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ビジネス界でリッチを目指す若者に告ぐ

2025 FEB 17 10:10:42 am by 東 賢太郎

USAID問題が日本で報道されない事は、世界の現象の1つとして捉えれば良い。しない側にしない理由がある、それだけのことである。それではなんだかわからないだろうが、”リッチ”と”ピープル” のデバイドは地球レベルの問題であり、日本の話でもアメリカの話でもないというところから話を始める。アメリカのリッチが野球の開幕戦を日本でやろうと言えばチケット代はセカンダリーマーケットで300万円になってしまい、それならロスに行って観ようとなるのが筋だが、そんな大間の初マグロみたいなのを買えるのがリッチなのだ。そういうことを目の当たりにすれば誰でもそっち側になりたいと思う、これは人間のサガだろうし恥ずかしいことでも何でもない。人間金だけじゃないよ、そうだよねという会話があまねく成り立つのは世界で日本だけだ。それはそれで文化だと思うが、傷のなめあいをしていると間違いなくリッチの仲間にはなれないし、国ごとピープルになっていくだろう。

証券マンとして人生を送ってきた僕はいまアメリカ、中国、韓国、オーストラリアのリッチとパートナーになっているが、彼らは例外なく民間人だ。僕は政治家とは付き合わない。彼らの個人資産を全部たせば兆円単位だ。そういう方々も国家や政治に関わろうなどという気はさらさらない。彼らにとって米中対立など政治の事情は、それはあくまで政治家のマターであって、ビジネスや株価に関わることでなければ明日のお天気ほどのものだ。大事なアメリカの友人、中国の友人がそうなのだから僕もどうでもいい。しかし政治家はリッチにもピープルにも選ばれているのだから立場が難しい。リッチではないがリッチになりたい者が政治をやると動機が私利私欲だから国益と合致しない。地位にしがみついたり、利権に走ったり、ファミリービジネスにしてしまったり、国益にならない法案を作ってしまったりと歪みが露呈する。それがピープルを利する側に出るならまだしも、自分もリッチになりたいのだからリッチになびくのが常だ。それが発覚してピープルにネットでたたかれて汚名をきせられた挙句に落選してしまったりする。こんなにリスクリターンが悪いと有為な若者が立候補しなくなると思い、僕は政策は理解できなかったが都知事選は石丸氏に投票した。

アメリカのピープルが幸運だったのは、スーパーリッチであるトランプとマスクがいたことだ。彼らぐらいになってしまうと資産を増やす動機がまだあるとすれば地球を買うぐらいだ。それが人生のゴールでないと思うから政治をやるのではないか。実は俗物であって名誉が欲しいだけかもしれないし、米国を正したい根っからの正義漢であるのかもしれないが、どっちであろうが、いつ暗殺されるか知れぬ行動をとって命をかけているのは絶対の真実だ。何であれそういう人は心から賞賛したい。過去のブログをご検索いただければわかるが、僕は2016年の選挙からずっとそう思ってトランプ押しで一貫してきた。政策は疑問もあったが、なにより人間が汚れてないと直感したからだ。しかし誤ってはいけない、リッチになった人があえて自分もピープルになろうというケースは古今東西見たことがないし、すれば失脚するだけだから何の意味もない。金持ちへの怨嗟や清貧の美学で世界は動いていない。トランプもマスクもやっぱりリッチであり、やめてもリッチであり続けるのだ。

僕はそこまでカネも才覚もないし政治信条の右左はもとよりまったく関心がない。日本にはアメリカ・中国のようなリッチはいないから現実感を欠き、いまだに右だ左だエセ保守だなんだと騒いでいるが、世界はもはやそんなもので動いておらず、リッチとピープルに明確に分断しつつあるのである。世界の左傾化というではないかという声があがりそうだが、高学歴がリッチになりやすいのはどの国でも一緒で、なればカネの結びつきだから既述のように米中の政治的対立など飛び越えて平然とパートナーになれる。するとビジネスマンというものは国家や文化に固執するピープルとああだこうだやるよりも、抽象概念を語る左の連中の方が相手として便利だ。左傾化はその現象を俯瞰したビジョンに過ぎずイデオロギーとしての重みはないからビジネスマンがみな共産党員になるわけではなく、言い方を変えるなら、それがグローバリズムの根っこというぐらいのものである。しかしこの認識が日本で浸透しないのは不思議なものだ。文化的な理由が大きいが、学校が教えないから変わりもしない。文科省の役人にも大学の先生にもリッチはあまりいないだろうから知らないことは教えようもないのだ。僕の父親はピープルだったからそういうことは知らなかった。東大に入れと口酸っぱく言ったがそれは国に貢献する人間になれという意味だ。しかし、リッチ出身の母親はそうした思想にまるで興味なく、結局、僕は理を鋭く説いてくれた父よりも家庭で長い時間を共にした母親側についてしまい、税金を人の何倍か払うことで父との帳尻を合わせる人生となった。

