阪神・伊原が保坂に似てると思った2つの三振
2025 APR 22 20:20:53 pm by 東 賢太郎

カープがやられてしまった試合のことを書くのは初めてです。プロ初先発の阪神・伊原陵人投手の印象が強烈だったからです。初回いきなり二俣、矢野を空振り三振にとったストレートがキャッチャーミットにおさまる様は惚れ惚れしてビデオを見返してます。二俣はかすりもせずびっくりしてるし、ねばって三振しない矢野は完全に振り遅れて20センチも下を振ってる。身長2メートル近い剛腕投手の160キロならともかく伊原は170センチで球速はたしか143キロでした。多くの解説者が「球の出所が見にくいフォーム」と評価してますし、きっとそうなんでしょうが、素人目に??と思ってしまったのです。
同じような空振りを見たのはその昔の日大一高の保坂投手です。身長168センチの剛腕で、夏の甲子園の東京大会で6試合計48回で78奪三振。日大鶴ヶ丘高に10-0の6回コールド勝ちした際、18個のアウト中17個のアウトが三振。1回の先頭打者から9連続三振、ショートゴロを挟み、8連続三振。甲子園でも17個の奪三振ショーで世の中の度肝を抜き、3年連続甲子園登板は彼と荒木、桑田の3人だけ。東映フライヤーズにドラフト2位で入団しました。のちにヤンキースタジアムで4000奪三振のロジャー・クレメンスもネット裏で観ましたが、間違いなく保坂のほうが速かった。伊原はボールもマウンド上の雰囲気も、どこかその保坂に似てるのです。
僕は平均120キロ台で2041奪三振という阪急、オリックスの星野伸之投手のストレートの大ファンであります。飯より好きで、飯を抜いても見ていたい。彼はカーブが有名ですが、遅いけど伸びるあのストレートが差しこんでこそのカーブなんです。だからロッテの初芝選手が「伊良部より星野の方が速い」と言った。野球という競技の何を見るかはいろいろですが、僕は投手しかやったことないので投手だけ見ており、メジャーでも甲子園でもつまんない投手だと試合を見ませんし、いいなと思ったら追っかけてでも見ます。
星野と保坂は別物ですが、伸びるストレートが共通のように思います。同じ速度で飛んでくるボールでもスピンが多いとエネルギー量が大きく、空気抵抗によって平均的なエネルギー量の球よりも打者に不測の動きをします。スライダー回転なら左に、シュート回転なら右に行くところがタテ回転だと上に行こうとする、その分だけ打者が経験的に記憶している軌道ほど下降しないので伸びてホップしたように見える「変化球」なのです。これが史上最高と思ったのは江川です。
保坂さんを神宮第二のベンチから目撃したのは16才です。日本最高峰のボールに度肝を抜かれ、やばい、硬式はこんな人と野球やるのかとやる前からシッポを巻いてしまった情けない思い出です。のちに人生にいろいろな場面で壁に当たるのですが、「保坂さんを打つのに比べれば大したことねえや」と思えました。御礼を申し上げたいぐらいです。伊原投手、奥底に埋もれていた屈辱のメモリーをひっぱり出したんだから並じゃない気がしてます。カープファンとしては迷惑千万だけど、頑張ってください。
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