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書いておきたいプロ野球雑感③

2025 APR 29 2:02:10 am by 東 賢太郎

4月27日

きのうのDeNA対広島戦。8回を2安打10奪三振で1点に押さえて勝ったDeNAバウアー投手。カープはナックルカーブを誰も打てず、三振のたびに吠えまくられましたが、中4日で自己最多の129球を投げぬいたのは敵ながらあっぱれであります。中6日で回ってる日本のピッチャー、根性論は昭和の野球でしょというのが常識になってるが、ただでさえキツい飛行機での移動を強いられるメジャーリーガーはそんなことを言わない。

バウアーというと一昨年8月25日のバンテリンドームを思い出します。中日の近藤廉投手が1イニング10失点して「晒し投げだ」と立浪監督が批判されたあの試合です。そのゲームの勝利投手がバウアーでしたが、ヒーロー・インタビューで彼は「まずひとこと言わせてくれ。どんなにいい投手でもこういう日がある、これからも前を向き続けてほしい」と近藤にエールを送ったのです。クローザーのライデル・マルティネスはブルペンで戦況を見かね「俺が投げてもいいぞ」と肩を作ろうとしたそうです。あっぱれな男たち。

日本人に漢(オトコ)はたくさんいるはずなんだが、中日ベンチ、捕手、野手は誰ひとりとしてマウンドで孤軍奮闘の近藤投手に声をかけに行かない。ビデオを見ると、3連打はされたがすぐ2死を取って、次の詰まったゴロをショートが普通にさばけば3点ぐらいで終わってたんです。助けるどころか足を引っ張られ、慣れない一軍のマウンドで動揺があったんだろう、柴田に死球を与えると帽子をとって深々と頭を下げる。柴田は大丈夫だよとうなずく。頭はベンチに下げたんじゃないかとさえ見えるシーンです。

この近藤廉投手、すぐ2軍に降格され10月に戦力外通告。要するにクビですな。育成再契約となりますが立浪が「ああいう経験した人は強くなると思うから、あと1年残してやってくれ」と球団に働きかけたようです。二軍で1年がんばった末に今年4月24日に支配下登録に復帰。そして昨日、ヤクルト戦で2年ぶりの登板をして1回を4人で零封した。近藤君、よく立ち直った。井上監督がいて本当によかった、でも前を向き続けたのはまぎれもなく君の実力と精神力なわけで、超ド級のあっぱれであります。

この日はまだあっぱれがあって、近藤が雪辱したこのヤクルト戦、近藤からバントをきめた茂木栄五郎選手は息子の同窓生で楽天時代から注目してました。FA宣言してヤクルトに移籍し、この試合で勝利を決める値千金の3ランホームラン。すると、茂木の人的補償として楽天に移籍した小森航大郎選手もプロ入り初ホームランを同日のソフトバンク戦で放っていました。ふたりともホームランバッターではないので確率の低いことですが何かの因縁かもしれない。人的補償で移籍というのはプロとして思うところがあったでしょう。小森選手もあっぱれ。活躍してほしいですね。

最後に、退任された中日の立浪監督。現役時代、よくカープがいい所で打たれましたが素晴らしいバッターでした。僕はあらゆる解説者で立浪がいちばん好きで、打撃を習うとしたら彼しかないと思う。なにしろ理にかなっていてわかりやすく、そこまで言葉で説明できるからあの打撃ができたと腑に落ちるからです。だから彼が監督をやれば中日は手強いなと思っていましたが結果はそうならなかった。技術を極めることと権力を持って組織を束ねることは別物です。完璧な理論、PL学園のプライド、おそらくいろんなものが彼をあそこまでにしましたがその分だけ苦労も多かったかもしれません。これからの活躍を期待します。

 

Categories:______プロ野球

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