運よく東大には入ったが、入ってみると、どうもそれとこれとはあまり関係がないのではないかと思いが強くなった。深く考えたわけではないが、国の貢献には実力も関心もないのだから官僚になろうという気はなく、ビジネス志向オンリーで証券マンになった。しかも海外赴任だ。否応なく欧米チャイナのとんでもないリッチを見てしまって根底から世界観が変わった。それが何かときかれても、こればかりはどう言葉を書き連ねても日本で理解していただくのは無理と思う。ということは東大の先生も知らないし教えてもいないし、官僚を養成する学校に入る必要もなかったから申しわけない気持ちもある。なぜリッチだけのビジネスワールドで生きてこられたかというと、野球で鍛えた体力と、受験で鍛えたメンタルと、なにより僕がこういう種の人間だったからである。どういう種かを説明するのはこれも簡単でない。家族はわかっているが、それ以外で知るのはブログをずっと読んでくださっている方だけだ。

東大という学校は、入った人しかわからないが、入るのがものすごく大変である。頭がいいのどうの以前に、もっと即物的に、とにかく合格最低限のとてつもない物量の学習なしで合格することはまずあり得ない。だからあの入試を通ったという、ただそれだけで、自分のことはともかくその人の努力に敬意を覚えざるを得ない、そのぐらいの物量とお考えいただければいい。教室で机を並べるとこんなに頭の良い奴が世の中にはいるのかという人ばかりだが、もともと塾に行くような子でなく授業で学ぶ習慣もなく、彼らほど頭もよくない。どうも手合い、毛色が違うなと思った。そこで勉強は丸々すっぽかして2度の夏休みをアメリカで遊興に費やすことにした。社会に出てからも、勉強が仕事に変わっただけで、やはり遊興に多大な時間を割いた。するとだんだんわかってきた。ボンボンでなく一代でのしあがったリッチはそういうタイプが多い。一点集中だがガリ勉ではなく、むしろオタクなのだ。僕もまさしく骨の髄までオタクであり、ジャンルは異なれどその気質が合えば長続きするビジネスリレーションがたくさんできて今に至る。ヨイショの愛想笑いやおべんちゃらが上手いとか、そんな下衆なものとは程遠い人間であるから根本的に証券会社では生きづらかった。それでも株式投資という奥深い世界にはまってしまったオタクである僕となると、ある意味で無敵でもあった。

GAFAの入社試験問題がネットにあるが、彼らは日本の入試のように答えが1つしかない問題に満点を取る秀才を求めていない。なぜなら答えが1つしかない問題は誰でも解けるから1円の利益も生まず、AIに解いてもらえばもっと速くて正確で安上がりな時代なのだからあまりに当然ではないか。答えが1つしかない問題に最もたけた人たちが東大に集まるのだが、本当にこれからそれで良いのだろうか。それは単なる学習というより人格・思考回路の形成プロセスの是非の問題だから20代になってしまうと遅いような気がする。僕は10代に野球ばかりやっていて、たいして速くもない球でどうやってバッターを打ち取るかに夢でうなされるほど没入していた。もちろん絶対の答えなどないからGAFAの試験問題を日夜解いていたみたいなもので、学校で習った何よりも人格形成に影響していることは間違いない。何でもいいからそういう場に追い込まれて悩む10代を送る事は後の人生に非常に有益と思う。一代でリッチになった人は、とにかく人と同じことをやってぬくぬく生きてそうなることはないのであって、何かしら10代で壁に当たって切り抜けた経験があるのではないか。秀才でいつも導き出した答えが正解で、世の中こんな調子でうまくいくと思いこんでる人はこれからの世界では思うほどは良い人生にならないだろう。

