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騙されてはいけない「パンとサーカスと嘘」

2022 SEP 25 10:10:42 am by 東 賢太郎

《「徒然草」 第七十三段》

世に語り伝ふる事、まことはあいなきにや、多くは皆虚言(そらごと)なり。

(現代語訳)

世間で語り伝えていることは、真実はそんなにつまらないのであろうか、多くはみんな嘘である。

(評)

兼好法師の時代、嘘は娯楽であったようだ。現代においては、嘘は真実がつまらないからたれ流されるのではない。世界のメディアはグルであり、積極的な嘘(だまし)と消極的な嘘(隠蔽)を織り交ぜて、世界最高権力者に都合の良い世論形成(洗脳)を目論むからである。

 

〈新編「吾妻鏡」〉

かつあらはるるをもかへりみず、口にまかせて言ひ散らす。もれぬるものならばそらしらずしてまぎらはす。ものども、前(さき)の世の報いか、いと卑し。

(現代語訳)

すぐにばれる嘘をつきまくっておいて、ばれると素知らぬ顔で言い訳して紛らわす。こういう連中は、先祖の報いでもあるのか、まことに卑しい者どもである。

(評)

人の世は変わらぬものだ。現代においては、嘘の紛らわし方には「秘書にまかせていた」「事務所の引っ越しで資料を捨ててしまった」「卑しい心で50年経営していない」「それって犯罪ですよ、一緒にしないで」など各人各様の趣向が凝らされるのが一興ではある。なぜ「つきまくる」かというと、「嘘も百回言えば真実となる」からであろう。

 

《ユウェナリス「風刺詩集」 第10篇》

…iam pridem, ex quo suffragia nulli uendimus, effudit curas; nam qui dabat olim imperium, fasces, legiones, omnia, nunc se continet atque duas tantum res anxius optat,

(日本語訳)

…民衆は、(投票権を失って)票の売買ができなくなって以来、 国政に対する関心を失って久しい。 指揮権、懲罰権、ローマ軍団、 かつては全てを与えていたが、今や自らそれを止め、 ただ二つのものを不安げに求めているー すなわちパンとサーカスを…

(評)

パン(食料)とサーカス(見世物)は古来より国政に関心のない愚衆をつくり、喜ばせて反乱を起こさせない目的があったが、やがて世界に広がって五輪と呼ばれるようになる。21世紀の東京は折からの大規模な流行り病で、おののいた民衆が喜ばない五輪が開催された。すると、その無理が祟ったのであろうか、喜びと熱狂に紛れて隠蔽できるはずだった本来の目的が露見してしまい、贈収賄で逮捕者が続出する結果となった。これを令和の五輪疑獄と呼ぶ。

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Categories:政治に思うこと, 若者に教えたいこと

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