ルロイ・アンダーソン 「紙やすりのバレエ」
2023 DEC 24 7:07:00 am by 東 賢太郎
「トランペット吹きの休日」と同じく1954年の作品だ。これも聞き覚えのある方はたくさんおられるだろう。紙やすり(サンドペーパー)まで楽器にするアンダーソン流であり、人懐っこい和声進行は彼のトレードマークでもある。
紙やすりのバレエ(Sandpaper Ballet)は1999年にサンフランシスコ・バレエ団のために制作され、同年にウォー・メモリアル・オペラ・ハウスで初演された。バレエ化は著名な振付家、演出家のマーク・モリスであった。アンダーソンの作品11曲を使い、そりすべりは序曲になったが同曲はタイトルにはなったが、この動画(スペイン)のようなメイン扱いではない。
ジョン・ケージの居間の音楽(Living Room Music、1940)と思想を一にした庶民版と思えないでもない。アンダーソンはハーバード大学でウォールター・ピストンの弟子であり、ピストンもケージもシェーンベルクの弟子だ。
Sandpaper Balletが初演されたウォー・メモリアル・オペラ・ハウスでサンフランシスコ講和条約(1951)が調印されたのは周知だ。
同条約は吉田茂が調印した。外交官だった彼は親米、親英であり、統制派である東條英機首相が国家社会主義体制を構築していく中、反主流派の真崎・宇垣連立内閣を構想し「英米ト和平ノ手ヲ打ツベキ方針」と対米戦反対を真崎に伝達し、真崎も同意していた。吉田の意に反し近衛、東條の内閣となり真珠湾攻撃に至る。この経緯と戦後処理を鑑みるに、このオペラハウスには特別な思いを懐く。
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中島龍之
12/25/2023 | 4:07 PM Permalink
クリスマスといえば、ルロイ・アンダーソンですね。「そり滑り」を聴いてみました。しかし、「紙やすりのバレエ」も面白いですね。その場にいたら笑ってしまうでしょう。