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ヘルマン・シュミッツ という知の巨人

昨晩、私の主催する科学コミュニケーションの集会で、東大の梶谷真司准教授のお話しを伺いました。科学と宗教は、全く相入れない関係にあるのか、それとも共通の根源をもつのか、というやや哲学じみた話ですが、そこで標題のヘルマン・シュミッツという巨大な学者の存在を知るに至りました。シュミッツのこの課題について言っていることは、以下です。宗教の根源である<聖なるものは> 戦慄と魅惑の両義性を持つ。一方感情とは空間から襲いかかる雰囲気であり、宗教はその戦慄と魅惑の雰囲気をつくりだしている。そのツールとして空間を制御するのが芸術であり、それは文化の影響を強く受ける。私はここで お能とオペラを頭に浮かべたのですが。一方科学は雰囲気とか感情のようなものを排斥すると考えられているが、実は科学も、時に戦慄と魅惑を放ってギラギラすることがあり、その限りで宗教的になるんだと。なんか、わりと簡単なこと言ってるようにも感じます。立派な科学者は一種宗教的リーダとか神的な存在として見られると言い換えればです。そこでシュミッツを調べたんですが、半端じゃないです。

ヘルマン・シュミッツ(Hermann Schmitz, 1928年5月16日 – )は、ドイツの哲学者であり、全5巻10分冊の大著『哲学体系(System der Philosophie)』(1964-1980)により、〈新しい現象学〉を展開した。身体感情現象学で知られるが、その業績は、存在論認識論時間論、空間論、宗教論、芸術論、法哲学自由論、共同体論など、きわめて多岐にわたる。

ここまで行くとカッコイイですよね。そういえば梶谷先生が言ってましたが, 日本の思想とか日本独自の哲学については、世界に学者が多数いるものの、日本人のその専門家は全く英語をしゃべれないそうです。変な話です。

 

 

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  1. 東 賢太郎

    11/8/2012 | 8:35 PM Permalink

    駒場で一番おもしろかった村上陽一郎先生の科学史の授業を思い出しました。ケプラーが第3法則を発見するのにたしか30年ぐらいかかった話です。観測上の火星の逆行運動を等速円運動の合成モデルで数学的に精緻に説明し、それが実は明らかに間違っているという観測結果を確認するまでの期間がそれだけ必要だったので30年もかかったという。キリスト教世界観は万物は等速円運動すると定義していたため楕円運動という前提を排除していたわけで、現代ならアインシュタイン級の数学能力だったと言われるケプラーですら宗教の呪縛からフリーでなかったという象徴的な事例です。これを習って以来、何か大事な判断をするときは「ひょっとして楕円運動じゃないか?」と自問する癖がつきました。