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道元流 鬼谷子の帝王学 Ⅲ

2014 MAY 9 11:11:09 am by 西室 建

 今回は少し下世話な話から入ります。コミニュケーションの取り方、世論の造り方です。ところで、私はこのブログを単にノウ・ハウの開示のつもりで書いているのではありません。道家の教え、良き古の磨き上げられた教えを現代に伝えたい訳です。私自身一介の修行者のつもりですので、読者の皆さんも自身を鍛えるつもりで解釈して頂くことが望みです。
 さて前回までで、計謀を巡らす場合のパートナーについて話しました。次は積極的に『情報』を取りに行くわけです。言ってみれば状況の観察と形勢の分析です。このことは繰り返し出てきます。もっとも古代に於いては対面によるやり取りが情報の基本でしたから、今日のようにマスコミ報道の断片をかき集めて観察・分析と言うわけにも行きませんでした。鬼谷子の教えは今に置き換えると、商談の詰めをする際のサシの会談をしている時の対処、対立する相手(組織の内外を問わず)との会談の望む際の心得としても使えます。
 その際には相手の状況に合わせる、例の陰陽の話法ですね。情報を持っている相手が楽しんでいる時、これは簡単でその喜びに沿ってやる。接待やヨイショのことでしょう。一方で相手が大変な恐怖を抱いている時、その場合は最も心配なことを助長することで秘密を打ち明けさせることができます。煽りですね。相手の感情が見えないケースは時に非ず、少し冷淡な態度を取って徐々に信頼させていく。
 相対する人の個性・能力もまた様々です。それを正邪に分けて説明する古代の言い回しは面白いので、以下そのまま現代日本語にして載せて見ます。正五つ、邪五つで、『攻関者』とは情報を得る者という意味です。

正・淡白な者には冷静につきあえば(あなたは、以下同じ)攻関者たり得る。
 ・正直者には誠実につきあえば攻関者たり得る。
 ・働き者には成功の目標を与えてやれば攻関者たり得る。
 ・謙虚な者には清廉潔白なやり方を示して攻関者たり得る。
 ・信義の者には誠実な行動にて共感を得られれば攻関者たり得る。

邪・興奮しやすい者には欲する物を与え頭を馬鹿にさせて攻関者たり得る。
 ・怒りっぽい者には激怒させ心を不安定にすれば攻関者たり得る。
 ・権威好きの者にはそっと名を上げる助けをすれば攻関者たり得る。
 ・品性下劣なる者には有る事無い事並べ立て満足させれば攻関者たり得る。
 ・金の好きな者にはその利益になる話しだけすれば攻関者たり得る。

 いかがですか。それぞれ咀嚼して頂きたい警句です。一方でコミニュケートする、とは相手もあなたの腹を探っていることにもなります。そしてそれは人の口を膾炙して、相手方の情報として伝わっても行きます。口はまた百禍を招く、同時に相手に刷り込みを与えることもできます。昔から『衆人の口は金をも溶かす』と言い、これらは人にあれば口、国にあれば宣伝、今日の国際社会にあれば国家間の計謀とさえ言える内容です。この辺は、今日の日本においてはやられっ放しの感が否めませんね。日本人全体から言っても、相手の足元を見るのは、あまり良しとはされないでしょう。これはそういう意味では勿論ありません。『相手の奸邪、縫隙を見抜け』と言っているのです。”縫隙”とはヒビのようなものだと思ってください。
 相手を見抜くは即ち自らを正す。壺に入るヒビを良く観察して見るといろいろなことが分かります。内側から入るもの、外側から入るもの、底に入るもの、ほんの小さいもの、向こうが見えるほど深くなったもの。面白いことに鬼谷子はそれぞれに対処を諭しています。
 内部からのものには内因があり、排除して塞げ。これは入れるものに原因がある、組織構成員に問題があることを指しています。
 外部からのヒビは内側をしっかり固めその力で塞げ。外から余計な力を受けている、外圧には組織を固めて対処せよ、の意味です。
 底部のヒビは燃木材を除いて塞げ。下からの熱に原因がある、即ち民心が定まっていない、造反に対処せよということです。
 小さいヒビはむしろ良い所を強化してから塞げ。普段より良く観察し、綻びあれば慌てず分別せよとのことです。
 補修不能な程であれば、沈思黙考せよ。もはや使い物にならない、ここに至れば機会を探して造り直すことです。鬼谷子は”治す”の字を当てています。

 今回は初めに言ったように、多少下世話な話に聞こえたかも知れませんが、改めて申すまでも無く領袖の道と言うものは決してノウハウでは有り得ません。優秀な領袖は公の為に無私であるべき、としています。
 易経六十四卦は、禍福は同源、離合は天地自然の法則を表しています。何事も必ず自分に返ってくるものと教えています。

 今日はここまでにします。

Categories:鬼谷子の帝王学

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