不思議なアリスの国の米騒動の不思議
2025 JUN 2 11:11:45 am by 東 賢太郎

小さいときに覚えてるのはパン屋、肉屋、八百屋、コロッケ屋ぐらいで、米屋は記憶にない。自分で買ったことないし、どこで買うか知らないとマッサージで言ったら驚かれてしまった。いい所のボンじゃないよ、団地の子だ。お袋が九州の家風で男子厨房に入らず主義でさ、知らんまま大きくなってしまったと弁解してもだめだ、女性には通用しない。
江藤農水大臣の家に米は売るほどあったらしい。買う必要がなかったから自分で買ったことない、そりゃそうだろう。事実をしゃべっただけで辞任に追いこまれるとは思ってもなかったのが顔に出た。それがいい所のボンに見え、マリー・アントワネットだと追い討ちされてしまう。政治家も大変だ。買ったことないより空気を読めない方がもっとまずかったが後の祭りだ。自民党×世襲=悪という空気はけっこう危険水域に来ているのだろうか。
最近の政治はもう「不思議の国のアリス」状態に突入している。この映画、アリスがウサギの穴に落ちて次々とおかしなことが起きるが、10分もたつとだんだんその世界に目が慣れる。芋虫がしゃべろうがチェシャ猫(左)がニヤニヤ笑っていようが平気になっちまう。まさにそれ。でも「いつからこんな妙ちくりんな国になったんだ?」が元自民岩盤保守の本音だろう。世間では安倍さんのあれからという声が高まっているらしいが、それは日本のローカルな話で、僕はコロナで世界の株式市場がアリス状態になった時だと確信している。だからもっと前だ。これは半世紀ぐらい株式市場を観察してた者しかわからない。ヒントはアメリカの財政とドルだが、それだけ見ていても、いくらデータを取集してもわからないだろうから僕は絶滅危惧種になりつつあるかもしれない。
日本政界のアリス劇場は野球に例えるとこうだ。豪快な30失点で堂々の完投をして見せた監督兼自称エースのキッシー投手。お次は史上初の女性、サナエ投手と大多数のファンが期待したが、メンバー表には万年ベンチで味方にヤジを飛ばしてたイッシー投手の名があった。彼は直球は投げられない。変化球しか投げないがその球も遅い。「初回に打たれたら責任を取る」と豪語していきなり満塁ホームランを食らうが、それは嘘だったことが発覚する。延々とマウンドに立つが球団も監督もなにもしない。今の今まで投げていて、もう失点は20だ。ところが、いったい何があったんだろう、ある回から敵方である野党球団のバッターまでわざと三振しだしたのだ。球場の総意としてイッシー投手を交代させたくないのである。スタンドのファンは唖然としているが「なんだこりゃ、八百長試合か?」「金返せ!」のヤジも罵声も飛ばない。飛ばしたところで「ルールに違反はございません」と冷たいアナウンスが返ってくる、かどうかは知らないが、たぶんそうだろう、いや、へたすると「お客様、他のお客様の観戦のご迷惑になりますので」なんて退出させられるんじゃないかという空気を感じて黙っているのだ。
しかし、自民チームの古参のファンでごったがえす居酒屋「俺はジャイアン」ではそうは問屋がおろさない。「野党は7月決戦もイッシーに投げてもらいたいんだろ、そうはいかないぜ」の声でもちきりだ。「そのうちサナエさんが動くさ、球団社長のアッソーさんがイッシーを降板させるよ」。すると、バタンと音がしてドアが開いた。息をきらせて入って来たチェシャ猫が叫ぶ。「みんな聞け。わざと三振してもらってるのは自民のヤマモリ監督だ!」。「なんだと?敵将のドジョウと裏でツルんでるのか!」すると、三月ウサギと帽子屋も入って来た。「皆さん、ヤマモリは右ききの選手を追い出して左ききと左巻きだけの球団にするらしいですぞ」「うぬ、そういう作戦だったのか」。気がつくとそこはネムリネズミの終わることのないお茶会の場であった。
大騒ぎのなか、壁にスクリーンがスルスルと降りてきて、三月ウサギが「とざいと~ざい!」と映画の上映を始める。
なんだこれは?米がないだって?ただでさえ重い年貢で民が飢えておるのに怪しからん、おかみは何をしておるんじゃ、ええい、一揆じゃ、蔵を壊せ壊せ、皆で打ちこわしじゃあ!!!
いかん、お国の一大事だ!
