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今年の日本シリーズを予想する

2022 OCT 22 9:09:51 am by 東 賢太郎

野球はエースと4番だと思ってます。パリーグはオリックスの劇的な逆転優勝になりましたが、楽天は両方を、西武はエースを欠いていたため脱落し、最後に争ったのは両輪がそろっている千賀と柳田のソフトバンク、そして山本と吉田のオリックスでした。セリーグも今永と牧のDeNA、青柳と大山の阪神がAクラスと健闘しましたし、20本塁打が5人もいる巨人が4位だったのも岡本と菅野がぱっとしなかったからであり、広島は両方、中日は4番を欠いて5位6位でした。

ではヤクルトはどうか。日本シリーズの初戦をまかせる小川は8勝8敗であり、オリックスの盤石のエースで15勝5敗の山本と比べれは見劣りします。むしろ9勝のサイスニードがエースかもしれない。つまりヤクルトは絶対的エースがいない「図抜けた4番」型で優勝したチームあって、オリックスはバランスの取れた「エースと4番」型チームであるということです。

オリックスの弱みは打力で、OPS7割ごえは吉田、中川圭2人(ヤクルトは4人)、本塁打数はリーグ最低(ヤクルトは12球団1位)なことです。ヤクルトのブルペンは強力なので、6回までにリードされると不利です。ということは吉田の3打席目までに2,3点はとりたいという話になります。そうすると5番を打つであろう杉本、宗、頓宮が打たないといけません、さもないと吉田が歩かされて得点力が落ちます。これはかなり苦しいと言わざるをえません。

いっぽう先発投手力はQS(6回自責点3以下)が10試合ごえの投手数はオリックスが山本、宮城、田嶋、山岡の4人で62試合、ヤクルトが小川、サイスニード、高梨、高橋の4人で48試合です。頭数は同じですが達成確率はオリックスが上です。4人が完封すればいいのですがそこまで読めるのは山本だけです。ヤクルトはこの統計を覆して6回で4点取ってしまえばブルペン陣の勝負に持ちこめ、特に大事な神宮の第1,2戦ですが、慶応卒で公式戦は神宮で4勝1敗の木澤を勝ちパターンで出せれば有利でしょう。但しオリックスも宇田川、阿部という新戦力が後ろで実績を上げており、ヤクルト打線がほぼ初見のこの2人次第ではそう劣勢でないかもしれません。

去年の日本シリーズでは「QS破り」を1試合も許さなかったのでオリックスは最後まで拮抗できました。今年も、OPS7割ごえが村上、塩見、山田、オスナに加えて規定打席未満のサンタナ、キブレハンと6人もいて1,3,4,5,6番に据えられるという抜群の威圧感があるヤクルト打線を、去年同様に、山本、宮城、田嶋、山岡の4人全員がQSで抑えることが大前提でしょう。今年の交流戦(京セラ)はヤクルトの2勝1敗で勝ち投手は原と石川、負けはサイスニードでした。オリックスの勝ちは山岡(7回1失点)です。

ポイントはトリプル3のポテンシャルすらある塩見です。村上だけが話題ですが彼が伸びて一気に優勝してます。塩見1番は核弾頭で、うるさい山崎2番、トリプル3の山田3番というのは村上以前にそれだけで破壊力があり、下位も長岡が成長し中村がしぶとく、京セラではDHで青木が入ると更につながります。塩見はムードメーカーでもあるので抑え込まないと「4人全員QS」が破られる可能性が増えヤクルト有利です。塩見のOPSはなんと8割なので容易でないです。

もうひとつ、去年は東京ドームだったのが今年は屋外の神宮だということです。ここのマウンドは他と違うようでパリーグは慣れてないでしょうから1球の失投でホームランのリスクはオリックス投手陣の方が高いと思われます。ヤクルトは去年アウエーで2勝しておりそれが不利という意識はないでしょうから神宮の第1,2戦は、最悪の想定ですが、1勝1敗で山本の第1戦は落としても2戦を取ればいいと考えてるでしょう。ちなみに小川の公式戦は神宮で2勝5敗です。

つまり、戦力的にやや不利なオリックスが4つ勝つとすると第2戦を取ることが肝心かなめになります。ヤクルトの第2戦は常識的には神宮で7勝しているサイスニードでしょうが、第1戦を勝てば、去年の奥川のように勢いをつけられる高橋奎二(去年完封)、あるいは神宮の利を考えて石川で4回まで攪乱して田口2イニングで木澤につなぐなんてのは面白いですね。オリックスは明大卒で神宮が古巣である山﨑福也がいますが、順当に11勝の宮城ではないでしょうか。

そこからは監督力の勝負です。中島監督の戦略と用兵にかかる気がします。以上データを見る限りヤクルトがやや優勢なのですが、山本、宮城、田嶋は今年はヤクルト戦に出してませんし宇田川、阿部はペナントレース終盤で三振を積み上げる勢いがあったので、村上、塩見を抑えきって神宮で2勝すれば、京セラの第3~5戦で2勝1敗で優勝です。田島、山岡、山﨑福也で2つ勝てばいい。1つ勝っただけで王手であり、第5戦に中4日で山本があり得ます。その無理はせずに負けて1勝2敗でも、王手で神宮に戻って第6戦は山本が中6日の先発です。

したがって、やっぱり第2戦なんです。宮城は完投はしないでしょうから、後ろですね。ここで秘密兵器の宇田川、阿部が衝撃の投球でもすればオリックスの4勝1,2敗でのリベンジ優勝もあると思います。データ通りならヤクルトが悪くても神宮で1つ、京セラで2つ勝って王手で神宮に戻り、第6戦の山本を落としても第7戦で決め4勝3敗で優勝というところでしょう。個人的にはデータ通りいかない中島監督の奇襲作戦でオリックスの勝ちパターンになると面白いと思っています。

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