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道元流 鬼谷子の帝王学 Ⅴ

 きょうは帝王学は一休みしまして、道家の周辺を話します。実は道家は古来から医術を施す者を指していました。老子の教えとされる『陰陽合一』『無為自然』は万物の理(ことわり)を表し、自然と調和することを説いています。英語でタオイズムと言っているものです。古の聖人達が長い時間をかけて、自然・人体を観察して健康に応用できる術を追及しました。
 夜空の星を克明に記録して、北極星を中心に北斗七星がぐるりと天上を回ることに気が付いて様々な考察を加えます。同時に動植物を観察して、あらゆる生命体が『呼吸』を繰り返していることが分かります。これを人間という霊的存在に置き換える工夫をしました。
 人の体に『九竅十二舎』と言うべきポイントに気付きます。竅は上(眉間)を中心に三つ、中(心臓の高さの胸)を中心に三つ、下(丹田)を中心に三つで、九竅。これらが天地自然の変化の窓口だとします。上が天道に、中が人道に、下が地道に通ずる。前回ブログでは私なりに、PDCA、人事、品質管理としたものですね。
 十二舎は外界から感ずる五感プラス意識の『出』と『入』です。色・声・香・味・触と事、即ち目・耳・鼻・口・身と意識を通じて『気』が出入りするものと考えました。こちらは分かりやすいと思います。
 そして人間の体の内臓を五臓。心・肝・肺・腎・脾と腑分けしてそれぞれ火(神気)・木(魂気)・金(魄気)・水(志気)・土(意気)の五精、五気とします。
 これらを元に、更に工夫を重ねて東洋の医学体系を作り上げてきました。九竅が塞がらないように、五臓の気が滞らずに調和するように、と言った具合にです。

この中の『神』『志』『意』を道家の『三花の気』とし、このバランスをとても大事にします。五精で言えば火・水・土、五臓では心・腎・脾です。このバランスが崩れると精神が不安定になり、俗に言う頭がおかしくなる状態に陥ります。精神疾患のことですね。それぞれを解釈してみましょう。
 『神(心)』は他の気を司り威勢の道を示します。日本語で「威勢がいい」というものです。これを頂点としたトライアングルの概念を思い描いて下さい。
 『志(腎)』の気はそのままでは是非を決める判断力です。そしてもう一つ、「欲望」を指しています。欲望が多すぎると心気を散失してしまう。
『意(脾)』は情緒。情緒を安定させれば『志』も混乱せず、『神』も消耗しない状態になります。一面『意』は屈伸湾曲自由自在を意味していて、日本語でいう「気が散る」状態に陥りやすい。これが弱まると、不完全で手落ちになりやすい。
 古代においても精神疾患を発症した人がおり問題となったのでしょう。今で言う躁病や鬱病は昔からあったようです。そういったものの治療に『五臓』の理論を導入したところが道家の医学体系で、決して迷信や偶然ではないのです。このあたりを近代医学にマッチングできないか、と言うのが私の長年の取り組みです。

 せっかくここまで語ってきましたので、呼吸法についても触れておきます。キーワードは、エネルギーを蓄える、です。胎息というのですが、外呼吸から内呼吸を誘発することを意味していて、五気五精を還元するとでも言いましょうか、先ほどの三花の『志』『意』を充実させ『神』を強くするものです。
 方法を感覚的に表現しますと、両耳を鼻先に集中させるような感じで、細く長く一呼吸を聞くようにする、但し呼吸の出入りの音が本当に聞こえてはダメです。吐が先、吸が後です。この時、目は鼻を見るように、鼻は心を見るように、左右の耳を上に引っ張るようにやるのがコツです。
 上手く出来るようになると、実に「さっぱり」したようなスカッと爽やかな気分になりますが、道家では「上三竅より陽神出現」と言います。是非お試しください。

 今日はここまでにします。