ライヴ・イマジン38 私的な反省
2017 OCT 12 18:18:54 pm by 西村 淳
ライヴ・イマジン38が終了。この場を借りてきちんと歯止めをしてこう。
37のオケ公演から本来の室内楽に戻り、今回も強力なメンバーに支えられた。。
音楽面で全面的に指導していただいたのがアンサンブル・メゾンのコンマスも務めるY氏。室内楽であろうとオーケストラであろうと船頭さんは一人でなければならず、それにふさわしい人材を得て理想的な形となったと思う。その分船頭さんにかかる負担はとても大きかったはずで、役割を最後までしっかりと貫いていただいた姿勢にはただただ感謝あるのみである。さらにY氏からは公演が終了してから練習の取り組み方の具体的なアドバイスまでいただいた。これを他山の石として大いに活用させてもらおう。
反省点は、特にブラームスにおいてよく出てくる半拍ずれるところとか、(正直なところまだコツはつかめていない。まるで複数のメトロノームが同期してしまうように他のメンバーに同期してしまう)三拍子系入りのタイミング。さらに移弦、とりにくい音程、ボウイングの不安定さも重なって大変な迷惑をかけてしまった。なかなかその場ではすぐにできないし、ちょっとくらいメトロノームで練習しても対応がなかなか難しい。ずいぶんと長い間弾いているが、このあたりの練習方法は教わったことがない。ソルフェージュ?
これを乗り越えたからといってその先に光明があるわけではなく、さらに新たな課題が山積する。どこまで行っても音楽をやることはイバラの道なのである。基本なのはよくわかるだけに、指摘が心に突き刺ささる。あのチャーリー・パーカーだって駆け出しのころはドラマーのジョー・ジョーンズにシンバルを投げつけられたじゃないか・・ちょっと違うか・・・。
そうこうしているうちに意識が足りなかったりすると、今度はI女史からも確実に矢が飛んでくる。もうボロボロである。言われるうちが華、正直なところこれほどきびしい練習は今まで経験していなかったし、わかっていても相当に甘々でやっていたなと反省しきりであった。
プログラミングではピアノの吉田さんのアクシデントでブラームスのピアノ四重奏曲第3番が実現できず、
代案としてハイドンの弦楽四重奏を入れたが、かえってバランスのとれたものとなった。偶然とはいえ、ハイドンからモーツァルト、ブラームスという機能和声の変遷を感じ取っていただけたはずだ。またNさんのオーボエとコールアングレを入れたのが大正解で楽器への興味のみならず、もう一つ色を加えることによる変化を楽しんでいただけたと思う。アンケートからもその点は確認できた。
会場は前回のオケに続き、豊洲文化センターでの公演だったが、ガラスの反響の具合なのか少々ほか楽器の音が聞きにくく、リハーサルでのセッティング時にもう少しベストポジションを探すべきであった。
いわゆる私の「死ぬ前に絶対にやっておかなければいけない曲リスト」の上位に入っていたブラームスの弦楽五重奏曲第2番ト長調を素晴らしいメンバーと共有できた。この曲を選んだ理由のひとつは第1楽章冒頭14小節にわたるチェロのテーマを弾きたかったから、という素人の発想があったがこれがまたとてつもなく弾きにくく難しい。3拍子×3で9拍子、さらに3オクターブの届かんとするメロディ。縦線は最後の最後まであいまいだしそれ以上に音程はブレるし。もう弾くだけでもやっとだったけれど、何とか本番では格好がついた感じ。
最後に共演者はもちろん、支えていただいたスタッフ、聴きに来ていただいた方々、皆さんに心から感謝の意を伝えたい。
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maeda
10/14/2017 | 1:54 AM Permalink
聴きに行けなかったのが残念です。でも、このご感想を拝見すると、とても良かったのではないかと思いました。基本をしっかりマスターするのは大変ですし、一度マスターできたとしても磨き続けないと直ぐにナマクラになってしまいますよね。ヴァイオリンでも、パガニーニやワックスマンが弾けるようになったからと言って、室内楽が上手に出来るとは限らない訳で、合奏のための当たり前のことが出来ることは、それだけで結構な難易度です。カルテットも仲良くやっているようでは上手にならないと言いますし、グサグサと痛いことを言い合ったり下手な箇所を上達するまで待ってもらったりしても関係を壊さず一体の演奏体にならないと、良い演奏には到達できないでしょうね。並でない忍耐力が必要です。自らの反省を込めて。
西村 淳
10/15/2017 | 8:16 AM Permalink
そうなんですね。実際に、パガニーニを弾ける人がオケに入ったら全然ダメ、ということもプロでもあるようです。複数の中で弾くにはやはりそのしきたりがあって、そういったことを教えてくれる教育機会はあまりないようです。
反省がひとつでも身に着くように、と昔使っていたRolandのレコーダーを引っ張り出しました。録音して自分レッスンをするためです。Y氏のおススメでしたが音階練習を録音してまた始めようかと。何しろ次も難曲揃い、同じ轍を踏まないようにしなければ。
東 賢太郎
10/17/2017 | 10:12 PM Permalink
その日は予定があり行けませんでした。ブラームスのクインテットは、特に2番はあまりやらないしコールアングレもめったに舞台にかかりません。とてもいいプログラムだったので残念でした。
西村 淳
10/18/2017 | 7:42 AM Permalink
ブラームスのの親友、グスタフ・ヴェント(フルトヴェングラーの叔父さん)のお話を冒頭にしました。フルトヴェングラーが誕生した時にはまだこの弦楽五重奏曲は生まれていなかったし、私が誕生した時にはフルトヴェングラーは伝説の人ではなく、バイロイトで第九を指揮していました。歴史の端っこにぶらさがっているのが私たちの立ち位置かな、と。伝統を継ぐものでありたいです。