Sonar Members Club No.1

since September 2012

最高のベルク!歌劇「ヴォツェック」を聴く

2025 MAR 15 15:15:55 pm by 東 賢太郎

第646回定期演奏会

2025 3.12〈水〉 19:00  サントリーホール

ベルク:歌劇「ヴォツェック」作品7(演奏会形式)

指揮=セバスティアン・ヴァイグレ
ヴォツェック=サイモン・キーンリーサイド(バリトン)
鼓手長=ベンヤミン・ブルンス(テノール)
アンドレス=伊藤達人(テノール)
大尉=イェルク・シュナイダー(テノール)
医者=ファルク・シュトルックマン(バス)
マリー=アリソン・オークス(ソプラノ)
第一の徒弟職人=加藤宏隆(バス)
第二の徒弟職人=萩原潤(バリトン)
白痴=大槻孝志(テノール)
マルグレート=杉山由紀(メゾ・ソプラノ)

合唱= 新国立劇場合唱団
TOKYO FM 少年合唱団
音楽総合助手・合唱指揮= 冨平恭平

ヴォツェックはかつてアムステルダムのオランダ国立歌劇場できき、家にはブーレーズ、アバド盤がある。アバドはウィーン・フィルというので買ったが、もっぱら取り出すのはブーレーズ だ。これは彼のCBS初録音(1966)でパリ・オペラ座管弦楽団との希少盤でもあるが、驚くべきことにクリーヴランド管との春の祭典の3年前にこのオケで完全に彼の音楽になっている。ということで僕は同曲を管弦楽曲として聴いてきており、歌劇でなく舞台に4管編成のオケが乗る演奏会形式で聴きたいとかねがね思いこの日を待ち焦がれていた。

何百回も聴いた曲をコンサートでという情熱は正直ところ少々失せている。飽きたというより未知への冒険心が勝っている。ヴォツェックは何度でも出かけたい(できればルルも)。この日は余りに打ちのめされていて終演後はあまり言葉が出なかった。ヴォツェックはオペラであると思い知った、それほどこの日の歌手陣は秀逸で強力だった。あくまで録音の印象としてだがブーレーズは精緻な音彩への執着がベースにある。ヴァイグレは言葉(この作品はドイツ語が比較的聞き取りやすい)と抑揚、ダイナミズムでドラマを浮き彫りにする。それを読響も見事に実現した。表面的には単純なリブレットで、平板に演じれば狂った者どものひと騒動で終わりかねないが、その表現主義とドラマトゥルギーの二重構造が見えたような気がしている。

いつぞやシェーンベルク、バルトークに来ていただいたM氏(経産省を退官後ヴァイオリニストとして活躍中)とご一緒したが、喜んでいただけてよかった。氏がバリオス国際ギター・フェスティバルで第1を弾くポンセのギターカルテットのビデオを送っていただき、拝聴したが面白かった。まだまだ知らない作曲家、楽曲がある。

 

Categories:______ベルク

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

ライフLife Documentary_banner
加地卓
金巻芳俊