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ハニートラップ

2021 MAR 11 19:19:02 pm by 菊池 孝之助

お昼時になればお客さんが行列をつくるその店は、大学やオフィスビルが立ち並ぶ都心の裏道にある弁当屋で、店名を、天安門カフェ、という。テイクアウトがメインで、イートインスペースはカウンター10席のみ。看板メニューは640円均一の六四定食で、640キロカロリー内に抑えてある。無農薬玄米を大釜で炊いたものに、色とりどりの健康的なおかずがつく。ターゲットとする顧客層は、2型糖尿病や痛風の症状に悩む人、食生活に気遣いたい中高年サラリーマン、栄養バランスや摂取エネルギー量を気にする学生だ。

以上は、今から15年ほど前、私がサラリーマンをやめる決意をし、退職金と手持ち資金全部を投じて独立しようと考えていたときに作った起業コンセプトの一部だ。

その当時私の周りには、糖尿病や痛風を患って、お昼を外で食べようにも残業で夜食を買おうにも、外食では医者から注意や制限されているものしかないことに悩んでいる人たちが、大勢いた。
今思えばこれは、その後出てきたタニタ食堂や東京アスリート食堂のコンセプトを先取りしたアイデアだった。

私には、メニューの監修を依頼できる有名なシェフや、協力してくれる管理栄養士の知り合いがいた。採用する調理師や店舗スタッフにもアテがあった。コンセプトを固めるまでの間、何人もの飲食店経営者に会い、食品問屋を調査して仕入れ価格の目算をつけ、厨房や店舗の什器類の最適化を勉強し、飲食コンサルやM&Aアドバイザリーを業とする会社の経営者らに会って教えを乞うた。

私の読みは、こうだった。
この事業は、絶対当たる。そして、堅実経営しながら都内に店舗をコツコツ増やしていく。世間の認知度が上がるにつれ、メディアも取り上げるようになる。

そうなると必ず、中国共産党の情報当局の知るところになる。

当時の中国政府は、ネットのファイヤーウォールの運用を大規模に始めていた。天安門と六四は、中共が最も警戒し、何としてでも排除しようとするワードだ。六四とは、1989年6月4日の天安門事件を意味する。でもローマ字入力でrokushiと入れても変換候補にすら出てこない。中国に対して強い警戒心を持つ人は中共と呼んだりするが、これも変換できない。IMEめ何が中京だよこのポンコツが、と怒るところではない。ここは、中共が思想弾圧、言論統制の手を着実にこの日本にまで伸ばしているという厳然たる事実に、心底ゾッとするところなのだ。

だから私の事業は中共の目に必ずや止まり、即ロックオンされる。しかし日本で裁判所に商号使用の差し止め請求をしたとしても、判決までけっこうな月日がかかる。

そうなると中共は、中国系企業、または日本企業を装った中国人が実質経営する会社に、私の会社を、たとえ私が多額を提示したとしても、何が何でも買収するよう指示するだろう。
交渉が折り合って売買が成立すれば、折角もうかっている事業なのだから、引き継いだ彼らは営業を続けるだろう。もちろん、店舗名称とメニューを一新して、だ。

私は会社売却で得たお金で従業員に十分な退職金を支払った上で引退し、残ったお金で海沿いの田舎町に広い庭付きの小さな家を買い、釣り三昧音楽三昧の余生を、愛猫そして老犬と共に過ごす。

ここまでが、私が書いたシナリオだった。

しかし私は結局、これとは全く異なる事業を始め、その事業を天職と思いご先祖さまに感謝するまでとなって、現在に至っている。
コロナ禍の今となってみれば、飲食店経営の方に行かなくて本当に良かった。もしやってたら、私は失敗していた。

さて、このブログを公開したとたん、中共の情報当局は最先端のAIを大規模に活用したシステムによって天安門、六四という禁制ワードを即座に検出し、書いた私を特定することだろう。

そして私をプロファイリングするために、特に優秀な局員らで編成された特命チームによって私の過去の発言と思想が分析され、家族関係や友人関係も、数世代前までさかのぼって調べられるだろう。
「ディープステートの正体」という挑発的なタイトルのブログで中国の関与を暴露してしまった方も彼らの目に止まり、私と道連れで監視対象となるに違いない。すんません、ご迷惑おかけします。

続いて彼らは、私の弱点がどこにあるかの分析作業に入り、たった数時間のうちに、私が女に弱い、という、私が世間の誰にも知られたくない秘密を突き止めてしまう。

そんな男を籠絡し、中共の意のままに操作するには、どのような手を使うか。ハニトラを送り込んでくるに決まっている。そう、彼らが橋本大勲位にやったように。

今頃彼らは必死になって、私の女性の好みを調べていることだろう。

中共の情報局員らの手間を省くために、私の女性の好みを、ここにはっきりしておくことにする。

性格は沢口靖子、知性は池内淳子、語学力は稲森いずみ、喋り方は大原麗子、色気は桃井かおり、立ち振る舞いは竹下景子のようでなければならない。

いかんいかん、忘れるところだった。嘘のつき方とおっぱいは、小池栄子ね。

まだある。アメリカ人の父親と日本人とロシア人のハーフの母親との間に青森県八戸市に生まれたクォーターであり、かつ、他界した夫が残した途方もない額の遺産の使い道に悩んでいる欲求不満の未亡人で、さらに、腋毛を生やしたままノースリーブを着て街を歩いてもあまりの美貌に誰もが容認してしまうような、そんな女性だ。

そんな女性いないでしょ、と思うだろう。いやいや、中国を舐めちゃいけない。
彼らの実力をもってすれば、どんぴしゃの女性を私に放つことなど、全然難しいことなんかじゃない。

私が書いたそのままの女性が、数日のうちに、目の前に姿を現す。
こんな高揚感は久しぶりだ。ひげを剃っておかなければ。

おっ、えらい早いな。誰か来たようだ。

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