「こういうときは?」
帽子屋がそっと尋ねる。
しばらく静かだったアリスがこともなげに答えた。
「そりゃこの人でしょ」
「ちがうちがう、これはあっちの話だろ」。帽子屋がかぶりをふるとチェシャ猫が憮然とした顔で答える。「そうか、ここは日本だったっけ、なら『月光仮面』だよな、こっちだってちゃんとおじさんが変身するんだからな、負けてないぞ」
「猫くん、前から思ってたんだが、きみはやっぱり時代遅れのようだね。残念だが月光仮面はもう古いんだよ。新しいのが出たんだ、これを見てくれたまえ」。帽子屋は得意満面に笑った。
う~ん、す、すごい。どっちもやけに短いし、マイナーキーでうら寂しいところが何とも言えないが・・・
「みんな、見たか、キッドだよキッド。この人が米騒動をおさめ、われわれ日本国民に安いおコメを届けてくださるんだ!」「キャーかっこいいー!」「キッドか、なるほど、これぞ神様仏様じゃないか!みんなで拝もう!」「ほんとうね、正義の味方なのね」「それなら年貢が少しぐらい増えても大丈夫そうだ!」
「でもどこの誰かは知らないけれどなんて寂しいわ、キッドさん、お名前は何ておっしゃるのかしら?」
「諸君、知りたいのかね?困ったね、本当は教えちゃいけないことになってるんだが・・ええい、仕方ない、教えよう、でもここだけだよ、絶対に誰にも言っちゃだめだよ」
「もちろんよ!!」
「コイズミ仮面、おっと、ワタクシとしたことが、それは親父だったね、息子のほうなんだ、だからKIDなんだ、コイズミ・キッド!」
「なんと、あの人だったのか!」
「キッドさん、ステキ❤️、ワタシもう総理大臣に投票しちゃうわ」
「あのね、キミは総理は選べないの、議院内閣制だから」
「なんでよ、ケチ、そんなのいいじゃない」
「ケチとはなんだ、この**!」
「悪かったわね、アンタ、じゃあ大声でしゃべっちゃうもんね、ナショナル・キッドはすんじろーだって」
「でも、日本国民にマスクを届けてくれたのも思い出すわね、安っぽくて評判悪かったけど、あれなんていったかしら?」
「アベノマスク」
「そうそう、あれとおんなじにならないかしら?」
「いやいや、そうじゃない、安倍さんは三世、すんじろーは四世、だからこっちが偉いんだ」
「そうか江藤大臣は二世だったな、一世足らんかった、惜しかったな」
チェシャ猫かと思っていたら、いつの間にかうちのシロ先生になっていた。アンタも馬鹿よねえといつも笑われてるので先生になってる。
先生のご宣託が下った。「皆さん、世の中おわかりになってない、野球の新ルールをご存じないのね。ピッチャーはね、打つ方のチームから出すんです。もちろん後ろの野手はぜんぶ相手チームですけどね。味方のバッターに打ちやすいタマ投げてたくさん点を取らせたほうが勝ちなのよ。面白いでしょ?デッドボールでなぐり合いの乱闘なんてもう二度とおきないし人権を尊重して平和なのが人気でね、ベースボールじゃなくってピースボールって呼ぶ人もいます。だからね、わかったでしょ、日本のピッチャーは実はあちら様が決めてるの、キッシーもイッシーもあっちの人なんです」
(一同)「先生、なんと、そんなルールがあったんですか!!!」
「なるほど!キッシー投手はアメリカ戦で火だるまになって30点も献上してるのにヘラヘラしてバカヤローなのになかなか降板しなくって変だと思ってたんだ、俺たちは元のルールのつもりで見てて裏金けしからんだなんて自民球団に怒ってたんだ、辻褄があったぞ、納得だね」
「いえいえ、アメリカだってそうなのよ、で、トランプは気がついちゃったの。だから暗殺あぶなかったのよ、だって剛速球投げちゃうからさ」
「そうか、160キロのピッチャーなんてもう無用の長物なんだ。新ルールだと、ど真ん中に遅くて打ちやすいタマだけ投げれるのがエース」
「そうよ。つまり?」
(一同)「総理は軽くて馬鹿がいい」
「先生、すご~い、ということは、お次は?」
「もっと、もぉ~っと、すごいのがきて、50点ぐらいとられて打つ方のチームにほめられて一旗揚げるわよ。それにはお金がいるの、みんなの年貢は減らないの。あっ、取り巻き連中もいろいろオイシイのはいっしょだよ」
(一同)「ええい、ものども、であえ、であえ、コメじゃコメじゃ、米騒動じゃあ!!!」
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