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大谷の満票MVPに見る日米比較文化論

2021 NOV 21 14:14:11 pm by 東 賢太郎

中島さんの「大谷翔平選手、ありがとう!」に心から同感。毎日毎日、日本国は姑息な計略や裏技で世をにぎわせる「超小物の連中」のニュースばかり。いつからこんな屑みたいな国になったのか、国民的に精神衛生上悪く、子供の教育にも暗澹たる思いだ。それをぶちかまして日本どころかアメリカでバズーカ砲級の大技を決めてくれた大谷君。救世主だ。ほんとうにありがとう!

もうひとつ爽やかな気持ちにさせてくれたのは30人の「満票」だったこと。イチローですらない日本人初だ。僕はアメリカの学校に2年いてたくさんの  Yes/No の場面に出会ったが、何であれアメリカ人が「全員賛成」というのを見た記憶がない。3人いれば1人はノーのイメージで、日本みたいに安易なme-tooの満票であれば裏でイカサマさえ疑われるだろう。国民投票なら反対派もいたろうが、記者30人の間ではオッケーだったわけだ。記事のユナニマスリー、

これが「全員一致」「満票」である。これが度肝を抜く「凄さ」なのである。

30人は新聞 、雑誌、ウェブサイトなどの野球記者で組織された団体で1908年10月14日に設立された全米野球記者協会The Baseball Writers’ Association of America, BBWAA)の会員である。

東洋人がベーブルースの聖域を脅かす。そういうアンチはあったと聞く。終盤で四球四球になった。MVP阻止のためタイトルを大谷に取らせたくなかったのだろうが、日本でもアメリカ人が王貞治の55本の記録を抜きそうになった時の四球責めがあったから非難もできない。

そういう姑息な計略や裏技を無視して満票になったのは、アメリカ人の野球への深い愛情とプライドあってこその大谷翔平の図抜けたオールラウンドな野球能力への評価だったと僕は思う。大谷がナイスガイでアメリカに溶け込んだのもプラスではあるがそれでMVPにはなれない。ホームランを46本も打って100打点あげて26も盗塁を決め、130回1/3投げて9勝して防御率3.18で156個も三振を取ったことに尽きると思う。「二刀流」と日本では言うがアメリカ人に「刀は二本」という頭はまったくない。

思えば日本だって高校生までは全員が多刀流だ。投・打・走・守、全部やる。全部うまい連中がいてうらやましかったが彼らも大学、プロでは投か打に分かれていった。僕は長らく、それは理系文系に似てあんまり意味がないのではと思っていた。例えば桑田、松坂、マエケンは打者でもレギュラーだったと思う。たまたま投手ができたから打者の道が封じられた。オールスターでイチローを登板させると「打者に失礼だ」といって投手が代打に出る。実力の世界に「失礼」なんてものが何で出てくるんだ、わけわかんねえ、ずっとそう思っていた。

アメリカはそうじゃなかった、よかった。記者の方々も野球少年の時代があったんだろう。そこでは投・打・走・守、全部できる奴は天才で、誰がどこからどう見たって凄いのだ。そこに失礼とか嫉妬とか派閥とか家柄とか学歴とか、そんなくだらないものはないのだよ。

諸君脱帽したまえ。 天才だ」

ショパンをこう讃えたシューマン。言えた彼も天才だった。そういうことだ。

30人の記者諸氏の決断には頭が下がる。僕が日本人だからということではまったくない。野球を愛し、誇りを持つアメリカ人に心から敬意を表したい。

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Categories:野球

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