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E-国家とE-カンパニー(国家権力の融解)

2021 JAN 9 21:21:18 pm by 東 賢太郎

米国企業ツイッター社は8日、トランプ大統領のアカウントを永久に停止したと発表しました。現職大統領の言論を私企業が封殺したわけです。我が国で菅首相の発言を新聞、テレビが封じるなどご想像できるでしょうか?このことの背景を論じてみます。

 

(1)宗教、民族主義と国家との乖離について

 

アメリカ合衆国は王権、貴族、宗教権力の支配を排除したフランス革命の精神で人民による政治を憲法でルール化してできた世界初の国家であり、いかなる宗教、民族による全体主義者(totalitarian)も独裁者(dictator)も許容せず、憲法を唯一の根拠とする自由主義、資本主義によって支配される国家である。

 

(2)新たな国家像1 -法的国籍と精神的国籍の分離-

 

自由主義の行きつくところサービサーとしての国家という概念が生まれる(小さな政府)。必要最小限のサービスは安全(国防)と持続(外交)であり経済、福祉の依存はゼロか最小限である。かような国家は存在しないが、122年存続した香港という特別行政区は国防、外交は英国(返還後は中国)に依存し、行政は香港政庁が執行し税金の賦課は低率にとどめるサービサーとしての自由主義国家に近似した存在(バーチャル国家)であった。そこでは法的国籍と精神的国籍が分離する。

 

(3)新たな国家像2 -生活協同体と経済共同体の分離-

 

香港モデルは国防、外交を依拠する国が自由主義国家である限り物理的な居住国を選ばない。同一の精神的国籍を有する者が複数の国に分散して居住して市民権を取得し、当地の警察、消防、病院などの行政サービスを受けるために納税するが、生活と経済面においてはバーチャル国家に依存することがインターネット、仮想通貨をツールとして可能になってくる。精神的共同体(宗教、民族)としてA国人、生活協同体(居住)としてB国人、経済共同体(帰属)としてC国人というケースは、日本人(A)が米国(B)に移住し欧州企業(C)で働くなど既存だが、Cがバーチャル国家という点で新しい。

 

(4)新たな国家像3 -国家と企業の同一化-

 

一方で、一般には自由主義とペアである資本主義という側面からは、コロニー・カンパニー(東インド会社)が国籍を超えた経済圏で、資本と経営と労働を分離した。このモデルを敷衍すれば多国籍のサプライチェーンで繋がる現代のグローバル・カンパニーになり、さらにインターネット上で契約、資金決済できるE-カンパニーとなることで多国籍の国民を擁するバーチャル国家における経済をまかなうことができ、経済共同体を形成することで新たな国家概念と融合できる。ここでバーチャル国家はE-カンパニーは機能的に近似した存在(E-国家)となる。

 

(5)新たなパラダイム -国家と企業の競争-

 

国家も企業も存続のためには持続的なキャッシュフローが必要で、E-カンパニーは課金力、国家は徴税権に依拠する。その各々の現在価値が株式や国債による資金調達力を決め、国家の徴税権の時価を企業の時価総額が凌ぐ時代になっている。たとえばGAFAの時価総額合計3兆ドルは日本の国家予算(歳入+国債)の3倍で、4社のファイナンス可能額は日本国の国債の年間発行(消化)可能額を上回るかもしれない。

国家は本来は企業を庇護し徴税する立場にあるが、(2)~(4)で論じた経緯に従ってE-カンパニーは(3)における国民同様に某国企業(A)が複数国(B)に居住(納税)して複数国(C)で課金することでキャッシュフロー、資金調達力が増大する。Aから徴税できる国(B、C)が複数になるため、一国による庇護と徴税のバランスが変化し、E-国家とE-カンパニーは競争者になる可能性が出てくる(その前段階がアマゾンのPE課税問題)。

GAFAの企業価値は無料プラットホーム、IOTによるビッグデータ集積とAIによる解析力で増幅され、14億人の個人情報を有する中国(CCP)もGAFAと同等の国営企業を持って利益を吸い上げることが可能な疑似企業と見做せる性質の存在になる。CCPは競争者を中国から追い出すことも可能だが、企業としての性質、およびE-国家とE-カンパニーの親和性からGAFAと合併する誘惑に駆られて何ら不思議ではない。両者が合体することでデータ集積、資金調達力で世界の誰も対抗できない勢力となることを阻止する独占禁止法は存在しない。

 

以上が、CCPが米国民主党に接近し、GAFA、ウォール・ストリート、オールド・メディアを取り込むに至った動機のひとつであると解釈しています。5者にとりwin-winなのです。私企業がトランプ大統領の言論を封殺したのは通信品位法230条によってですが、憲法を唯一の根拠とする自由主義、資本主義によって支配される国家で民主党が連邦議会の上院・下院を抑えたことで5者の意向を法制化すれば、合法的な言論統制により民意の形成にも関与できるでしょう。小事に見えますが、国家権力の融解という大事と考えます。目標は富と権力の共産主義による永続的な固定化です。

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Categories:政治に思うこと, 若者に教えたいこと

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