衆議院選挙を支配する法則について
2024 OCT 24 9:09:27 am by 東 賢太郎
これを書いたのは9月21日、石破総理誕生の11日前である。一言一句、変更していない。
同稿は「自民党の裏金問題は国民の記憶からは消えない」で始まり、「総理は民意を無視して決まり得るが(筆者注:そうなったといえる)、その場合、やがてある衆院選、参院選で自公は “予定調和的に” 大敗するだろう」と結論した。その通りになっているように見えるのは僕に情報があるからではない。事実の集積からある法則の存在が推定され、「それによる予定調和」に至ったと見ているからである。その法則は同稿に譲るが、今の情勢をみると正しい可能性もある。もしそうなら、自民党執行部はそれがわかっておらず、事態は時々刻々と進行し、そのまま行けば自民党なるものは消滅する。
つい先日、目黒駅からタクシーに乗った。「あれMさんですよ」と運転士が指さした前の車はなるほど元大臣の自民女史の選挙カーだ。「泣き落としじゃ苦しいですよね、裏金やっといて」。仕事のメールを読むのが忙しいのでこういった。「そうなんですか、政治は疎いんで」。でも、それはそのとおりだ。涙で法則は変わらない。会食が終わった。僕らは政治など関係ないのでそんな下世話な話はしない。ところが帰路のタクシーの運転士も選挙の話を始めたから参った。「あんなコロコロ言うことが変わる総理はいませんね」。またしてもメールがたくさん来ていて、揺れると小さい文字が読みにくい。「そうなんですか、政治は疎いんで」「ええ、ひどいもんです。あっさり裏金議員を公認しちゃったでしょ、で、批判されると一部は非公認ですって、わけわかんねえですよ、ふざけてますねこいつら、自民党には二度といれません」。そういえば昨日、非公認議員にも公認料と同額の2千万円が出ていたと仰天のニュースがあった。なんと国民を欺くためのヤラセ非公認だったのか、裏金議員を処分した党が裏金を振り込んでいたのかって、あの運転士さん怒ってるだろうなあ。たしかに、それ原資は税金だからなあ。
政治は疎いんでは事実だ。政局は芸能界裏話に等しく、そんなもので世界は動いてない。政治家は政策で選ぶべきだから、その人物が噓つきだと有権者はどうしようもない。馬鹿はあり得ないが嘘つきは最悪なのだ。つまり、何度も書いたが、たかが学歴ではあろうと、噓つきの前科者は政治家にしてはいけないということこそが最重要ポイントだ。コロコロ変わる石破氏がそれだという運転士氏の主張は、しかし、やや違うのかもしれない。なぜなら彼は背後から操作されており、さもないとその場に居続けられないと悟り、意に添わぬ台本に合わせようと観念した発言がコロコロに見える。そう思わないでもないからだ。どう考えても主義主張が合うはずのない岸田政権を踏襲すると言ったが、そうであるならば背後は使い勝手が史上最高に良い岸田氏をクビにする必要などなかったわけだ。彼の低支持率では国会の支配力なしと判断したのだが、新総理のご祝儀があるはずが大してかわらない。こいつは用なしだと岸田に戻しかねないと恐れた。そこで出た、岸田さんとおんなじです、言いなりになりますからご安心くださいという背後への忠誠宣言と思われ、これだけは翻すのはクビになった時だけだろう。
こう書くと夢も希望もないが、仮に高市総理になっていても同じことである。強引にそれを阻止したのは彼女は(あえてぴったりの英単語で書くが)idiosyncraticに見え、教化するのは面倒くさそうだ(あるいは安倍元総理と同じほど無理だ)と判断されたのだろう。忠誠とは愛国保守を押さえ込んで国会を支配し、都合の良い(従って愛国保守の怒りを買う)法案と予算を可決させることであり、それができる者を米国人はstrong manという。男でも女でも野党でも馬鹿でも構わない。いやむしろ猛烈な馬鹿で簡単に手なずけられ、多数いる同レベルの国民の受けがいい者こそがお手軽でベストである。しかし忠誠であればあるほどやってるうちにお里が知れて愛国保守を敵に回すので、支持率は時とともに確実に落ちていくという法則も存在する。だから総理は使い捨てでオッケーなのである。そこで、やばい、捨てられると思うと権謀術数、奸計、裏切りなど秘術、裏技の限りを尽くしてお眼鏡にかなうための芸や大噓をくりだしたりの泥仕合が行われる。これが政局の渦の目であり、岸田氏は今もそれでだから俺のがましだったでしょとクリンチしている。国民にはそうした悲喜こもごもの寸劇に根強いファンが一定数おり、消費税ゼロで企業に課税しますなどと秦の始皇帝でなくてはできなさそうな政策を大真面目に掲げる者すら万年名脇役として国会に居場所があったりする。背後はそんな連中はどうでもいい。1955年以来主役たるstrong manが輩出されてきた、というより、党首にさえなれば自動的にそれにしてくれるマシーンとしての自民党が大事であり、操作すべき対象であった。べつに自民党である必要はないのだが。
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東 賢太郎
10/26/2024 | 6:17 AM Permalink
「裏金議員にも2千万円振り込んだだと?ふざけんな!裏金はけしからんと処分したはずのお前らが思いっきり裏金送金してるじゃないか!」
「めっそうもない、これは政党助成金で裏金ではございません!」
「有権者に見えないと思って裏でこそこそ選挙資金を配ってる。そういうのを俺たちは裏金って言うんじゃい!」
「めっそうもない、選挙になどいっさい使っておりません。これは党勢拡大のための活動費です!」
「お金に色はない!これの原資は俺たちの税金だ。自民党支持でない俺の金をなぜ自民党の党勢拡大に使えるんだ!」
「めっそうもない、自民党支持者の税金だけえりすぐって、そこからだけ頂いております。気持ちだけではございますが、お金に色はございませんもので」