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蛙鳴蝉噪(小倉版)

2012 SEP 24 14:14:07 pm by mtsuzaka

TOTO歴史資料館の「トイレ博物館」にお邪魔した。
 
博物館には様々な便器が展示されている。
ドイツで出会った小便器と同タイプのものを目にした時、幼い頃のいじめっ子に再会したような気持ちを抱いた。
 
「いじめっ子」に会ったのは、ベルリンのレストランのトイレ。
その便器が設置されたポジションは、私の股下がモデル並みに長かろうが、高飛び選手のようにジャンプ力に優れていようが、用をたすに必要な高さに届かないことが一目瞭然であった(淑女には不向きな話題で申し訳ないが)。
 
私の身長は165cm、私の年代の日本人の平均身長よりやや低い。

OECDが2009年に発表した”Health at a Glance”によると、ドイツ成人男子の平均
身長は179.6cm。
私と平均的なドイツ人の身長は、最近の若い女性が履くハイヒールの高さくらい違ったのだ。ドイツの社会インフラの一部が私にフィットしないことは、OECDの統計からも明らかだ。 小柄な人間が多い東南アジア系への人種差別だと叫んでも、時間的な余裕はない。現実を受け入れる素直さも私の長所のひとつだ。
イギリスに移ると、様々な体型の人間がいるせいか、ドイツの小便器のようないじめはなかった。
 
トイレ博物館は「もの創り」のためのアイデアと工夫に満ちている。
世間には私のように便器に対して、特別なコンプレックスを抱く人間は少ないだろう。訪問する価値のある博物館だと思った。
 
帰り際、【語りついで行きたい「先人の言葉」】の小冊子をいただいた。皮相浅薄な私であるため、自身の備忘としてここに掲載しておきたい。
 
 
利益はたらいの水のようなもの  
「儲けんと思わば天に貸せ」・・(森村市左衛門氏の経営哲学)より
利益はちょうどたらいの水のようなものである。たらいをこちらへ引くと水は向こうへ行くし、向こうへ押すとこちらに来る。それと同様に、利益というものは自分独りで得ようとするとかえって他にとられ、他に与えようという方針でやると不思議に自分のほうに来るものである。他に利益を与えることは正直でなければできぬことである。相手が駆け引きをしても、こちらは真っ正直にやることに正直の値打ちがある。そこで、だんだんと信用がついて最後の勝利を占めることができる。
 
 
良き品物を作る前に良き人を作るのが理想  
「二代社長 百木三郎氏 遺事録」より
良き品物を作る前に良き人を作ることは東陶経営年来の理想であります。それが東陶の今日を有らしめたものと信じます。さらに、その前に諸君自らを脩むることの必要性を私も相共に未だに常に工夫中であります。社員でも工手でも良き人を作るということは、こちらの誠と親切を感激せしめることにはじまり、技術的に仕込むことはその上である。過程は個人の吉凶、病気、災難、品行上あらゆることに細心考慮し、同情、援助、指導の実を尽くさねばならない。
 
 
先輩たちの言葉は、「目先の利益のみに飛びつかず、独り占めせず、こちらの誠と親切を感激せしめ」と伝える。それが、回りめぐって将来の利益に結びつくと説く。
 
我が国の元首相が打ち出した「友愛」の意図は、他国によって都合よく解釈されたようだ。
現在の日本国の経営では、「誠と親切を感激せしめ」た結果、「だんだんと信用がついて最後の勝利を占める」前に国が滅びるのだ。
 
最後に、TOTO歴史資料館 館長、スタッフの方々のご丁寧な対応に感謝します。

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