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賛否両論 その4:私が選ぶウィーンフィル名盤ベスト3

2013 MAY 5 11:11:41 am by

 

私がクラシック音楽を聴き込んで来た経験の幅や深さは、東さんを「堂々と土俵入りする横綱」に例えますと、私は「露払い」にも「太刀持ち」にも匹敵しないことを、充分に自覚してはおりますが、厚かましくも文字通りに独断と偏見にて投稿させていただきます。

 

1位:ブルーノ・ワルター指揮 マーラー第9交響曲(1938年録音)

この演奏はユダヤ人であったワルターがナチスにより全財産を没収され、アメリカに亡命する直前の、まさに切迫した緊迫感に満ちた歴史的な演奏。ワルター自身の回想によれば、「恐らくはナチスが送り込んだと思われる人たちによる、妨害のための咳払いや足音と共に開始された」とのことですが、録音を聴く限りは、意外に静かです。演奏自体は長年コンビを組んで来た両者が、もしかして2度と共演は無いかもしれないとの予感も秘め、これほどにウィーンフィルが熱い演奏を行なった例を探すのが難しいくらいに空前絶後のものです。私の試論であります指揮者と楽曲との相性分類ですと、典型的な1番(相性抜群)ですが、それに、上記の特殊性が加わり、感動の度合いも何倍にもなったと思われます。

 

2位:ハンス・クナッパーツブッシュ指揮 モーツアルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」(1940年録音)

あの伝説の怪物による正に化け物のような名盤(というより珍盤?)です。第2楽章は、珍しくも表情豊かで、テンポの揺らぎも大変多く、事前の練習が充分に行き届いている様子の緻密な演奏ですし、第4楽章は、誰がこんなに遅いテンポで演奏しようなどと、思いつくでしょうか? しかも、モーツアルトの書いた楽譜を大胆に書き換えた箇所すらあります。ここまで、あの「うるさいネコ型ウィーンフィル」が指揮者に従っている様子は、正に指揮者との信頼関係の深さに他ならないでしょう。指揮者と楽曲との相性は悪いのに、とても感動してしまう分類2の名盤です。

 

3位:ジャン・マルティノン指揮 チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」

この盤をベスト3に挙げることには異論が強く出そうです。が、米国の聴衆には恐らく受けないであろう、微妙な陰影のある演奏が持ち味の指揮者マルティノンの意図を、ここまで、鮮明に洒落た感性で体現出来るのはウィーン・フィルをおいて他にないであろう、という意味で個人的には感心しきりであります。どういう訳か、あまり「悲愴」を演奏したがらないと言われる(従って録音も少ない)ウィーンフィルの「悲愴」という意味でも稀少価値ありです。この盤も相性分類の2であると思います。

 

他には、カルロス・クライバー指揮のベートーヴェン交響曲7番も指揮者と楽団との間で火花が散るような閃きに満ちた熱い演奏で好きなものです。

花崎洋

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