう(同じ立場にあるロッテも手も足も出なかった)。いなせで格好いいですねえ。

これはなかなか伝えにくいのですが、まあ眠狂四郎の円月殺法というところでしょう。チャンバラは勝てばいいじゃ面白くない。同じ1対1の勝負でも西部劇ならズドンでおしまいでしょ、あれアメリカですね、わかりやすいですね、でも日本人は円月なんてどうでもいいお作法を求めて感動する。美しく勝たないとだめなんでね。野球で円月殺法的に完全に自分のペースで「美しく」の余地があるのはピッチャーだけです。他はぜんぶ受動の瞬間芸で無理なんで、あえて野手がやったのは長嶋茂雄の送球の腕の見せ方だけですね、美しいというより珍しいから彼のトレードマークになりましたが。

美しく勝たないとなんてのはメジャーにない。岸みたいな投手はいないんです。なぜならいても馬鹿力で打たれるから不経済です。よってみんな100マイル出すか球を動かしたほうがいいとなる。従って、岸のような投手は打者との力関係であれが通用するぎりぎりの狭いゾーンにだけ生存します、つまり、あれで飯が食える「ハビタブルゾーン」はNPBにだけ存在します。これが僕の結論。だから、メジャーの方がレベルが高いのはわかってますが、そういう投手がいないのだからNPBしか見ないのです。ところが昨今はNPBでも賞味の対象が米国化していて、アマでも150キロ出たのフォークがお化けだと技とスペックを競う世界に変容。まるで体操かフィギュアスケートだ。僕はストレートが美しくないとピッチャーじゃないと思ってるんで難しい時代になってきました。

次に、引退試合となった楽天の渡辺直人。この人、どのプレーというのはないですが名前が強烈に焼きついてます。なぜかって、いい所で打つわ守備はうまいわ足は速いわクレバーだわで嫌だなあということで。野球がうまい人ってのはいるんです。プロだからもちろんうまいわけですが、彼は三拍子そろって全面的に格別にうまい。そういうものは記録には現れないし見た目にも地味なんですが、性格的なものも含めてショートにいるだけで安心だろうなという感じ。見送るナインの表情に現れてました。尊敬の念しかございません。CSがかかってる西武は手加減なしでそれで4打数2安打。今季初安打だったレフト線2塁打、あの見事な振りはなんだ!カープに来てやってくれとお願いしたい。

そして中日の吉見投手も引退試合。そうか・・とにかくカープは彼にやられましたね、谷繁とつるんで。とにかく嫌なところを絶妙に突かれてタナキクマルが手玉に取られてましたっけ。横で見ていてそう速さはないが打席で何もさせてもらえない投手。吉見はそれの全国最高峰、偏差値80の人という感じでしょうか。プロのように同じ人と何度も対戦という世界は想像がつきませんが、こういう投手にひねられて味をしめられると何度やってもヘビとカエルでやられる気がします。それを打って飯を食うって、投げる方も打つ方も実に凄い事であります。生まれつきの才能としか見えないコントロールとクレバーさで頂上レベルというと、僕の中では桑田と吉見ですね。

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