秀才の多くは役所に行き一部は政治家になり権力を手中にする。といってそれだけでリッチになるわけでなく、俺はあんなに勉強したのにこんなはずはないと思う人は機会損失を補おうとするだろう。それが天下りだったが今は国民の目が厳しい。これは日本だけでなく先進国の官僚は五十歩百歩で特に米国は大統領がかわると上の方はジョブセキュリティもないから金に執着するのは無理もない。そして権力者にとって優秀な官僚のヘルプは必須である。魚心に水心でUSAIDに目をつける。非常にわかりやすい。権力者もビジネスオーナーも動く金額が大きいほど実入りが良いのである。ビジネスは自力でゼロから生むものだからとやかく言われる筋合いはないが五輪、万博はどうか。まして形の見えない**理解増進セミナー等になれば経費の計算根拠すらわからない。メディアに報道で応援してくれとなるとそれなりの理由がいるが「アメリカさんご推奨でダボス会議で世界にぶち上げているポリコレだ」なら偏向報道ではなかろう、なんたって我が国は同盟国であり理解増進法もそのおすすめで国会が制定したんだからとなる。何故にわけわからん「増進」なのか、そこに理由があったとすれば気持ちよく腑に落ちるのである。

書いたような理由があるから僕は石破総理の親中はけしからんとかトランプ会談が成功だ失敗だなどの騒動にはまるで関心がない。実に無様で日本男児として恥ずかしかった前任者より評価しているし、初仕事は大変だろうと思うし、総理に希少なオタクなのは期待すらある。既述のように僕にとってはアメリカも中国も等しくビジネスの大事なパートナーであってそれ以外に何もない。このネットワークから2020年半ばにもらった電話のおかげで、僕と家族は例のお注射の予約を全面的にキャンセルして一度も打っていない。米中を舞台とするこの秘密はトランプが保健福祉省のトップに任命したロバート・F・ケネディ・ジュニアが近々にあばきだすだろう。両国に戦争だけはしてほしくない、願うのはそれだけで、仲が良くなろうが悪くなろうがどうにもならないものをがたがた言っても疲れるだけだ。つまりお天気とおんなじで晴れなら晴れで気持ち良いし雨なら雨で傘を持って出るだけである。僕は納税者であって国にも他の納税者にも責任を負ってない。日本人、日本国民としてどうなんだという気持ちはあるが、応援だけでカネは出さないよりもカネだけは出す方がましと思う。

受験シーズンだから何かの役に立とうと思って本稿を書いたが、立身出世してリッチになりたい若者は大変結構である。米中でそうでない者など見たこともないし、彼らとこれから競争していかないといけないのだから健全なモチベーション以外の何物でもなく全面的に応援したい。しかし、その理由で東大を目指すなら考えたほうがいい。そんな教育は官僚養成学校はしないしできないし、スタートアップを目指すなら東大である必要はない。官僚、政治家を目指すなら依然有利だろうが、リッチを目指すには手っ取り早い場所であるビジネス界で、売れるものは自分という個体だけであり、恐らく政治家になってもネットで丸裸になるこれからはそれだけだ。企業にとってあなたの価値は今やIQでも知識でもなく、「あなたは何ができますか?」の問いに即座に明確に満足に答える中身しかない。それがない人が東大卒の看板だけ背負っても、はっきりいうが何も起きない。当然リッチにもならない。ピアニストやアスリートを考えればいい。つまり、総合職になればそこそこの役職までは行けて生涯年収2億ぐらいというサラリーマンというもの、そんな英語は概念としてないように日本固有の雇用モデルは非正規によってではなく、これからは本丸から瓦解していくだろう。かつては日の丸を背負っていたシャープ、東芝、日産を見ればわかるように、親方日の丸的な雇用先はいずれ文字どおり役所しかなくなる。しかし役所や士業の仕事はどんどんAGIに食われる。この流れは経済原理に則りunstoppableである。ではどうすればいいか?個を磨くしかない。その方法は僕が10年ぐらい前のブログで具体的に書いており何ひとつ変わってない。

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Categories:若者に教えたいこと

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