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愛の病

2021 MAR 3 14:14:48 pm by 菊池 孝之助

およそあらゆる宗教で説かれる愛とは、絶対的存在が吹けば飛ぶような存在の人間に対して与えたもう慈悲や、親が子に注ぐような普遍的な愛であって、人間の好いた惚れたという愛とは、水と油のように分離している。

キリスト教の場合、神が子を人の世に遣わしてまで人を愛していることや、人が他者を愛することの大切さを説く。しかし男が女を、また女が男を好きになって、恋い焦がれて、ああどうしよう、もうどうなってもいいから二人だけの世界で燃えたいという、あの強烈な、衝動的で、理性では抗えない爆発的なエネルギーについて、その価値を認めないというわけではないのだろうが、私には、なんだか冷淡な態度を取っているように思える。
これが、生身の人間がからむ教会という組織の中では結構シビアな問題で、ひどい場合は、そのようなことを肉欲の罪として裁き、信仰の足らない者として批判の対象としたりする。

いま興味があるのは、バロック時代から古典派、そしてロマン派と言われる時代の西欧において、教会音楽と、恋愛をテーマとした世俗的な音楽、つまりラブソングが、果たして水と油の関係にあったのか、それともどこかで乳化して混じり合っていた部分があるのか、あるならそれはどの国のどの時代のどういう音楽だったのか、界面活性剤を放り込んだのはどの作曲家だったのか、ということだ。ひまになったら考えてみたい。東さんのエロい記事を読んで触発されたのだ。

久しぶりにaikoが聴きたくなった。アルバム「桜の木の下」を探しても見つからず、そういえば前にだれかにあげたことを思い出し、誰にあげたんだっけと考えても思い出せない。私には記憶力があんまりない。仕事柄インプット量がすごいから、一つでもまとまったアウトプットをしたら、次のインプットのために記憶を一旦全消去する。パソコンのメモリ量が小さかった時代の記憶ドライブの使い方みたいだ。やっとアルバム「まとめII」を見つけて、聴いた。

ずいぶん前、「愛の病」にはじめて出会ったときは、衝撃的だった。2000年の発表当時24歳だったシンガーソングライターaikoによる歌詞をくりかえし読んで、これは大恋愛を経験した人にしか絶対書けない、と確信した。

歌声を聴きながら歌詞を注意深く読めば、彼女がたいへん賢い方だというのがわかる。女の子言葉なのだが、日本語の使い方がきれいで、育ちの良さがこういうところに出る。ら抜き言葉も使われていない。彼女のように影響力のある人は、こうでなくてはならない。

もし大喜利で、「人間には二種類がある、の続きをいきましょう」と出題されて、「人間には二種類がある。大恋愛をしたことがある人と、したことがない人だ」なんて答えようものなら、どれだけの人の気分を害し,敵にまわすのだろうか。

私の知る限り、若い頃に大恋愛を経験せぬまま大人になってシニアになって、という人は本当に多いのだ。世の中はこんなにも、素敵なラブソングであふれているというのに。

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